英語新聞ウォールストリートジャーナル(WSJ)から見た起業・ビジネスのヒント

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【625号】米FTCが子供向け食品広告の新トレンドに神経を使う理由とは?
 

子供向け食品広告

By jbcurio


◎本日のニュース

1)見出し
Food Marketers Get 'Smarter' About Ads for Kids

【出典】
http://goo.gl/nfjMD


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2)要約
米FTC(公正取引委員会)の調査によると、
食品メーカーによる子供向け広告において、
モバイル端末やSNSに投じる金額が増加しているという。
一方、子供向け広告全体の額は、減少している。

食品メーカーは、これまでより栄養素の高い商品を
子供向け広告で宣伝してきた。これは自主規制によるもの。
FTCは、食品メーカーに継続した原材料の改良を促すとともに、
広告を流すメディア側に自主規制への参加を呼び掛けている。

また、食品メーカーによるモバイル端末を通じた子供向け広告は、
ディスプレイ広告よりも低コストであり、
さらにディスプレイ広告よりも効果が高くなる可能性があるので、
今後も増えるとされている。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Food marketers have been shifting more of
 their ad dollars to smartphones used by kids.

4)キーとなる英文の和訳
食品メーカーは、広告費のうち、
子供の持つスマートフォンへ投じる金額を増やしている。

5)気になる単語・表現
なし

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
FTC(the Federal Trade Commission)とは、
日本で言う公正取引委員会。この調査によると、
食品メーカーによる子供向け広告費は、次のように変化している。

【食品メーカーによる子供向け広告費(2006年・

2009年比較)】
[2006年]子供向け広告全体 21億ドル、そのうち新メディアは7660万ドル
[2009年]子供向け広告全体 17億9000万ドル、そのうち新メディアは1億2250万ドル
※子供=2歳〜17歳
※新メディア=ネットやモバイル端末

変化率・割合を計算すると、以下のようになる。

【食品メーカーによる子供向け広告の変化率・割合(2006年・
2009年比較)】
[広告全体]14.8%減
[新メディア]59.9%増
[新メディアの割合]3.6%→6.8%(3.2ポイント増)

ネット・モバイル端末による広告の伸びが凄まじいことがわかる。
この要因は、
スマートフォンブームが2009年から始まったことにある。
スマホブームにより、食品メーカーは、
子供向け広告をテレビからスマホにシフトしてきた。

子供向け広告の対象商品に目を向けると、
従来品よりも栄養素を高めた商品の広告が増えたという。
例えば、シリアル。2歳〜11歳向けのシリアルでは、
2006年の広告商品よりも、糖分が少なくなった一方で、
使用する全粒粉が少しだけ多くなった。このような、
子供向け広告で対象にする商品の栄養素を高める動きは、
メーカーによる自主規制によるもの。一方で、
広告を流すメディア(主にテレビ)側は、ほぼ例外なく、
子供向け番組に流すCMに制限を加えなかったという。
FTCは、メーカーによる自主規制の継続を促す一方で、
メディアに対しては、自主規制への参加を呼び掛けている。
ちなみに、
自主規制ではなくFTCによる規制を掛ければいいかと思うが、
1980年の議会でFTCによる子供向け食品広告の規制は禁止さ
れている。

ただ、メーカーによる自主規制が今後も働く保証はない。
それは、食品メーカーの子供向け広告が、
テレビからモバイル端末に移行しているからである。
テレビCMとモバイル広告を比較すると、以下のようになる。

【テレビCMとモバイル広告比較】
[費用]一般的にモバイル広告はテレビCMよりも低い
[効果]モバイル広告はテレビCMよりも高くなる可能性がある
[メディア関連度]テレビCMはモバイル広告よりも大きい

費用については、特に説明はいらないだろう。
効果について、テレビCMがただ目に入ってくるのに対し、
モバイル広告はクリックやタップなどの操作が伴う。
その結果、テレビCMが受動的になるのに対して、
モバイル広告は能動的になる。これは、
広告対象のブランドの関わり度に影響する。
つまり、モバイル広告の方がテレビ広告よりも、
ブランドの関わり度が高まり、効果はより大きくなる。
コストは低く効果は高いとなると、
子供向け広告はますますモバイルに向かうようになる。

メディア関連度というのは、広告が流れるメディアが、
広告内容にどの程度影響力があるかということ。
テレビ番組は、そのコンテンツをテレビ局
(またはテレビ番組)が制作するので、
CMもテレビ局の規制(というか要望)を受けることになる。
一方、モバイル端末上の人気コンテンツは、
その多くがユーザーの作るソーシャルメディアが
ベースとなっている。よって、
ソーシャルメディア上で流れるモバイル広告が、
ソーシャルメディアにより受ける規制は小さい。
モバイル広告の方が、テレビCMよりも自由度は高くなる。

この自由度が高くなると、
自主規制がないがしろにされる恐れがある。
これをFTCは懸念しているのだろう。
食品メーカーによる子供向け広告が、
今後さらにモバイルに移行すれば、
FTCはより神経を使わなくてはならなくなる。
逆に、広告を流す食品メーカー側から考えると、
自由度の高い広告媒体だからこそ、
親の受けのより良い広告を打てば、
実際にお金を出す親を味方に付けることができるのではないか。
自由度の高さは、企業の競争力をより正確に表すことになる。

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)FTCによると、2006年から2009年に掛けて、
食品メーカーによる子供向け広告全体は減少した一方で、
そのうちのモバイル端末への広告は増加した。

2)テレビCMより低コストであり、
一方で高い効果が期待できるので、
モバイル広告へのシフトは今後も続くと予測される。

3)ただ、テレビCMよりも広告内容の自由度が高くなるので、
テレビCMで見られたような自主規制が効かなくなる恐れがあり、
FTCは神経を尖らせている。

4)一方で、メーカー側から見れば、自由度が高くなることで、
より費用対効果の高い広告を打てることになり、
必ずしも自主規制が効かなくなるわけではない。
*************************

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【624号】米ショッピングモールが、新設よりも改装に力を入れる理由とは?
 

日本のショッピングモール(ヴィーナスフォート)

By MD111


◎本日のニュース

1)見出し
Malls Get Facelift to Pull In Shoppers

【出典】
http://goo.gl/1vb6f


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2)要約
アメリカのショッピングモールは、
建設から改装の時代に移行している。
それは、すでにモール数が過剰であり、
さらにネット通販に顧客が奪われているからである。

改装で力を入れているのは、
人気ブランドの誘致やレストラン・映画館の拡充。
単なる物販ではなく、ネットでは得難い体験を提供することで、
ネット通販に対抗しようとしている。

モールのオーナー企業は、
改装対象を高収益のモールに限定する傾向がある。
新規建設よりも高い改装の投資収益率を、
さらに高めるためである。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
In an attempt to keep shoppers coming―
and to squeeze more revenue out of established locations―
mall owners and retailers are shifting to renovations.

4)キーとなる英文の和訳
集客の維持を図るために、
また既存モールの収益を何とか引き上げるために、
モールを所有する企業や小売企業は、改装に力を注いでいる。

5)気になる単語・表現
squeeze他動詞〜を圧搾する;〜を絞る絞る
renovation名詞修理;改装;革新;元気回復

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
アメリカのショッピングモールが、
改装に力を注いでいる事例として紹介されているのは、
以下の通り。

【アメリカショッピングモールの改装事例】
◯ルーズベルトフィールド
(Roosebelt Field ロングアイランド島にある
全米指折りの高収益モール)→3億ドルを今後2年で投資

◯ジェネラルグロースプロパティーズ社
(General Growth Properties Inc.
全米で規模2位のモール所有企業)→今年17モール、

来年8モールを改装

◯CBLアンドアソシエイツプロパティーズ社
(CBL & Associates Properties Inc.
93モールの所有企業)→今年20モールを改装

◯ウェストフィールドグループ(Westfield Group
47モールの所有企業)→
過去3年の改装投資金額が8億ドルのところ、
今後3年で30億ドルを投資

モールが新規建設から改装の時代に移行しているのが、
わかると思う。このような変化が起こった原因は、
次の2点である。

【モールが新規建設から改装に移行した原因】
[1]モール数が過剰になったから
[2]
新規建設してもネット通販に必ずしも勝てるとは限らないから

1について、すでにオーバーストア状態なので、
新たに建設しても、従来ほどの収益を獲得することは難しい。
そこで、既存施設の改装に力を入れることになる。
実際、新規建設と改装の投資収益率(ROI)を比較すると、
次のようになる。

【モールにおける新規建設・改装のROI比較】
[新規建設]高くても1桁台
[改装]成功すれば10〜12%

2について、モール数を増やすことで、
ネット通販から顧客を奪い返せるとは限らない。
そこで、既存モールを改装することで、
ネット通販にはない実店舗の強みを活かし、
弱みを克服しようとしている。
実店舗であるモールの強みと弱みをまとめると、
以下のようになる。

【対ネット通販でのモールの強みと弱み】
[強み]体験を提供できる
[弱み]買い物に時間がかかる

具体的には、強み・弱みを考えて、
次ような改装を行なっている。

【強み・弱みを考えたモールの改装】
[強み活用]レストランの拡充、映画館の刷新、
スーパーマーケットの新設など
[弱み克服]駐車場直結のレストラン・
スーパーマーケットの新設など

ネット通販には提供できない実店舗の価値とは、
体験に他ならない。ネットでは、実際に食事はできないし、
大きなスクリーンでの映画鑑賞もできない。
単価の低いちょっとしたモノも、配送料がハードルとなって、
気軽に買えない。そこで、レストランや映画館、
スーパーに力を入れる。

一方、実店舗の弱みは、
ネット通販よりも買い物に時間がかかるということ。
そこで、レストランやスーパーを駐車場直結にして、
すっと入って、ぱっと買って、
すっと帰れるようにしている。

ただし、すべてのモールが改装対象になっているのではない。
改装対象を、高収益のモールに限定する傾向が強くなっている。
実際、全米の約1070モールのうち、
改装されたのはたったの289モールにすぎない。
1フィート四方あたりの年間平均売上金額が、
モール全体で370ドルのところ、
改装対象になったモールは平均で535ドル。
収益力の高いモールだけが、改装されていることがわかる。
ちなみに、先述のルーズベルトフィールドは、
1フィート四方の年間売上金額が1040ドルにも上る。
これほどの高収益になったのは、その商圏人口の特質ゆえ。
つまり、半径10マイル以内の居住者が180万人もいる上、
その平均世帯年収が11万6302ドルにも及ぶ。
全米平均の世帯年収5万502ドルの2倍以上だから、
商圏の購買力の高さが、よくわかる。

ROIのより高い改装に力を注ぐだけでなく、
さらにROIを向上しやすい高収益モールに限定するのは、
小売業においてROIがこれまでにもなく
重要視されていることを物語っている。実店舗は、
ROIでもネット通販と競合していると言っても、
過言ではないだろう。

Roosevelt Field http://goo.gl/flcCF
General Growth Properties http://www.ggp.com/
CBL & Associates Properties http://goo.gl/g0xw5
Westfield Group http://www.westfield.com/corporate/

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)アメリカのショッピングモール所有企業は、
新規建設よりも既存施設の改装に力を注いでいる。

2)その理由は、オーバーストア状態であり、
さらにネット通販に顧客を奪われているからである。

3)そこで、よりROIの高い改装に力を入れることになる。
改装する際は、ネットにはない強みである
体験の提供に力を入れるとともに、
弱みである買い物時間を短縮できるよう
駐車場直結の店舗を新設している。

4)さらに、改装対象は、
収益性の高い物件に限定する傾向がある。
それは、よりROIを高めやすいからである。

5)このように、モール運営においてROIを
より重視するのは、ROIでも
ネット通販との競争にされされているのではないか。
*************************

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編集後記
モールでの買い物をエンターテイメントと考えれば、
ただで楽しめる施設になります。
一方で、買い物として捉えれば、
時間がかかる非効率的な施設になります。
どちらを優先するのかは、難しいところ。

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【623号】米トイザらスが、元陸軍兵站士官を採用した理由とその野望とは?
 

トイザらス

By avlxyz


◎本日のニュース

1)見出し
The New Logistics of Christmas

【出典】
http://goo.gl/iqVbG


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2)要約
玩具小売大手のトイザらスは、
実店舗からの配送を行うなど、
物流部門を強化している。その一環として、
元陸軍兵站士官を採用した。

物流に力を入れるのは、
アマゾンなどネット通販専業企業との競争が
激しくなっているからである。
実店舗をネット通販に活用することにより、
配送のスピードアップを図ることができる。
この結果、実店舗を持たないネット専業企業よりも、
高い競争力を持つことができる。

また、実店舗のネット通販活用は、
トイザらスの業績が後押ししている。
ネット通販の売上が急増しているトイザらスであるが、
ここ2年間の全体売上は横ばいであり、
実店舗の売上がネットに移行しているに過ぎない。
実際、直近四半期の既存店売上は、4%減少している。
ただし、実店舗からの配送には、課題もある。
配送が忙しくなるあまり、接客が疎かになる可能性もあり、
また作業に専念できないことから、コストが高く付く恐れもある。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
As Toys "R" Us Inc. courts shoppers with a range of
 options for online purchases or in-store pick-ups,
it is counting on a former U.S. Army logistics officer
 to make sure the presents arrive on time.

4)キーとなる英文の和訳
トイザらス社は、ネット通販での注文や店頭受け取りなどの
オプションを増やすことで、買い物客の支持を得ようとしている。
そのために、元米国陸軍兵站担当士官を採用し、
贈り物が決まった時間に確実に着くよう、責任を持たせている。

5)気になる単語・表現
court A with B他動詞句BによってAの歓心を得ようとする。
count on A to V自動詞句Aが〜するのに期待する
officer名詞士官;役人、役員
make sure他動詞句〜を確かめる;〜を確実に手に入れる

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
トイザらス社(Toys”R”Us Inc.)が物流部門を強化するは、
ネット通販を強化するためにほかならない。その背景には、
次のような現実がある。

【トイザらスがネット通販を強化する背景】
[1]アマゾン・ドット・コム社(Amazon.com Inc.)など
ネット専業小売企業との競争が激化している。
[2]実店舗売上の減少傾向が止まらない。

1は、特に説明はいらないだろう。

ネット専業小売企業との競争は、
価格競争のみならず配送競争にも及んでいる。これが、
後述する実店舗配送につながる。

2に関して、トイザらスもネット通販売上が
急増しているのにもかかわらず、
直近2年間の全社売上はほぼ横ばい。
つまり、これまで実店舗で売れていた分が、
ネット通販に移行しているに過ぎない。
顧客が利便性の高さを採って、実店舗での購入をやめて、
ネット通販を利用していることになる。
この傾向に歯止めが掛からないので、
トイザらスは、ネット通販の強化を余儀なくされている、
と言っても過言ではない。

具体的に行なっているのは、
ネット通販注文品の実店舗からの配送である。
つまり、実店舗を、ネット通販の配送センターとして
利用するということ。
実店舗に商品を送る物流センターは別にある。
(今回は、「物流センター=店舗へ商品を送るなど
物流専用の配送センター」と定義付ける。)
実店舗をネット通販の配送拠点に活用するメリットは、
以下の通りである。

【実店舗をネット通販の物流拠点に活用するメリット】
[1]注文受付期間を長くでき、販売機会を増やせる。
[2]コスト削減ができる。
[3]ネット専業には難しい当日配送ができる。

1に関して、これを可能にさせるには、
配送リードタイムが短いからである。実店舗は、
専用の物流センターよりも数が多く、全国に点在している。
その結果、物流センターからネット通販の配送先に送るよりも、
実店舗から送る方が早く着くことになる。
配送日がクリスマスイブまたは当日に集中するクリスマス商戦で、
威力を発揮する。実店舗を持たないネット専業小売企業は、
より数の少ない物流センターしか持たない。例えば、
12月24日に商品を自宅に届けるならば、
実店舗を持たないネット専業小売企業は22日が受付最終日かもし
れない。
それに対し、
実店舗を持つトイザらスは23日まで受付可能だろう。
ネット専業小売企業よりも、1日長く販売ができることになる。

2に関して、来店客への販売する実店舗が活用できるので、
追加コストはほとんどゼロ。さらに、
実店舗のアイドルタイムや無駄なスペースを
有効活用できると考えれば、コスト削減につながる。

3に関して、各地に点在する実店舗を活用すれば、
当日配送が可能となる。これが、追加コストが
ほとんど掛からず実現する。一方、実店舗を持たない
ネット専業小売企業が当日配送を行うとなれば、
新たに拠点を築いたり、他社に外注する必要がある。
ネット通販で目標とされる当日配送を、
追加コストゼロで実現できることは、
トイザらスにとって大きなメリットである。

しかし、実際には、そう簡単に事は進まない。
配送拠点としての実店舗活用が直面する課題は、
以下の通りである。

【実店舗をネット通販の物流拠点に活用する課題・デメリット】
[1]接客が悪化する恐れがある。
[2]コストアップの可能性がある。
[3]どこから出荷するのか判断するのが難しい。
[4]店舗作業の不安定化。

1に関しては、特に説明はいらないだろう。
配送業務が増えすぎると、接客できる人員が減ることなる。
店舗サービスが悪化すれば、既存店売上がさらに悪化する。

2に関して、実店舗の人員を配送にも活用するということは、
業務が複雑化するということである。
物流センターで専業の人が作業するよりも、
作業効率は悪化する。これが、コストに跳ね返る。

3に関して、実店舗から配送するということは、
ネット通販の在庫が、
物流センターと実店舗両方にあることになる。
注文があるたびに、コストと配送時間を天秤にかけながら、
どちらから出荷するのか決めなければならない。
この判断は、誰にでもできるものではなく、
知識と経験が必要とされる仕事である。だからこそ、
トイザらスは、元米国陸軍で兵站業務を行なっていた
士官を採用したのだろう。兵站業務では、
兵士が戦闘を継続できるように、
食料と弾薬を兵士に補給しなければならない。
供給量が多すぎると、
機動力の悪化につながり、逆に少なすぎると、
戦闘の継続が難しくなる。このさじ加減が、
実店舗の配送活用でも必要とされる。つまり、
物流センターからの配送が多くなれば、リードタイムが長くなり、
実店舗の在庫が不良在庫化する恐れがある。逆に、
実店舗からの配送が多くなれば、実店舗で欠品する恐れがある。

4に関しては、通常実店舗での主要業務は、
商品受け取り・品出し・レジ・清掃など、予め決まっている。
しかし、実店舗でネット通販の配送業務を行えば、
注文数にその業務量は比例するので、作業が不安定になる。
実店舗の実際に作業を行う従業員には、大きな負担となる。

ただ、巨大店舗を多く抱えるトイザらスは、
デメリットよりもメリットの方が大きい。それは、
以下の理由による。

実店舗活用のメリットがデメリットよりも大きいトイザらス独自の理由】
[1]欠品が起こりにくくなり、
ネット通販販売可能アイテムが増えるから。
[2]巨大店舗の不良資産化を阻止できるから。

1・2とも、巨大店舗を各地に持つという、
トイザらスの強みが影響している。1に関して、
巨大店舗は、物流センターには劣るものの、大きな在庫を持つ。
各地の巨大店舗からの配送が可能となれば、
そう簡単に欠品が起きなくなる。販売機会を増やせることになる。

2に関して、今後も、実店舗売上がネット通販売上に移行すれば、
巨大店舗はトイザらスの足を引っ張りかねない。しかし、
その巨大店舗を、成長が期待できるネット通販の
配送センターとして活用できれば、足を引っ張るどころか、
収益拡大に貢献してくれる。

トイザらスが実店舗の活用に力を入れるのは、
実店舗の有無が、小売企業の競争を左右すると、
考えているからである。実店舗のショールーム化を
逆手に取ったやり方である。実際、
トイザらスCEOのジェリー・ストーチ(Jerry Storch)は、
次のような内容を語っている。

【トイザらスCEOが考える小売業の未来像】
[1]ネット通販だけでなく、魅力ある実店舗を持つかどうかが、
収益に大きく影響する。
[2]注文方法だけでなく、どこで受け取れるかの選択肢も、
消費者にとって大きな魅力である。
[3]ネット専業小売企業は、サービス向上のために、
いずれ実店舗を持たざるを得ない。

実店舗売上がネット通販売上に移行している現実を直視するだけで
なく、
ネット専業企業が持たない実店舗を弱みから強みに変えよう、
という意思が表れている。
実店舗がショールームになったとしても、
自社のネット通販から買ってもらえればいいという、
考えである。そのためには、実店舗を魅力的にするだけでなく、
配送機能などネット通販のサービス面を強化する必要があるだろう


Toys”R”Us http://www.toysrus.com

***************************

《今回のヒントのまとめ》
1)トイザらスが物流機能を強化するのは、
ネット通販に売上移行する中で、
実店舗をネット通販に活用するためである。

2)実際には、実店舗をネット通販の配送センターとして
活用している。そのメリットは、
「注文受付期間の長期化による販売機会の増大」
「既存資産活用によるコスト削減」
「当日配送のハードル低下」である。

3)もちろん、デメリットもある。それは、
「接客の悪化」「コスト上昇」「出荷判断の難しさ」
「店舗作業の不安定化」である。

4)しかし、巨大店舗を各地に抱えるトイザらスにとっては、
デメリット以上のメリットがある。
巨大店舗の在庫を使えることで、欠品が起きにくくなり、
不良資産化しかねない巨大店舗をネット通販の売上拡大に
活用できるからである。

5)トイザらスが実店舗活用にこだわるのは、
将来、実店舗の存在がネット通販の売上にプラスに影響すると、
考えるからである。

*************************


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先日、ヤフーニュースでシャンパンの記事が取り上げられました。
アクセス数が急増して、びっくり。
ヤフーの影響力は強いですね。
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編集後記
おもちゃも、アマゾンで買う人が増えているようです。
親にすれば、普段アマゾンを利用していれば、
アマゾンの方が買いやすいでしょう。
使いやすいかどうかも、ネット通販の売上を左右するのでしょう。

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| 高尾亮太朗 | 小売業 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
【622号】米紙箱メーカーーが採った、需要低迷からの打開策とは?
 

トゥーストゥースのケーキ箱


◎本日のニュース

1)見出し

Online Shopping: Scourge of the Noble Gift Box

【出典】

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2)要約

アメリカの紙箱業界は、低迷に苦しんでいる。
その大きな理由は、人気の家電製品の多くは、
輸入元のアジアで箱詰めされるからである。
また、クリスマス商戦に需要の多い、
プレゼント用箱も、ネット通販の普及や袋への代替、
小売のコスト削減により、思うように伸びていない。

そこで、紙箱メーカーは、

プレゼント用箱の需要テコ入れに力を注いでいる。
具体的には、斬新なデザインを求める小売企業に提案したり、
ファスフード用や環境に配慮した箱の開発したり、している。

アメリカの折り畳み紙箱市場は、年間90億ドル。

アメリカメーカーによる紙箱出荷数量は520万トンで、
景気後退前の2007年よりも10%近く減少している。
2012年は1.8%増加が見込まれるが、
数年後まで毎年0.5%しか伸びないとされている。

◎キーセンテンスとその翻訳

3)キーとなる英文
The U.S. folding-carton business is still crawling
out of a deep slump, and the challenge is especially
 acute for makers of gift boxes.

4)キーとなる英文の和訳

アメリカの折り畳み箱魚介は、

深い低迷から依然抜け出せないでいる。
特に、プレゼント用箱のメーカーにとっては、深刻な問題である。

5)気になる単語・表現

fold他動詞(紙・布など)を折りたたむ
crawl自動詞(蛇・虫・人が)はう、腹ばいで進む;
のろのろ進む;(仕事などが)ゆっくり進む
acute形容詞激しい;先のとんがった
challenge名詞課題、難題;やりがい、覚悟

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント
記事を最初読んだ時、紙箱市場が低迷からなかなか
抜け出せないでいるのに、
年率0.5%増加していることに矛盾を感じた。
恐らく、景気後退前の2007年よりも10%も減少しており、
その回復幅が年率0.5%と微々たるものゆえに、
「深い低迷(deep slump)」と表現しているのだろう。

紙箱とは、ショートケーキが入っているような、

折り畳める紙箱を想像してもらえばいいと思う。
記事では、その用途として、朝食用のシリアルやファストフード、
薬、石鹸に使われると、記載している。
それほど分厚くない箱であり、
段ボール箱ではない。(実は、当初段ボール箱と誤解。)

クリスマスプレゼントなどを包むプレゼント用箱も、

この紙箱の一つ。
このプレゼント用箱の需要が低迷しているという。
その要因は、以下の3つ。

【プレゼント用箱の需要が低迷している要因】

[1]ネット通販の増加(最終ユーザーによる要因)
[2]代替品としての袋の利用増加(最終ユーザーによる要因)
[3]コスト削減(小売店による要因)

1に関して、ネット通販が普及すると、

小売店がプレゼントを包む箱を必要とする人は少なくなる。
実際ネットでプレゼント用の商品を注文したことはないが、
箱のように嵩張るモノではなく袋などが同封されるのだろう。
ネット通販の普及が、プレゼント用箱業界に、
思わぬ悪影響を及ぼしている。

2に関して、これも最終ユーザーが選択したことであるが、

箱よりもピカピカ光る袋を選ぶことが多いという。
特に多いのが、セーターなど衣類をプレゼントする場合。
壊れ物でないものを箱に入れることにより、
逆に箱が壊れてプレゼントが台無しになる可能性がある。
だから、壊れる恐れのない袋が好まれるのだろう。

3に関して、これは小売店側によるもの。

箱は袋よりもコストがかかる。例えば、
シャツを入れるのに使われる箱は、20セント。
高級ブティックで使われるような綺麗な箱だと、
2ドルもかかる。このようなコストの掛かる箱を利用するよりも、
その分価格を下げた方が、売り手・
買い手双方にとってメリットがある。
小売店側が、そう考えても不思議ではない。

最終ユーザーや小売店によるこれらの変化は、

外部環境の変化である。この外部環境の変化に対して、
紙箱メーカーが採った対応策は、以下の通りである。

【外部環境の変化に対する紙箱メーカーの対応策】

[1]斬新なデザインなど小売店側への提案
[2]新しい用途の開発・提案
[3]環境への配慮

1に関して、コスト削減を進める小売店でも、

新しいデザインを依然求める。
プレゼント用箱をデザイン性の高いものにすることにより、
送り手だけでなく貰い手にも、
その小売ブランドを印象づけることができる。
これが、店舗への集客・売上に繋げられれば、
箱代は費用ではなく投資になる。ちなみに、今年は、
光り輝く仕上がりよりも、コーティングされていない「ビスク」、
つまり見た目がマットなデザインが人気という。
このような新しいデザインを提案することで、
プレゼント用箱の需要拡大を目指している。

2に関して、例えばファストフード用の箱。

マクドナルドのビックマックの箱が、その好例だろう。
ある紙箱メーカーは、ヤンキースタジアムで
使われる箱が大ヒットしたという。その箱には、
サンドイッチやフライドポテトとソースを分ける機能が付いている

機能性を高めて、紙箱の需要を拡大する方法である。

3は、紙箱は保管されることはほとんどなく、

開ければすぐに捨てられる。環境意識の高い人にとっては、
害悪の対象になり兼ねない。そこで、
リサイクルペーパーや水性インクを利用することにより、
環境への負荷を和らげ、イメージの向上に努めている。

これらをより抽象化すれば、次のようになるだろう。


【紙箱メーカーが採った需要拡大策】

[1]デザインの向上
[2]利便性の向上
[3]イメージの向上

紙箱と言えば、コモディティ化しやすい製品である。

ということは、上記3つの需要拡大策は、
他のコモディティ化しやすい製品にも適用できないだろうか。

***************************

《今回のヒントのまとめ》
1)アメリカの紙箱市場は、
景気後退後の低迷からなかなか抜け出せないでいる。

2)その一つであるプレゼント用箱の需要低迷の要因は、

最終ユーザーによるネット通販や袋利用の増加、
小売店によるコスト削減である。

3)そこで、紙箱需要喚起策として、

次の3つを行なっている。それは、
「デザイン向上」による小売店利用促進、
「利便性向上」による新用途の開発、環境への配慮による
「イメージ向上」である。

4)紙箱同様、コモディティ化しやすい製品ならば、

同じ3つの方法は適用できるのではないか。
*************************


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◎Winecarte 簡単ワインの選び方


先日、ヤフーニュースでシャンパンの記事が

取り上げられました。
アクセス数が急増して、びっくり。
ヤフーの影響力は強いですね。
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編集後記

日本の紙箱市場は、どうなんでしょうか?
個人的には、スイーツやプチギフトなど、
かなり増えているように思えます。
これも、紙箱メーカーの企業努力なのでしょうか。

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| 高尾亮太朗 | 製造業 | 19:30 | comments(1) | trackbacks(0) | pookmark |
【621号】アメリカの牛乳需要が急減している本当の理由とは?
 

ホールミルク


◎本日のニュース

1)見出し
America's Milk Business in a 'Crisis'

【出典】
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2)要約
アメリカの牛乳産業が、危機感を強めている。
それは、10年以上減少が続く牛乳の消費量が、
その減少スピードを加速させているからである。

牛乳を飲まなくなった理由として、
ペットボトル入り水など飲料の選択肢が増えたことが挙げられる。
また、牛乳の飲む量の多い子供の割合が減ったことも、
影響しているという。最近は、牛乳の価格上昇も、
購入のハードルになっている。

この需要急減に対し、牛乳に関わる企業・団体は、
需要喚起策に取り組んでいる。利便性を高めるために
パッケージを小さくしたり、栄養を強化した商品を販売したり、
代替品よりも牛乳の方が信頼性高いと謳う広告宣伝を行ったり、
模索している。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
In an age of vitamin waters and energy drinks,
the decadeslong decline in U.S. milk consumption has accelerated,
worrying dairy farmers, milk processors and grocery chains.

4)キーとなる英文の和訳
ビタミン入りウォーターやエネルギー飲料が売れる中、
10年以上続くアメリカの牛乳消費量の減少が、加速している。
これに対し、酪農家や乳加工業者、
スーパーマーケットチェーンは頭を悩ましている。

5)気になる単語・表現
decade名詞10年間
accelerate自動詞速度を増す;車のスピードを増す、

加速する

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
アメリカ人の牛乳消費量は、第二次世界大戦をピークに、
1975年から減少し続けている。さらに、
その減少スピードは加速している。
記事で紹介されているデータは、以下の通りである。
(わかりやすい図はこちら→ http://goo.gl/LMnIn

【牛乳消費に関するデータ】
[一人あたりの牛乳消費量]
◯1975年 28.6ガロン(108.68リットル)→2011年 20.2ガロン(76.76リットル)
=29.4%減少
◯2011年=前年比3.3%減少→
1975年以降で最大の下落幅
[牛乳の販売数量・販売金額]
◯2012年の販売数量=前年比2.9%減少
◯2012年の販売金額=前年比2.2%減少
※乳成分を含まない製品も入れた液体乳製品全体の数字

牛乳の消費量≒販売数量が減るだけでなく、
金額も減っているということは、
単価が大きく上昇しているわけではない。後で示すが、
牛乳の小売価格上昇も、牛乳消費量のマイナスの要因であるが、
価格上昇以上に数量が減少していることがわかる。

アメリカで牛乳消費量が減少している要因は、以下の通りである。

【アメリカでの牛乳消費量減少の要因】
[1]イメージの悪化
[2]子供の割合が減少
[3]小売価格の上昇
[4]他の飲料との競合激化

1に関して、牛乳のイメージが、
「ヘルシー」から「高カロリー」に変化しているという。
恐らく、牛乳よりもカロリーの低い豆乳やアーモンド乳の登場が、
そのようなイメージの変化を引き起こしているのだろう。
ネットで検索したところ、
100mlあたりのカロリーは以下の通りになる。

【牛乳・豆乳・アーモンド乳のカロリー比較】
普通牛乳→69.5キロカロリー
調整豆乳→54キロカロリー
無糖アーモンド乳→16.9キロカロリー

2に関して、牛乳を一番多く飲む子供の割合が減ったことが、
一人あたりの牛乳消費量の減少を導いているという。実際、
アメリカ統計局のデータを見ると、
アメリカの平均年齢が上昇していることがわかる。

【アメリカの平均年齢の推移】
1980年 30.0歳
1990年 32.8歳
2000年 35.3歳
2010年 37.2歳

年齢を重ねる毎に牛乳消費量が減ると考えれば、
平均年齢の上昇は牛乳消費量減少の要因となりうる。

3に関して、小売価格の上昇は、最近起こったこと。
飼料価格の高騰が、小売価格上昇を引き起こしている。
昨年の前年比9.2%もの上昇は、
2011年の一人あたり牛乳消費量の急減の大きな要因になっただ
ろう。
ちなみに、今年の上昇幅は微小という。

4に関して、ビタミンウォーターやエネルギー飲料など、
ヘルシーな飲料の選択肢が増えることで、
牛乳はそれらとの競合に晒されている。
ヘルシー飲料との競争激化は、
乳製品での最大カテゴリーであるスキムミルク・
低脂肪牛乳(ローファットミルク)の落ち込みの大きさが、
物語っている。

【2012年の乳製品売上金額と前年比】
◯スキムミルク・低脂肪牛乳→90億ドル(3.5%減少)
◯全乳(ホールミルク)→37億ドル(2.4%減少)
◯フレイバー付き牛乳→10億ドル(2.8%減少)
◯牛乳代替ミルク(豆乳・アーモンド乳など)→8億ドル(15.
8%増加)
◯ミルクシェイク・乳成分を含まない飲料→1億ドル(5.0%
増加)

比較的ヘルシーなスキムミルクや低脂肪牛乳が、
豆乳やアーモンド乳に需要を奪われていることがわかる。

これらの減少要因に対して、次のような施策を行なっている。

【牛乳需要喚起策】
[1]信頼性を広告宣伝でアピール・本物シールの貼付
[2]子供向けレストランで販売
[3]小容量商品の開発
[4]プロテイン入り・ラクトース無使用・減糖商品の投入

1に関して、具体的には、
牛乳の信頼性をCMやポスターで告知し、
豆乳やアーモンド乳などの代替乳との違いをアピールしている。
また、「本物(REAL)」という赤いシールを、
牛乳に貼付する計画があるという。

2に関して、例えば、アリゾナのシャムロックファーム社
(Shamrock Farms Co.)は、12オンス(355.2cc)
の開栓しやすいボトルを開発し、
そのボトルを使った牛乳をサブウェイで販売している。
12オンスと言えば、350ml缶とほぼ同じで、
注文しやすいサイズと言えるだろう。また、
同社は、7オンス(207.2cc)
のさらに飲みやすいサイズを、
アービーズ(Arby’s)のレストランで販売。これらにより、
子供の牛乳を飲める機会を増やそうとしている。また、
アメリカ最大の乳加工業者ディーンフード社(Dean Foods Inc.)は、
砂糖の少ないチョコレートミルクやラクトースを使わない牛乳を、
子供向けに販売しているという。ちなみに、
アメリカでは砂糖入りの牛乳があり、日本人から見ると驚き。
ヘルシー志向の強い母親にアピールするために、
砂糖やラクトースを使わない商品を開発している、とも言える。

3については、2での説明通り。また、忙しい家族向けに、
使いやすいパッケージも開発されているという。
これがどんなパッケージなのか分からないが、
恐らく小型化・長期保存ができるようにし、
より鮮度の高い牛乳を飲めるようにすることで、
牛乳を購入するハードルを下げているのだと思う。

4に関して、例えば、フィットネス通をターゲットにした
プロテイン強化牛乳を、シャムロックファーム社は販売している。
フィットネス通が普段飲む、乳を含まない飲料から需要を奪う
ためである。また、スーパー大手のクローガー社(Kroger Co.)は、
通常の牛乳よりも、20%もプロテインが多く、
一方で砂糖使用量を減らした新ブランドを立ち上げる予定という。

このように牛乳消費量拡大のため策を練る企業側であるが、
記事の最後に消費者の面白い声が取り上げられていた。
それは、47歳の大学の文学部男性教授の言葉。彼は、
6歳の頃、牛乳のヘビーユーザーだったという。ただ、
今ではシリアルを食べる時しか、牛乳を使わない。
そして、彼が発した言葉は以下の通り。

"What would you drink it with? Spaghetti?"
「何と一緒に飲めばいいんだい?スパゲティとかい?」

これが、牛乳を飲まない消費者の声である。つまり、
牛乳を何に使ったらいいのかわからない。どんな料理に合うのか、
わからない。だから、牛乳を買わないのだ。

確かに、量を飲む子供に牛乳を売れば、消費量は増えるだろう。
しかし、アメリカの平均年齢が上昇していることは自明であり、
この傾向は今後も続くだろう。子供の飲む量が増えたところで、
たかだか知れている。今後も増える30代以降の消費者に、
牛乳を使うシーン・牛乳の使い方を伝えなければ、
減少傾向の消費量は反転しないのではないか。また、
そのまま飲むだけでなく、食材としての利用すれば、
需要を増やせるのではないか。逆に言えば、
人口の高齢化に合った使い方を提示できなかった・
しなかったことが、
需要減少の本当の要因なのかもしれない。

牛乳のカロリーに関する情報 http://muuum.com/calorie/1091.html
豆乳のカロリーに関する情報 http://allabout.co.jp/gm/gc/67883/
アーモンド乳のカロリーに関する情報 http://goo.gl/Pzaud
アメリカの平均年齢データ http://goo.gl/QSqCE
クローガーの新ブランドCARBMasterのヨーグルト
http://goo.gl/LJBpf
Shamrock Farms http://www.shamrockfarms.net/
Dean Foods http://www.deanfoods.com/

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)アメリカの牛乳消費量減少の要因として、
ヘルシーイメージの後退、子供の割合の減少、
小売価格の上昇、他の飲料との競争激化を挙げることができる。

2)その対策として、
業界が一体となって信頼性をアピールしたり、
子供が飲める機会を作ったり、
パッケージの小型化・利便性の向上をしたり、
健康面を強化した商品開発、などを行なっている。

3)ただ、人口の高齢化が今後も継続することを考えると、
30代以上の世代向けに、牛乳を使う機会を作ったり、
牛乳の新しい使い方を伝えたりする必要はないだろうか。

4)高齢化に対する施策がなかったことが、
牛乳消費量の減少が継続・加速した本当の要因ではないか。
*************************

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昨日、冷蔵庫で眠ってた赤ワインを飲みました。
冷えすぎると美味しくないので、
少し常温に置いてから飲みました。
渋味が増して、トマト料理にピッタリでしたよ。
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編集後記
日本の牛乳消費量も、高齢化を考えると減っているのでしょうか。
ちなみに、私が牛乳を飲むのは、コーヒーに入れる時ぐらい。

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| 高尾亮太朗 | 食品 | 19:30 | comments(1) | trackbacks(0) | pookmark |
【620号】化粧品ブランドがクリスマスギフト商品に力を入れる理由とは?
 

cosmetic gift

By Eun Byeol


◎本日のニュース

1)見出し
Decoding the Holiday Makeup Gift

【出典】
http://goo.gl/xU4xp


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2)要約
今年のクリスマス商戦、化粧品ブランドは
クリスマスギフト商品の販売に力を入れる。
それは、デパートや専門店にて化粧品セット商品の売上が、
10月まで大きく伸びているからである。

化粧品ブランドがギフト商品にするのは、
肌用のファンデーションやパウダーではなく、
目元や口・頬に使うメイクアップ関連商品である。
それは、ギフト商品が貰った人の肌に合わない可能性があり、
これが化粧品ギフトの大きな問題として
消費者に考えられているからでる。

企業にとって化粧品ギフト商品は、
見込み客に対してはトライアル利用を促す一方で、
既存顧客に対しては新色など新製品を提案する機会になる。
また、普段値引きをしない高級化粧品の場合、
製品をバンドルすることでお得感を提供できる。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Beauty brands hope eye-catching gift compacts,
many priced under $50, will make luxurious gifts
 that are easy to grab and go. Some shoppers may
 find that buying makeup for others comes with
 some challenges and wonder just how to go about
 making cosmetics a gift a woman will love.

4)キーとなる英文の和訳
美容ブランドは、多くは50ドル以下の目を引くような
ギフト用コンパクトが、素早く購入しできる
高級ギフト商品になることを望んでいる。
しかし一方で、プレゼント用に化粧品を購入することが
ちょっと難しく、気に入ってもらえる化粧品を
どうやって探したらいいのか頭を悩ます買い物客もいる。

5)気になる単語・表現
grab他動詞〜を不意につかむ;(タクシーなど)をつかまえる
challenge名詞(やりがいのある)課題、難問
go about Ving自動詞句〜することに取り掛かる

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
今年のクリスマス商戦、化粧品ブランドは
プレゼント用のギフト販売に力を入れている。
その理由として、今年における化粧品、
特に化粧品ギフトの販売が好調なことを挙げられる。

【百貨店・専門店における今年10月までの化粧品販売データ】
◯化粧品全般 昨対比7%増
◯そのうち化粧品ギフト 昨対比26%増

この要因は、記事では取り上げられていないが、
誕生日プレゼントなどで化粧品ギフトが選ばれる
ようになったのは間違いない。景気の回復基調も
影響しているだろう。

ただ、化粧品ギフトは、貰った人が必ずしも喜ぶとは限らない。
自分の肌に合わないかもしれないし、
好きな色ではない可能性もある。だから、
贈る方にとっては、選びにくい商品ということになる。
この課題を解決するために、
化粧品ブランドは知恵を凝らしている。

【化粧品ギフトを贈りやすいようにする化粧品ブランドの知恵】
[1]目元・唇・頬などのメイクアップ商品をセットする。
[2]セット内の色・種類など多彩にする。
[3]好みに左右されない道具をセットする。

いずれも、貰った人ががっかりしないような工夫である。
1に関して、肌用の液体ファンデーションやパウダーは、
肌に合うかどうかで、貰った人に使われない可能性がある。
一方、メイクアップ商品は、ファッションと同様
シチュエーションによって変える事が多いので、
これまで使ったことのない商品を貰っても困ることはない。

2も同じく、複数の色や種類が含まれていることにより、
好みに合う可能性は高まる。そして3は、
化粧ブラシやネイルみがきは好みに左右されにくい道具なので、
貰った人は大抵喜ぶだろう。

化粧品ブランドが化粧品ギフトに力を入れるのは、
季節柄売れるからだけではない。そこには戦略がある。

【化粧品ギフトに力を入れる化粧品ブランドの戦略】
[4]新規顧客獲得のため
[5]既存顧客維持のため

4に関して、化粧品ブランドは、
化粧品ギフトに売れている製品をバンドルすることが多い。
それは、化粧品ギフトを貰った人に売れている製品を
使ってもらうことが、トライアル消費になるからである。
普段別のブランドを使っている人が、
化粧品ギフトを使ってそのブランドを気に入れば、
ブランドをスイッチするかもしれない。また、
10代向けギフトのなら、これから化粧を始める10代の若者に、
引き続き購入してもらえる可能性は高いだろう。さらに、
そのブランドが口コミで、友達に広がるかもしれない。
また、化粧品ギフトをトライアル消費のチャンスとして
最大限に活用するため、セット内容をより多彩にする傾向がある。
そのため、業界では、多彩な内容のセットを、
「ミニ」や「デラックスサンプル」「デラックス」と呼ぶ。
通常のサンプルよりも大きいが、
プロパー商品よりも小さいからである。

面白いのは、ランコメ(Lancome)の事例。ランコメは、
トレゾア(Tresor)という香水セットにマスカラを付属。
マスカラは、若い消費者がブランドの各種商品の中で
初めて購入することが多い。そこで、
マスカラを香水ギフトに付けることで、
香水ギフトを貰った若い女性に、
マスカラ以外のランコメ化粧品を購入してもらおうと考えている。
香水ギフトからマスカラ使用につながり、
さらにその他ランコメ化粧品の購入につながれば、
ランコメの売上は拡大することになる。

5に関して、化粧品ギフトは、新しい色を組み込むことにより、
既存顧客への販売も期待できる。高級化粧品は、
一般的には値引きをしない。そこで、
化粧品ギフトにサイズを小さくした製品を多数入れることにより、
お得感を出すことができる。例えば、
化粧品ブランド・フレッシュ(Fresh)のシュガーソワレ(

Sugar Soiree)は、
ミニリップを合わせたギフトセット。
各22.5ドルの口紅の半分以上のサイズが8本入っているので、
91ドル分の価値があるが、65ドルで販売されている。
お得感があれば、贈答用だけでなく、
自分用としても購入する人もいるだろう。また、
小さなサイズは持ち運びやすいので、
お出かけ用として愛用する人も多いという。

顧客拡大に努める化粧品ブランドであるが、
ギフト商品を新たに企画・製造・販売することは、
在庫管理の複雑化・在庫の増大につながりかねない。
それでも、化粧品ギフトの販売に力を入れるのは、
化粧品という商材の特徴ゆえである。化粧品の特徴とは、
以下の通りである。

【化粧品の特徴】
[6]リピート購入しやすく、ブランドスイッチが起こりにくい。
[7]原価が低く、粗利益率が高い。
[8]価格弾力性が低い。

6に関して、クリスマスギフト販売の先には、
クリスマス後の購入がある。ギフト商品を気に入ってもらえれば、
その後にそのブランドの化粧品を購入する確率は高まる。
普段、新しい化粧品をなかなか試してもらえず、
ブランドをスイッチしてもらえないので、
少しお金を掛けてギフト商品の販売に力を入れても、
十分ペイすることになる。

7に関しては、特に説明はいらないだろう。
もともと原価の低い商品なので、
新たなに販売アイテムが増えても、
さほど大きな負担にはならない。

8に関して、化粧品は嗜好性が強いゆえに、
いくら安くても気に入ってもらえない限り、
購入してもらえない。値下げしても、売れるわけではない。
また、ブランドイメージでブランドを選ぶことも多いので、
値引きによるブランドイメージの失墜を避けなければならない。
このように価格弾力性が低いので、
セット商品にしてバリュー感を出す必要がある。

このように考えれば、化粧品と同じ特徴の商材ならば、
ギフト販売を顧客獲得・維持機会として活用できるのではないか。

Lancome TR?SOR MIDNIGHT ROSE GIFT SET
(ランコメの香水・マスカラセット)http://goo.gl/ToKLy

Fresh Sugar Soiree Mini Lip Collection
(フレッシュのミニリップセット)
http://goo.gl/MjaUX

Bobbi Brown Caviar Oyster Travel Brush Set
(ボビー・ブラウンの化粧筆セット)
http://goo.gl/i28pu

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)ギフトセットの販売増加傾向を踏まえ、
化粧品ブランドはクリスマス商戦で
ギフトセットの販売に力を入れる。

2)その目的は、新規顧客獲得と既存顧客維持により、
クリスマス後の売上につなげることである。

3)ギフト商品を貰った人が初めて利用すれば、
新規顧客獲得機会になり、
新たな製品をセットにして販売すれば、
既存顧客を維持できる。
4)ギフトを顧客獲得・維持機会に利用するのは、
化粧品という商材の特徴ゆえである。その特徴とは、
「リピート購入しやすい」「粗利益率が低い」
「価格弾力性が低い」である。

5)同じ特徴の持つ商材ならば、化粧品同様、
お得感のあるギフトセットの販売を、
顧客獲得・維持機会として活用できるだろう。
***************************

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読んだ経験を活かして、頻出の英単語を
日々紹介しています。
頻出の英単語を知っていれば、
見出しや第一パラグラフを読んだだけで、
記事の概要を理解できることができるので、
時間の短縮になるはず。
世界に広がる英語情報のインプットが増えれば、
より個性的なアウトプットにもつながります。
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◎Winecarte 簡単ワインの選び方

そう言えば、この前飲んだワイン、まだ冷蔵庫に眠っています。
週末逃すと、なかなか飲む機会がないのが現実。
http://wine.ryotarotakao.com/

◎Food @Kobe
イベントではないですが、
先日スーパーで年始を睨んだ日本酒の特売を見つけました。
少し早い気がしますが、
こういう売場があるからこそ、買う人もいるのでしょうね。

編集後記
化粧品について取り上げると、
化粧品売場を実際に見たくなりました。
男性だけでは行きにくい場所ですが、
恐れず踏み入れようと思います。

高尾亮太朗のツイッター⇒ http://twitter.com/ryotarotakao
高尾亮太朗の公式サイト⇒ http://ryotarotakao.com
高尾亮太朗のTubmlr⇒ http://ryotarotakao.tumblr.com
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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!

ご質問・ご相談・ご感想がございましたら、ご連絡ください。
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| 高尾亮太朗 | マーケティング | 19:30 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
【619号】米日用品メーカーが男性向けマーケティングに力を入れる理由とは?
 

P&Gのジョイジェルタブ


◎本日のニュース

1)見出し
A Truce in the Chore Wars

【出典】
http://goo.gl/Vty3g


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2)要約
家事をする男性の増加が、
日用品メーカーのマーケティングに影響を与えている。
女性は、パートナーに家事をして欲しいと考える反面、
うまくできるか不安を持っている。この点に注目し、
日用品メーカーは、男性が使いやすいだけでなく、
女性が安心して任せられる製品の開発を行う。

広告宣伝においては、男性の家事参加を促すメッセージが多い
。この際、家事に無力だと思われたくない男性の心理を汲み取り、
男性へのブランド浸透を目指す。

男性の家事参加の背景には、
景気状況が回復しても不安定な雇用環境がある。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Makers of big household cleaning products are
 keeping close tabs on an important behavioral change
 inside American homes―the slow but steady reapportioning
of domestic chores, as more men wash dishes, mop floors
and do laundry.

4)キーとなる英文の和訳
大きな家庭用清掃用品の製造会社は、
アメリカの家庭内で起こる重要な慣習の変化に注意を注いでいる。
その変化とは、食器洗いや床拭き・

洗濯をする男性が増えるに従い、
家事の役割分担がゆっくりだか確実に変化しているということであ
る。

5)気になる単語・表現
keep tabs on他動詞句〜を見張る、〜に注意を払う
reapportion他動詞〜を再分配する
chore名詞雑用
mop他動詞〜を拭く(掃除をする)

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
家事をする男性が増えたのは、
女性であるパートナーの期待がある反面、懐事情もある。
景気回復後も、多くの男性が不定期雇用の状態が続いたので、
配偶者である女性が働きに出る必要があった。その結果、
女性の家事に当てられる時間が短くなり、
男性が家事をしなければならなくなった。
以下のようなデータもある。

【男性と女性の家事時間に関するデータ】
[男性の1日の家事時間]2003年14分→2011年16分
[女性の1日の家事時間]2003年58分→2011年52分
【男性と女性の家事役割分担に関するデータ】
[男性が行う家事の割合]1965年1/5未満→2011年1/
3

この変化に反応したのが、日用品メーカー。
記事で取り上げられているのは、
P&G(Procter & Gamble)とキンバリークラーク(Kimberly-
Clark)である。
P&Gは、日本でもおなじみの洗剤やシャンプーなどのメーカー。
キンバリークラークも同様で、ティッシュのクリネックスや
ハギーズというおむつを製造している。

興味深いのは、ただ男性向けの製品を開発したのではなく、
夫に家事を任せる女性の心理も考慮した製品を開発している。
次の統計を見れば、夫の家事参加に対する女性の心理を
垣間見ることができる。

【男性の家事参加に対する女性の心理】
◯57%の女性が、パートナーや配偶者に
もっと家事を手伝って欲しいと思っている。
◯42%の女性が、パートナーや配偶者に
安心して家事を任せられないと思っている。

家事を手伝って欲しいと思う反面、
自分がするのと同じ仕事ができないのではないかと、
不安に感じる女性が多いことがわかる。
この女性の心理を反映して開発された商品として、
以下が紹介されている。

【女性の心理を汲み取って開発された日用品】
[1]P&G タイドポッド(Tide Pods)
→1回分の洗剤が一つになったジェル状洗剤
[2]P&G バウンスドライヤーバー(Bounce Dryer Bar)
→乾燥機の中で1ヶ月持つ柔軟剤

1は、夫や家族が洗剤を入れすぎたり少なすぎたりしないか、
という女性の不安を解消する。
また、女性が夫の家事に対して不安に感じる心理に対して、
次のようなキャンペーンも行なっている。

[3]P&G 「マンアップ クリーンアップ」(“Man Up, Clean UP”)
キャンペーン→男性にもっと家事をしようと促す一方で、
女性にも男性に家事をやってもらおうと訴える。

ただ、日用品メーカーが、男性向けの商品開発・
広告宣伝を行うのは、
家事をする男性が増えたからだけではない。もう一つの理由は、
男性の方が、女性よりもブランドロイヤリティが高いからである。
男性の購買行動を考えれば、
男性への販促を強めるメリットがわかる。

【男性の購買行動】
◯買い物時間は女性よりも短い。
◯事前に何を買うか決める可能性は、女性よりも低い。
◯ブランドロイヤリティは、女性よりも高い。

つまり、男性は、売場で商品をパッと見て、
自分の好きなブランドを買う確率が女性寄よりも高いということで
ある。
あれこれ価格や使い方を比べることはしない。だからこそ、
男性への宣伝広告は重要だと言える。
日用品メーカーの男性への宣伝広告として、
以下の事例が紹介されている。

【日用品メーカーの男性への宣伝広告】
[3]P&G 「マンアップ クリーンアップ」キャンペーン
[4]P&G 洗剤のタイド(Tide)のCMで夫の洗濯シーンを流す。
66年間のCMで初めて。
[5]P&G NFLスポンサーのタイドのパッケージに、NFLの選手を掲載。
[6]キンバリークラーク 父親におむつ交換を試して欲しい旨のCMを流す。

面白いのは6で、6のCMの前には、
フットボールの試合に夢中になっておむつ交換をしない
父親をCMで流したところ、
男性からの非難を浴びることになった。
そこで、6のCMに切り替えられた。このCM交換劇は、
自分は無力だと思われたくない男性の心理を物語っている。

このように、
家庭での家事分担の変化とロイヤリティの高さの違いにより、
アメリカの日用品メーカーは、男性へのマーケティングに力を
入れているのではあるが、日本ではどうか。 日本でも、
非正規雇用の増加を考えれば、共働きの増加は想像に難くない。
そして、現状の洗剤が、家事に慣れない男性にとって
使い勝手がいいとは言えない。アメリカと同じことが、
日本でも起こってもおかしくないだろう。実際、P&
G日本法人は、
ジョイジェルタブという商品を発売している。

Tide Pods http://goo.gl/6TPJP
Bounce Dryer Bar http://www.bouncefresh.com/dryer-bar/
Man Up Clean Up  http://goo.gl/Ycv2M
TideのCM http://www.youtube.com/watch?v=M28l-6LUp3w
TideのNFL仕様ボトル http://goo.gl/GhW6G
HuggiesのCM http://www.youtube.com/watch?v=13CNGiNQfg8
P&G
のジョイジェルタブ http://goo.gl/NFl7n

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)アメリカ日用品メーカーは、
家事を行う男性の増加に対応して、
男性向けの商品開発や宣伝広告を行なっている。

2)その際、夫に任せることへの女性の不安を考慮している。
つまり、女性が安心して任せられるような、
簡単に使える商品を開発している。

3)また、男性が女性よりもブランドロイヤリティが高い点も、
男性向け製品のマーケティングに力を入れる要因である。

4)事前に買うものを決めずに、売場で咄嗟に決めるので、
男性へのブランド認知を高めるために、
男性向けの宣伝広告に力を注いでいる。

5)
非正規雇用の増加など日本もアメリカに似ている点を考えれば、
日本で男性向けの日用品が増えても、不思議ではない。
*************************

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なんといっても、12/6からルミナリエが始まります。


編集後記
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【618号】ベビーブーム世代が与えるアメリカ外食業界への影響とは?
 

パネラ・ブレッドの看板

By javajoba

◎本日のニュース

1)見出し
Boomer Influx Shakes Up Restaurant Industry

【出典】
http://goo.gl/vs7kB


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2)要約
従来は若年層を主要顧客にしていた外食業界に、
ベビーブーム世代が変化を促している。
ベビーブーム世代をターゲットにした
外食企業が業績を伸ばす一方、
若年層にこだわる企業は業績を悪化させている。

業績の違いは、ベビーブーム世代と若年層の消費動向による。
ベビーブーム世代は退職を遅らせることで、
可処分所得が増える一方、時間が不足しており、
外食の利用頻度を高めている。一方、若年層は、
景気後退や長引く失業問題の影響をモロに受け、
外食の利用機会を減らしている。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Aging baby boomers are digging into a growing share of
 restaurant meals, a trend that has created some winners
 and losers as it shakes up an industry that has tended
 to cater to younger customers.

4)キーとなる英文の和訳
年齢を重ねるベビーブーム世代は、
レストラン利用客のシェアをどんどん高めている。
この傾向は、これまで若い顧客に注意を注ぐ傾向にあった
業界に変化を促すことによって、
新たな勝者と敗者を生み出してきた。

5)気になる単語・表現
dig into自動詞句〜を彫り抜く、〜に刺さる
shake up他動詞句〜を動揺させる、〜の心をかき乱す
cater to自動詞句(人の要求・要望)に応ずる;
                (娯楽・食事など)を供する

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
記事で紹介されている企業は、以下の通りである。

パネラブレッド社(Panera Bread Co.)
:パンと食事ができるファストカジュアルレストラン
チポトーレメキシカングリル社(Chipotle Mexican Grill Inc.)
:タコス・

ブリトーなどのメキシコ料理のファストカジュアルレストラン
マクドナルド社(Mcdonald’s Corp.)
:ハンバーガーのファストフードレストラン
バーガーキングワールドワイド社(Burger King Worldwide Inc.)
:ハンバーガーのファストフードレストラン
ウェンディーズ社(Wendy’s Co.)
:ハンバーガーのファストフードレストラン

これらのレストランが、ベビーブーム世代の影響を受けることで、
業績に変化が起きているという。ちなみに、
ベビーブーム世代とは1946年〜1964年生まれ。
ベビーブーム世代と外食企業の業績の関係を簡単にまとめると、
以下のようになる。

【ベビーブーム世代による各外食企業の業績の変化】
[1]ベビーブーム世代の集客に力を注ぐ
→業績好調=パネラブレッド、バーガーキング、ウェンディーズ
[2]若年層を依然主要顧客と捉える
→業績悪化=チポトーレ、マクドナルド

ベビーブーム世代をターゲットに設定するかどうかで、
このような業績の違いが生まれるのは、
ベビーブーム世代と若年層の消費動向に大きな違い
があるからである。まとめると、以下のようになる。

【ベビーブーム世代と若年層の外食利用動向】
◯ベビーブーム世代=
退職を遅らせることで可処分所得が比較的多く、
忙しくなった→外食利用頻度が高まる。
◯若年層=景気後退・高失業率の影響をもろに受け、
節約志向を高める→外食利用頻度が低下する。

具体的には、ベビーブーム世代と若年層の外食利用に関する
統計数字として、以下の様なものが紹介されている。

【ベビーブーム世代と若年層の外食利用に関する統計数字】
[1人あたりの年間外食回数]
2008年 48歳以上207回 ・18−47歳240回
→2011年 48歳以上210回・18-47歳211回
[来店シェア]
2008年 48歳以上40%・18−47歳60%
→2011年 48歳以上46%・18−47歳54%

年間外食回数を見ると、ベビーブーム世代の回数は
さほど変わっていない(1.5%増)一方で、
若年層の回数は大きく減少している。(12.1%減)
若年層の節約志向が高まっていることを物語る。
また、ベビーブーム世代の外食利用頻度を大きく
増やしているわけではない。記事で事例が紹介されていたが、
これまで高単価のステーキレストランを利用していたベビーブーム
世代が、
より客単価の低いパネラブレッドを利用している。
景気低迷の影響は、
ベビーブーム世代も受けていることがわかる。

業績好調の企業は、ベビーブーム世代を
ターゲットに設定したのであるが、
具体的には次のようなことを行なっている。

【業績好調のパネラブレッドとバーガーキングが行ったこと】
◯パネラブレッド→自宅のようなリラックスできる雰囲気や
ソフトなBGMを提供、新鮮な原材料を利用、朝食メニューを拡充
◯バーガーキング→スナックラップやスムージー・サラダなど、
より高品質な新メニューを導入

ちなみに、ウェンディーズに関しては言及がない。ただし、
サイトを見ると、新鮮なサラダやモッツァレラチーズを使った
ハンバーガーなど、
品質の高いメニューを提供しているのがわかる。

興味深いのは、パネラブレッドが朝食メニューを拡充したこと。
ベビーブーム世代のニーズに合致したのであるが、
業界全体で見ても、朝食需要には潜在成長力がある。
実際、ランチ・ディナーの来店客は横ばいである一方で、
朝の来店客は前年比3%増加している。

一方、ベビーブーム世代ではなく若年層をターゲットにする
チポトーレは、同様の商品をより安く提供する
ヤム・ブランズ社(Yum Brands Inc.)のタコベル(Taco Bell)に
顧客を奪われている。1600人以上の顧客に調査したところ、
その大部分がタコベルの新製品を食べたと答えた。
節約志向を高める若年層をターゲットにすれば、
価格競争に巻き込まれることがわかる。

同じことは、マクドナルドでも起こっている。
マクドナルドの月1回以上利用するヘビーユーザーは、
18〜44歳。この層が節約志向を高めていることにより、
景気低迷と競争激化の影響をもろに受け、
10月の既存店売上高は9年ぶりにマイナスに転じた。

12月3日の日経新聞朝刊にて、
日本マクドナルドに関する解説記事
(「誰がマックを『食べた』のか」)が掲載されてあった。
そこで述べられていたことは、
日本マクドナルドの業績悪化の要因は、
消費者の外食から内食への転換ではないか、ということ。
これは、若年層をターゲットにする日本マクドナルドが、
若年層の節約志向の影響をもろに受けていることを示している。
アメリカのチポトーレやマクドナルドと同じである。
ならば、本当の解決策は、若年層ではなくベビーブーム世代の
ニーズを満たすメニュー・雰囲気を提供することではないか。
アメリカのみならず、日本の外食企業も、
ベビーブーム世代への対応を迫られているように感じる。

Panera Bread http://www.panerabread.com/
Chipotle Mexican Grill http://www.chipotle.com/
McDonald’s http://www.mcdonalds.com/us/
Burger King http://www.bk.com/
Wendy’s http://www.wendys.com/
Taco Bell http://www.tacobell.com/

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)アメリカ外食業界では、ベビーブーム世代をターゲットに
するかどうかで、業績に大きな違いが生じている。

2)その理由は、ベビーブーム世代は、
退職を先延ばしにすることにより、可処分所得を増やし、
忙しくしているからである。一方、従来の外食業界の
ターゲットである若年層は、景気後退・長引く失業問題の
影響をもろに受け、節約志向を高めている。

3)ベビーブーム世代をターゲットにするためには、
リラックスできる雰囲気や品質重視のメニューを
提供する必要がある。その結果、価格競争に巻き込まれなくなる。

4)一方、節約志向の若年層をターゲットにすれば、
価格競争に巻き込まれる。実際、チポトーレは
タコベルに顧客を奪われ、マクドナルドは
9年ぶりに既存店売上高がマイナスに転じた。

5)日本の外食企業も、依然若年層を主要顧客にしていることで、
内食との競争に巻き込まれているのではないか。
ベビーブーム世代に照準を合わせることが、
業績好転への処方箋になるように思える。
*************************

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◎Food @Kobe
元町商店街にて、北播磨のイベントが行われるようです。
長い巻きずしを作るそうなのですが、
画像を見ると、その大きさが半端ではないですね。
12/6の平日ですが、楽しそうなイベントです。
北はりま元気市 http://goo.gl/q4BTk

編集後記
本当に寒くなりましたね。
エアコンのスイッチをついにオンにしました。
電気代節約のため、電気ストーブの購入を考えています。

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【617号】世代で異なる買い物スタイルからわかるネット販促の盲点とは?
 

ショッピングカート

By Shlomi Fish

◎本日のニュース

1)見出し
Shopping's Great Age Divide

【出典】
http://goo.gl/waFJ4


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2)要約
ITの発達・普及により、

世代間で買い物方法に違いが表れている。
ベビーブーム世代は、ネット通販は利用するものの、
大きな買い物はモール等を利用。紙のクーポンを切り抜いて、
来店する。一方、
ベビーブーム世代の子供にあたるミレニアル世代は、
ネット上で情報を入手して、店頭では製品を手に取って確かめる。
ネット通販の価格と比較して、購入店を決める。

そこで、小売店側は、将来性のあるミレニアム世代や
それ以下の世代の来店を促そうと、
ネットを活用した販促方法に切り替えようとする。しかし、
あまり急速に販促方法を切り替えると、
既存顧客であるベビーブーム世代の離反を招くことになる。

そのやり方として、若者をターゲットにした店頭限定クーポンを
ネットで配布することや、若者向けのブランドやサイトを
新たに立ち上げることなどがある。ただ、
若者向けを考えるあまり、
品ぞろえの変更ばかりか、ロゴまで変えたために、
客離れを起こした小売店もある。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Retail chains are struggling with how to respond
to families like the Ulticans, hoping to capture
the attention of the so-called Millennial generation,
ages 16 to 34, but fearful that moving too fast will
alienate baby boomers.

4)キーとなる英文の和訳
小売チェーンは、ウルティカンさんのような家族に
対応することに奮闘している。
16歳から34歳までの所謂ミレニアル世代の注意を引きたいと
考える一方で、急速な変化はベビーブーム世代の離反を
招くのではないかと恐れている。

5)気になる単語・表現
struggle with自動詞句〜と闘う、〜に取り組む
respond to自動詞句〜に答える;〜に反応する
capture他動詞〜を捕える、〜を引き付ける;〜を獲得する
alienate他動詞(以前親しかった人)を遠ざける、
疎外する

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
記事で紹介されているのは、ウルティカン(Ultican)
さん家族。
夫婦二人・子供二人の家族である。その家族の買い物スタイルは、
以下のとおりである。

[54歳と56歳の夫婦]
ネット通販の利用頻度は以前よりも高くなったが、
大きな買い物を携帯電話で行うことはない。
モールに出かける時は、
切り取った紙のクーポンを持参する。

[24歳の娘]ソーシャルメディアやメールに届く広告を見て、
店頭に出向く。ネットと店頭を比べて、購入店を決める。

[10歳の娘]スマホのカメラで購入予定品の写真に撮り、
友人と共有。友人の意見を聞いて、購入する。

54歳・56歳はベビーブーム世代(1946年〜
1959年生まれ)、
24歳はミレニアル世代(1970年代後半〜
1990年代生まれ)であるので、
世代ごとに買い物の特徴をまとめると、次のようになる。

【ベビーブーム世代とミレニアル世代の買い物スタイルの違い】
[ベビーブーム世代]ネット通販を利用するも、
実店舗を利用する時はその場で購入することが多い。
紙のクーポンを使う。

[ミレニアル世代]ネット(特にSNS)で情報を収集し、
実店舗で実物を確認。ネット通販と実店舗の価格を比べ、
より価格の低いお店で購入する。
(結果的に、ネット通販で購入することが多い。)
メールやSNSを通じて、特価情報を入手・活用する。

[参考 ミレニアル世代より若い世代]友達の意見を聞きながら、
購入する。

ベビーブーム世代とミレニアル世代の現在の消費総額を比べると、
次のようになる。

【ベビーブーム世代とミレニアル世代の消費総額】
[ベビーブーム世代]年間34億ドル
[ミレニアル世代]年間2億ドル

ベビーブーム世代の消費力の高さは、
ミレニアル世代の10倍以上。
この違いを見れば、小売店はベビーブーム世代への販売に力を
入れているように感じるが、実際はそうではない。
2020年にはベビーブーム世代と同等の消費力を持つことになる

ミレニアル世代の集客に力を入れている。ちなみに、
クリスマス商戦での支出金額の違いを、比べると次のようになる。

ベビーブーム世代とミレニアル世代のクリスマス商戦での支出金額
[ベビーブーム世代]一人あたり約760ドル
[ミレニアル世代]一人あたり820ドル
※この統計では、25歳〜44歳をミレニアル世代、
45歳〜64歳をベビーブーム世代とした。
上記定義と若干異なる。

ミレニアル世代の支出金額は、
全消費者層の中で一番大きいという。
クリスマス商戦というプレゼントを購入する時期で、
一人あたりで計算すると、
ミレニアル世代はベビーブーム世代を上回る。
小売店が、
クリスマス商戦にミレニアル世代の集客に力を入れるのは、
当然である。

各小売店が採るミレニアル世代の集客方法は、
次の2つにまとめることができる。

【ミレニアル世代の集客方法】
[1]ネットから実店舗への誘導(ウォルマート・
ストアーズやベストバイなど)
[2]若者向けブランドやサイトの新設(
メイシーズやシアーズなど)

1について、具体的には、
実店舗限定の割引クーポンをネットで配布している。
ミレニアル世代はネットの利用機会が多いので、
クーポンを手に入れた見込み客を実店舗に集客できる。

2について、ミレニアル世代は、
親が買い物に行くようなお店を嫌う。
そこで、従来とは異なるブランドやサイトを立ち上げ、
従来の売場やブランドとは全く違うことをアピールして、
ミレニアル世代の注意を引こうとしている。例えば、
百貨店のメイシーズ(Macy’s)は、
今年ミレニアル世代に特化した部門を新設。
デパート内に、
ミレニアル世代をターゲットにした売場を新たに作った。
その売場はまるでブティックようなで、
明るいロゴやポップ音楽を取り入れ、
13歳〜30歳の消費者獲得を目指している。
大丸のうふふガールズ(ufufugirls)
のような売場だろうか。

ただ、やり方を間違えると、ミレニアル世代の集客ばかりか、
既存顧客であるベビーブーム世代の離反を招きかねない。
記事で紹介されている失敗事例は、JCペニー(J.C.
Penney)である。
JCペニーは、若者を呼び込もうと、店舗を改装し、
品揃えを大きく転換した。さらに、ロゴまで変え、
特別値引きを実施。
しかし、この計画は、
売上の大幅減少という結果を招くことになった。
10月末までの3ヶ月間で売上は27%減少し、
4四半期連続で売上が減少した。
このような結果を招いたのは、
親が買い物をするような場所で買いたくない
という若者の感情を理解していないばかりでなく、
売場の大きな転換に既存顧客が混乱したからである。

世代による買い物スタイルの違いは、
アメリカ以上に日本の方が大きいだろう。
スマホがいくら普及しても、使いこなせるのは
圧倒的にミレニアル世代以下の方が多い。一方、
ベビーブーム世代とミレニアル世代の人口比は、
アメリカよりも日本の方がずっと大きいだろう。
しかも、その潜在的消費余力も、ベビーブーム世代の方が
ミレニアル世代よりも大きく感じる。ならば、
アメリカのようにネットを販促に導入しすぎると、
ネットをあまり利用しないベビーブーム世代の離反を招きかねない

費用効果ばかり考えてネットに偏重すれば、
大きなしっぺ返しを受けるかもしれない。

Macy’s http://goo.gl/Jouih
ベビーブーマー http://goo.gl/vXKmf
ミレニアル世代 http://goo.gl/gckF0

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)ベビーブーム世代とミレニアル世代で買い物スタイルは
大きく異なる。

2)ベビーブーム世代は実店舗で紙のクーポンを使って
買い物するのに対し、ミレニアル世代は
ネット・実店舗双方で情報を収集し
、価格の低い場所で購入する。

3)将来大きな消費力を持つミレニアル世代の集客に、
小売チェーンは知恵を絞っている。その方法は、
ネットから実店舗への誘導や、
若者向けのブランド・サイトの新設などである。

4)ただし、若者の集客に舵を切りすぎると、
若者の集客に失敗するばかりか、
ベビーブーム世代以上の既存顧客を失いかねない。

5)日本の場合、人口・
潜在的消費力ともベビーブーム世代の方が、
ミレニアル世代よりも大きいだろう。ならば、
ベビーブーム世代が使いこなせないネットに販促が偏重すると、
ベビーブーム世代の顧客を失う羽目になる。
*************************



7)おすすめ商品・サービス

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

2008年よりウォール・ストリート・ジャーナルを
読んだ経験を活かして、頻出の英単語を
日々紹介しています。
頻出の英単語を知っていれば、
見出しや第一パラグラフを読んだだけで、
記事の概要を理解できることができるので、
時間の短縮になるはず。
世界に広がる英語情報のインプットが増えれば、
より個性的なアウトプットにもつながります。
http://english.ryotarotakao.com/

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテをだいぶ追加しました。
日々公開予定なので、乞うご期待。
http://wine.ryotarotakao.com/

◎Food @Kobe
先日、ブログでも紹介しましたが、
神戸・三宮にバーガーキングがオープンするようです。
ブログの記事 http://ryotarotakao.com/archives/3763/
そう言えば、今世紀になってから
バーガーキングは食べていないかと思います。
あのジューシーで大きなハンバーガーは、
考えただけでもよだれが出るぐらい。
楽しみです。
今のところ、ネット上の情報は求人のみですね。
http://goo.gl/6Isgu

編集後記
日本でもスマホ片手に買い物をしているのは、
ミレニアル世代以下の方がほとんどのように思います。
気になるのは、ベビーブーム世代がスマホを
どう使っているかということ。
意外に、電話・メールしか
利用していないかもしれないですね。

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!

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私もごく少ない部数の時に、
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| 高尾亮太朗 | ネット | 19:30 | comments(1) | trackbacks(0) | pookmark |
【616号】クリスマス商戦で失敗すると、靴メーカー・クロックスのようになる。
 

クロックスの靴

By thosch66

◎本日のニュース

1)見出し

Will Retailers' Black Friday Strategies Work?

【出典】

http://goo.gl/WoqPy

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2)要約
小売企業にとって、クリスマス商戦は一年で
一番重要な時期と言っても、過言ではない。
感謝祭と新年に挟まれた2ヶ月間で、
年間の約四分の一を売り上げるからである。

そのクリスマス商戦の戦い方は、各社異なる。

スニーカー小売のフットロッカー社は、値引きを最小限にとどめ、
通常価格での販売に力を入れる。その代わり、
ブラックフライデーに合わせて、新作スニーカーを発売する。

ディスカウントストア大手のターゲット社は、

ネット通販を含めた価格保証を実施するが、
独自商品の販売に力を注ぐ。一方、
同業のウォルマート・ストアーズ社は、
実店舗限定の値下げを行い、
ネット通販利用者の実店舗への集客に力を入れる。

ネット通販大手のアマゾンドットコム社は、

通常年契約のアマゾンプライムという会員制度を月契約で提供。
無料配送・動画ストリーミングを提供する
アマゾンプライムとタイムリーな値下げで、
客単価引き上げを狙う。

カジュアルシューズのクロックス社は、

過度な値下げをしない方針を昨年に撤回。ただ、
価格競争に巻き込まれ、クリスマス商戦後も価格は戻らず、
結局粗利益率を大きく損なう結果になった。

◎キーセンテンスとその翻訳

3)キーとなる英文
All are hoping to avoid misfires during a crucial selling season.

4)キーとなる英文の和訳

すべての企業が願うのは、

重要なセール時期に失敗を避けることである。

5)気になる単語・表現

misfire名詞不発;失敗
crucial形容詞欠くことのできない、必須の、
きわめて重要な

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント
記事で紹介されている小売業は、フットロッカー社(Foot Locker Inc.)、
ターゲット社(Target Corps.)、ウォルマート・ストアーズ社
(Wal-Mart Stores Inc.)、アマゾンドットコム社(Amazon.com Inc.)、
クロックス社(Crocs Inc.)の5社である。これらの企業が、
クリスマス商戦に力を入れるのは、
その時期の売上金額が大きいから。
年間の1/6であるこの約2ヶ月間で、金額は約1/
4を売り上げる。
ただし、クリスマス商戦の重要度は、5社それぞれ異なる。
第四四半期売上に占めるクリスマス商戦の売上割合は、
以下の通りである。

【クリスマス商戦の売上/第四四半期売上】

フットロッカー 27%
ターゲット 30%
ウォルマート・ストアーズ 28%
アマゾンドットコム 36%
クロックス 20%

ネット通販の方が、クリスマス商戦の重要度が高いと言える。

その原因は、普段ネット通販を利用しない層が、
クリスマス時期にはネット通販を利用するから、であろう。
実際、今年のクリスマス商戦における
モール・ショッピングセンターでの売上予測は、
昨年比2.5%上昇するものの、昨年の4.1%
上昇よりは小さな伸びに留まる。
クリスマス時期でのネット通販利用が増えるからである。

各社のクリスマス商戦での販売手法をまとめると、

以下のようになる。

【5社のクリスマス商戦の販売手法】

◯フットロッカー→値下げを最小限に止め、
通常価格での販売に徹する。その代わり、
ブラックフライデーに合わせて、新作スニーカーを発売。
◯ターゲット→ネット通販も含め価格保証を実施。
その一方で、高級小売のニーマン・マーカスとの
コラボ商品を独占販売し、価格競争を回避。
◯ウォルマート・ストアーズ→ネット通販・実店舗販売を
バランスよく行う。実店舗限定のクーポンを発行することにより、
ネット通販ユーザーを実店舗に誘導することに力を入れる。
◯アマゾンドットコム→年契約のアマゾンプライムを月単位で
提供することで、競合の顧客を奪うとともに、
客単価の引き上げを狙う。
◯クロックス→従来の過度な値引きをしない方針を昨年撤回。
単純値下げを行う一方で、二足目半額など、
買上点数の引き上げを狙う。

フットロッカーも、以前は値引き販売に力を入れていた。

昨年からこの方針を改め、通常価格での販売に力を入れる。
その結果、通常価格での販売アイテムが、60%から80%
に増えたという。
フットロッカーは他社とは異なり、
値引きに依存しない販売方法を採る。

ターゲットも、フットロッカー同様、価格競争の回避を目指す。

価格保証を実施するものの、その割合は全売上の10%
未満と予測している。
他社では扱わない独自商品の販売に力を入れる。

ウォルマート・ストアーズは、ネット・実店舗ともバランスよく

販促を行うものの、ショールーム化しかねない実店舗を重視。
それは、実店舗の方が、衝動買いが起きやすいからである。
実店舗でのクリスマス商戦を昨年より2時間前倒しし、
感謝祭当日の午後8時から行った。

アマゾンドットコムは、2日以内の無料配送サービス・

無料動画ストリーミングサービスのアマゾンプライムを活用。
アマゾンプライムは、通常年契約であるが、
クリスマス商戦では月単位で利用できるようにした。
クリスマス商戦後に解約される可能性はあるものの、
それでも、クリスマス時期にアマゾンを利用しようという
動機付けにはなる。このマグネット効果により、
アマゾンプライムを契約しなければ他店で購入していた
消費者の獲得を目指す。また、
アマゾンでの購入点数が増えることで、
客単価を向上させることもできる。さらに、
アマゾンでの購入体験に満足すれば、
クリスマス商戦後の利用にもつながる。

クロックスは、従来は過度な値引きをしない方針であったが、

売上・客数が大きく減少。その影響が、
クリスマス商戦後も続いた。
これに懲りて、昨年から他社同様に値引きを実施。しかし、
値下げを知った顧客は通常価格での購入を控えるようになり、
値下げが常態化することになった。この結果、
粗利益率が大きく悪化。
昨年の第二四半期・第三四半期の粗利益率が22%・14%
であるのに対し、
第四四半期はたったの3%。今年の第四四半期は、
損益トントンまで落ち込むとされている。

クリスマス商戦が仇となったクロックス、

クリスマス商戦で収益を拡大するクロックス以外の4社。
この違いは、その戦略にあるだろう。
他の4社の戦略をまとめると、次のようになる。

【クリスマス商戦における4社の販売戦略】

◯商品で差別化→フットロッカー、ターゲット
◯販売方法(マーケティング)で差別化
→ウォルマート・ストアーズ、アマゾンドットコム

フットロッカーとターゲットは、商品で差別化することにより、

価格競争を回避。商品開発力や他社とのつながりという強みを
活かしたことになる。また、ウォルマート・ストアーズと
アマゾンドットコムは、販売方法で差別化。これは、
価格競争力や規模の大きさという強みを活かしたことになる。
一方クロックスは、自社の強みを活かさず、
単に値下げしかしなかったために、クリスマス商戦だけでなく
クリスマス商戦後の収益も、悪化することになった。
戦略の有無は、収益に大きな差を生み出すことになる。

Foot Locker
http://www.footlocker.com/
Target.com http://www.target.com/
Walmart.com
http://www.walmart.com/
Amazon.com http://www.amazon.com/
Crocs http://goo.gl/C3tAi

***************************

《今回のヒントのまとめ》
1)年間売上の約四分の一に相当する
クリスマス商戦での販売戦略は、各社異なる。

2)商品で差別化をするのは、フットロッカーとターゲット。

独自商品を販売することで、価格競争の回避を目指す。
商品開発力・他社とのつながりという強みを活かす。

3)販売方法で差別化するのは、ウォルマート・ストアーズと

アマゾンドットコム。ウォルマート・ストアーズは、
ネット通販ユーザーの実店舗への集客に力を注ぐ。
アマゾンドットコムは、年契約のアマゾンプライムを
月単位で提供することで、アマゾンを利用する動機を生み出す。

4)一方、クロックスは、単なる値下げしか行わず、

そこには戦略がない。だから、
クリスマス商戦だけでなく商戦後も、
粗利益率の低下に悩まされることになる。

5)戦略の有無は、収益に大きな違いを生み出す。

*************************

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7)おすすめ商品・サービス


◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語


2008年よりウォール・ストリート・ジャーナルを

読んだ経験を活かして、頻出の英単語を
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頻出の英単語を知っていれば、
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世界に広がる英語情報のインプットが増えれば、
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◎Winecarte 簡単ワインの選び方


ワインカルテをだいぶ追加しました。

日々公開予定なので、乞うご期待。
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◎Food @Kobe

スルッとバルの兵庫版は、1月7日からスタートします。
スルッとKANSAI(関西)利用者限定のバル企画。
3dayチケットを今年利用したので、
密かに楽しみにしています。
ちなみに、参加店舗はまだ公開されていないようです。
http://www.surutto.com/special/bar/


編集後記

ウォルマート・ストアーズのオンライショップ
(もちろんアメリカ版)を見ると、
タブレット・パソコン関連商品では、
既に売り切れの商品があります。
人気というよりも、激安がその原因でしょう。
なんと、ワインセラーも売り切れに。
12本用で59ドル(約4800円)。
http://goo.gl/vxvYH

欲しくなりました。

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!

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| 高尾亮太朗 | 小売業 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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高尾亮太朗

1975年兵庫県姫路市生まれ。白鳥小学校・淳心学院・駿台予備学校神戸校・早稲田大学政治経済学部に進む。大学進学時に政治家を志し、早大鵬志会に入会。・・・続き
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