英語新聞ウォールストリートジャーナル(WSJ)から見た起業・ビジネスのヒント

英語がわからなくても最新アメリカビジネス事情を知りたい人、集まれ!
グローバルビジネスマンなら必読の英語新聞「THE WALL STREET JOURNAL(ウォールストリートジャーナル)」。ウォールストリート・ジャーナル研究家の高尾亮太朗が、最新の記事を解説し、起業・ビジネスのヒントを提供いたします。

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| スポンサードリンク | - | | - | - | pookmark |
【555号】ファストフード企業による直営店のFC化、店舗はどう変わるのか?
 

ファストフードチェーン

By sirwiseowl


◎本日のニュース

1)見出し
Fast-Food Franchisees Bulking Up
【出典】
http://goo.gl/hykwb

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。
(サイトへの掲載は、翌日以降です。)
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
メルマガの登録をお願いします。
(もちろん無料です。)

2)要約
ファストフード企業が、直営店のフランチャイズ(FC)

化を進めている。
この背景には、景気後退による売上の悪化があり、
FC化により利益率の向上を目指す。

一方、FC契約の委託を受けるフランチャイジーには、
実績のある旧直営店の方が、追加投資が少なく済むので、
投資の回収が早いというメリットがある。

ただし、FCの専門家の中には、直営店の大部分や
全てをFC化することは、そのブランドに対する自信を
失っていることの兆候であるとして、
注意を呼びかける人もいる。実際、直営店と言えども、
長期間店舗運営に問題があると店舗がひどく荒廃するので、
収益改善には改修など大きな投資が必要になる。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Weaker sales following the recession are prompting
many big fast-food chains to adopt leaner business models
by unloading company-owned outlets to franchisees.

4)キーとなる英文の和訳
景気後退に伴う売上の悪化により、
多くの巨大ファストフードチェーンが、
直営店のFC化によって、
無駄の少ないビジネスモデルへの転換を進めている。

5)気になる単語・表現
adopt他動詞(新しい理論・技術など)を採用(し実行)する
※ adaptは修正を加えて採用すること
lean形容詞(筋肉質で)やせた;困窮の、貧弱な;
無駄の削った
unload他動詞(人・積荷)をおろす;〜を取り除く
outlet名詞販売店、小売店;販路;販売代理店;支店

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
大手ファストフードチェーンが進める直営店のFC化の事例として

以下のものが紹介されている。

◯バーガーキングホールディングス社(Burger King Holdings Inc.)
2013年初めまでに、全米の約7200店舗の大部分、
全世界の1250店舗以上をFC化予定。
◯マクドナルド(McDonald’s)
2007年以後、全世界の直営店比率が23%から19%に低下。
◯ヤムブランズ社(Yum Brands Inc.)
ケンタッキーフライドチキン(KFC)・ピザハット・
タコベルなどを運営。
2010年、全米の直営店比率が15%から13%に低下。
今年中に、
KFC・ピザハットは5%にまで下げる。タコベルは、
2年以内に16%までに低下予定。
◯ジャンバ社(Jamba Inc.)
ジャンバ・ジュースを運営。直営店比率は、70%から40%
に低下。
◯ジャックインザボックス社(Jack in the Box Inc.)
2004年以後、FC比率が22%から72%に上昇。

大手ファストフードチェーンが、直営店のFC化を進めるのは、
利益率が高いからである。フランチャイズ本部
(=大手ファストフードチェーン)から見た直営店と
FC店の違いを簡単に比較すると、以下のようになる。

◯直営店:(費用)店舗建設費用・運営費用・材料費など
(利益)売上の一定割合
◯FC店:(費用)募集費用・運営サポート費用
(利益)固定ロイヤリティ収入+売上の一定割合

費用について、店舗建設費用が莫大にかかるので、
直営店よりもFC店の方がずっと小さい。一方、利益面では、
売上金額にかかわらず発生する固定ロイヤリティ収入があるので、
景気の影響を受けにくく、安定することになる。その結果、
フランチャイズ本部は、

◯店舗を持たない→資産(=asset)が小さくなる
◯景気に影響されない固定収入がある→利益(=return)
が安定する

となり、ROAが向上し安定する。

景気後退により売上・利益の悪化に直面した大手ファストフードチェーンにとって、
ROAの向上・安定を目指して直営店のFC化を進めることは、
メリットがあり理解できる。

一方、FCとして運営委託を受ける側(=フランチャイジー)にも、
直営店を譲り受けることにメリットがある。
それは、実績があるということである。通常、
FCを契約後に新店をオープンさせる場合、
一から見込み客の集客を
行わなければならない。それは、全国レベルの有名ブランドの
ファストフードチェーンでも、発生する仕事である。しかし、
直営店の場合は、運営実績があるので、見込み客・
顧客とも既に存在している。
だから、一から見込み客の集客を行う必要はない。
この差は大きい。
特に、フランチャイズに参加した時に新店オープンで苦労した
FCオーナーにとっては、
直営店の譲渡はとても魅力的な取引に映るだろう。
また、新規に店舗を建設する必要がないために、
初期投資が小さくて済むというメリットもある。

ただし、直営店のFC化には問題点もある。
【本部側】
1.リスクが小さい一方で、リターンも小さくなる。
2.管理運営が徹底できずに、
モノやサービスの品質低下を招く恐れがある。
【フランチャイジー側】
3.営業実績の悪い問題店の譲渡を受けると、
収益改善に多額のコストが掛かる可能性がある。
4.
直営店の大部分またはすべてのFC化を進めるチェーンの場合、
ブランド価値が大きく毀損されている場合がある。

1については、売上に比例しない固定ロイヤリティが発生する一方で、
売上に比例する利益部分が小さくなることに起因する。
利益率は改善するが、
母数の売上が無くなるために、利益額は減少する。

2については、FC本部とフランチャイジー企業との関係は、
対等である点に起因する。直営店ならば、
各店舗は本部の方針に従わざるをえず、
本部はその履行を強く求めることができる。
一方、FC店の場合は、フランチャイジー企業は独立企業であり、
契約によって本部からブランドの使用権・
指導を受けるに過ぎない。
問題があれば契約は破棄することも可能なので、
本部はFC店に強く指導できなくなり、
FC店が提供する商品の品質が下がる
可能性がある。

3については、直営店の譲渡を受けると、店舗だけでなく
スタッフも付いてくるという点に起因する。
いくら店舗が立派でも、
スタッフに問題があれば、店舗は荒れる。荒れた店舗には、
見込み客によるマイナスの口コミが起きかねない。このように、
新店がゼロからのスタートならば、問題点はマイナスからの
スタートとなる。よって収益を改善するには、
新店よりもコストがかかる恐れがある。実際、
バーガーキングの直営店をFC化する場合、店舗改修などにより
新店出店費用の半分以上も掛かる場合があるという。

4については、FCが専門の弁護士による意見である。
直営店のFC化を進めるのは、
リスクを軽減するために他ならない。
リターンはリスクに比例するので、FC化は利益額の減少を招く。
それでも、FC化を進めるということは、
リスクに見合うリターンが
望めないということに他ならない。それだけ、
ブランド価値が毀損しているということなので、
そのツケは譲渡を受けたフランチャイジーが背負うことになる。

このように、直営店のFC化には、本部・フランチャイジー双方にとって
メリット・デメリットが存在するが、利用する消費者にとっては
次のようなメリットが考えられないだろうか。それは、

地域特性により店舗が多様化する

という点である。直営店がFC化すると、
運営がフランチャイジーに委ねられるので、
店舗が悪化する懸念もあるが、
地域特性に合わせた運営ができるという
メリットもある。つまり、

直営店=他の直営店と同じ商品を提供
FC店=直営店と同じ商品+αを提供

になるので、プラスαの部分で、各店舗が差別化ができるようにならないだろうか。

もちろんこれが成り立つには、従来のFC契約が緩くなる必要がある。
ただ、緩くすることによって店舗の価値が高まり、
本部・FC店双方の利益が向上するのであれば、
検討の余地はあるだろう。

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)大手ファストフードチェーンが、
直営店のFC化を進めるのは、
景気後退による売上悪化に直面したためで、FC化によって
出店リスクを軽減するとともに、利益率を向上することができる。

2)一方、店舗の委託を受けるフランチャイジーにとっては、
店舗建設などの初期投資が低くなり、
集客がしやすいというメリットがある。

3)もちろんデメリットもある。本部側は、FC化により利益額が
減少するとともに、運営を委託することで商品の品質が
低下するリスクが起こる。一方、フランチャイジー側は、
問題点を譲渡した場合、
新店以上に収益改善にコストがかかる懸念がある。

4)利用者側から見ると、FC化により地域特性にあった店舗が
生まれれば、各店舗に違いが生まれ、利用価値が高まる。
ただし、そのためには、より緩いFC契約が必要になる。

*************************

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。
(サイトへの掲載は、翌日以降です。)
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
メルマガの登録をお願いします。
(もちろん無料です。)

7)おすすめ商品・サービス

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

2008年よりウォール・ストリート・ジャーナルを
読んだ経験を活かして、頻出の英単語を
日々紹介しています。
頻出の英単語を知っていれば、
見出しや第一パラグラフを読んだだけで、
記事の概要を理解できることができるので、
時間の短縮になるはず。
世界に広がる英語情報のインプットが増えれば、
より個性的なアウトプットにもつながります。
http://english.ryotarotakao.com/

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

最近、ワインを勉強しています。
それをアウトプットする意味でも、
ワインのサイトを始めました。
焦らず少しずつ作成する予定です。
http://wine.ryotarotakao.com/

編集後記
実は、先日FCフェアに参加しました。
比較的小さなイベントだったのですが、
本部側の熱心さは凄まじかったです。
いかにFCビジネスが儲かるかについて、
体感できました。

高尾亮太朗のツイッター⇒ http://twitter.com/ryotarotakao
高尾亮太朗の公式サイト⇒ http://ryotarotakao.com
高尾亮太朗のTubmlr⇒ http://ryotarotakao.tumblr.com
高尾亮太朗のGoogle+⇒ http://gplus.to/ryotarotakao
高尾亮太朗のPinterest⇒ http://pinterest.com/ryotarotakao/
今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!

| 高尾亮太朗 | レストラン経営 | 19:08 | comments(3) | trackbacks(0) | pookmark |
【554号】スタートアップ企業が消滅した昔のブランドを買収する理由とは?
 

 

◎本日のニュース

1)見出し
Old Brands Get a Second Shot
【出典】
http://goo.gl/4fH8Z

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。
(サイトへの掲載は、翌日以降です。)
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
メルマガの登録をお願いします。
(もちろん無料です。)

2)要約
創業間もないベンチャー企業が、昔流行ったブランドを
買収する事例が増えている。
これらのブランドの多くは、昔人気を博したものの、
すでに消滅もしくは廃れている場合が多い。

スタートアップ企業が古いブランドの買収に動く理由は、
新規にブランドを立ち上げるよりも、

マーケティングコストを掛けずに
認知を広げることができるからである。
実際、古いブランドの売買を仲介するサイトまで存在している。
また、消滅したブランドのリバイバルが行われるのは、
そのブランドに新しいビジネスモデルを吹き込めば、
価値が高まると考えるからである。ブランド消滅は、
必ずしも商品が悪いから起こったとは、考えないのである。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
The difficult economy is prompting many entrepreneurs to
try to revive old brands from the dead―or the near-dead.

4)キーとなる英文の和訳
低迷する経済状況が、多くの起業家を、消滅に近いまたは
消滅した古いブランドのリバイバルに駆りててている。

5)気になる単語・表現
prompt他動詞(人)を刺激する、駆り立てる;
(感情・行為・言葉など)を引き起こす、誘発する
revive他動詞〜を復活させる;(人)を生き返らせる

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
消滅したブランド・古いブランドを復活させた事例として、
以下が取り上げられている。

1.シーフードレストランの「シャンティ(Shanty)」
1970年オープンし、
1990年代に閉鎖したチェーンレストラン。
地元の清掃会社が7500ドルでレシピを購入後、商標を取得。
バーやシーフード売場を併設し、今年2月に開業。
2.棒付きキャンディの「アストロポップ(Astro Pop)」
2004年に終売。人材採用会社が、
3年間のロイヤリティ支払いの条件に、
商標とレシピの全世界利用権を購入。中国で生産し、
来月ニューヨークで販売再開。
3.ビールの「ナショナルプレミアムビール(National Premium beer)」
バルチモアオリオールズファンの間で人気のビール。
1930年代に発売。
1990年代半ばに終売。不動産業者が、
オークションで商標を落札。
2011年にレシピ調査を開始し、今年販売予定。
4.ポロシャツの「ボースト(Boast)」
1972年発売されたが、1990年半ばにロゴが消滅。(
ブランドだけは、
ゴルフやテニスのウェアとして存続。)2010年にロゴが買収。
2010年9月にボーストのロゴが入ったアパレルシリーズを発売

アメリカには、3年以上使われなかった商標は放棄したものとみなされ、
第三者が申請・利用できるという法律があるらしい。
これを活用したのは、
1のシャンティ。2・3・4は、商標を購入したことになる。

記事には、商標を購入するために、古いブランドのオーナーを
探している起業家が増えているという。
この古いブランドの売買を仲介するのが、
ブランドランドUSA(BrandlandUSA)
というサイト。もともとこのサイトは、
懐かしいアメリカのブランドに関する情報サイト。
古いブランドの売買を可能にしたクラシファイド広告
(「あげます」「ください」「売ります」の広告)
を掲載したところ、
アクセスが増えているという。

創業したばかりのスタートアップ企業が、古いブランドに注目するのは

◯古いブランド:認知がある→昔のユーザーの声・
口コミを利用できる
◯新しいブランド:認知がない→一から認知を作る必要がある

という違いがあるからである。景気が低迷している中、スタートアップ企業は、
それほど大きなシーズマネーを調達できない。そのため、
景気が上昇している時よりも、
ブランドの認知拡大にお金がかけられなくなる。そこで、
古いブランドに注目する。

古いブランドの場合は、昔のユーザーという一定の見込み客を集めやすい。
さらに、ユーザーの声・
評価やユーザーの口コミをマーケティングに活用できる。
一方、新規ブランドの場合は、ユーザーが全くのゼロ。
ゼロから見込み客を集めて、ユーザーを獲得するのは大変難しい。

さらに、

認知を高めるためのコストが上昇

していることも、古いブランドに注目する要因だろう。
スマートフォン・タブレット端末の普及により、
消費者が受け取る情報量が格段に増えている。その結果、
消費者の嗜好が多様化するとともに、
消費者が接する媒体も多様化している。
情報に対する目も肥えることになる。

◯街角でティッシュを配っても、以前ほど受け取られなくなった。
◯万人向けのテレビ番組よりも、
好みに特化したネットに接する時間が増えている。
◯流行・ヒットする商品の寿命が短くなっている。

などが、この状況を物語っている。その結果、ユーザー獲得が難しくなり
、ユーザー獲得コストが上昇する。そして、
新規ブランドを一から開発し、
認知を高めるよりも、
古いブランドを買取った方が安く付くことになる。

古いブランドのリバイバル成功例が増えてくると、
昔人気のあったブランドの価値が今後高まってくるのではないだろ
うか。
さらに、現状人気のブランドを他社にレンタルするなど、
ブランドの活用事例が今後増えていくると思われる。

Seafood Shanty  http://www.seafoodshanty.com/
Astro Pop(音楽が鳴るので注意) http://www.astropopcandy.com/
National Premium beer  http://www.nationalpremiumbeer.com/
Boast USA http://boastusa.com/
***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)スタートアップ企業が、古いブランドを活用するのは、
景気が低迷する中、
マーケティング費用をあまりかけられないからである。

2)新規ブランドの場合は、認知をゼロから作る必要がある一方で、
古いブランドは一定の認知が存在し、
それを大きくするだけでよい。

3)また、昔のユーザーの声や口コミを、
認知拡大に活用することができる。

4)さらに、消費者が受け取る情報量が増大していることにより、
商品・ブランドの認知を高めるコストが上昇していることも、
古いブランドのメリットを大きくしている。

5)古いブランドのリバイバル成功事例が増えると、
今後古いブランドの価値が高まるだろう。
また、既存の人気ブランドを他社にレンタルするなど、
ブランドの活用事例が増えてくると思われる。

*************************

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。
(サイトへの掲載は、翌日以降です。)
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
メルマガの登録をお願いします。
(もちろん無料です。)

7)おすすめ商品・サービス

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

2008年よりウォール・ストリート・ジャーナルを
読んだ経験を活かして、頻出の英単語を
日々紹介しています。
頻出の英単語を知っていれば、
見出しや第一パラグラフを読んだだけで、
記事の概要を理解できることができるので、
時間の短縮になるはず。
世界に広がる英語情報のインプットが増えれば、
より個性的なアウトプットにもつながります。
http://english.ryotarotakao.com/

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

最近、ワインを勉強しています。
それをアウトプットする意味でも、
ワインのサイトを始めました。
焦らず少しずつ作成する予定です。

http://wine.ryotarotakao.com/

編集後記
ボーストのロゴは、
日本の楓の葉がモチーフとして利用されています。
シンプルでかっこいいので、アメリカで人気が出れば、
日本に上陸するかもしれないですね。
かっこいいボーストのキャップ
→ http://boastusa.com/products/category?slug=men

高尾亮太朗のツイッター⇒ http://twitter.com/ryotarotakao
高尾亮太朗の公式サイト⇒ http://ryotarotakao.com
高尾亮太朗のTubmlr⇒ http://ryotarotakao.tumblr.com
高尾亮太朗のGoogle+⇒ http://gplus.to/ryotarotakao
高尾亮太朗のPinterest⇒ http://pinterest.com/ryotarotakao/
今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!

| 高尾亮太朗 | 起業 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
【553号】TV付き家具を販売するIKEA(イケア)が見つけたブルーオーシャンとは?
 


◎本日のニュース

1)見出し
IKEA to Sell TVs Integrated in Furniture
【出典】
http://goo.gl/CvlEF

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。
(サイトへの掲載は、翌日以降です。)
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
メルマガの登録をお願いします。
(もちろん無料です。)

2)要約
スウェーデンの家具大手イケアは、
テレビやスピーカーなどのAV機器付きの家具を、
今年6月にヨーロッパ5カ国で販売する。

この家具には、

LEDテレビとバススピーカー付きサウンドシステム、
インターネット接続、CD・DVD・ブルーレイディスクプレーヤーが付いており、
それぞれをつなぐケーブルが隠れている。
さらに、これらの機器を一つのリモコンで操作できる。イケアがこのような商品を開発したのは、
5カ国で実施した消費者調査の結果で、ニーズを見出したからである。
約75%の回答者がケーブルの見えないリビングルームを望み、
約60%が3〜4個のリモコンを利用している、という。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
The company's new furniture range, named UPPLEVA,
the Swedish word for experience, integrates an LED TV,
a sound system with wireless bass speakers,
an internet connection and CD, DVD and Blu-ray players―
all in one self-assembly piece.

4)キーとなる英文の和訳
イケアの新しい家具セットは、ウップリアヴァという名前で、
スウェーデン語で体験という意味。
LEDテレビに、無線バススピーカーサウンドシステム、
インターネット接続、CD・DVD・ブルーレイプレーヤーを統合し、
組立可能商品として販売する。

5)気になる単語・表現
range名詞一組、セット;列;続き;範囲
integrate他動詞〜を(〜に)まとめる、集約する
assembly名詞組立て、組立て品

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
イケアの新商品アップリアヴァ(UPPLEVA)を一言で言うと、
AV機器付き家具。LEDテレビに、無線スピーカーシステム、
インターネット接続端子、CD・DVD・ブルーレイディスクプレイヤーが付いている。

特徴は次の2つ。
1.必要最小限のケーブルを隠している。
2.一つのリモコンですべての機器を操作できる。

これらの特徴に至ったのは、5カ国・約5200人に行った
消費者調査の結果による。その結果によると、
1.4人のうち3人が、ケーブルの見えないリビングルームを望んでいる。
2.半数がリビングに置く家電の量を減らしたいと考える。
3.約60%の回答者が、3または4個のリモコンを使っている。
という、AV機器の利用実態・消費者ニーズが判明した。
つまり、消費者は、
1.ケーブルを無くしたい
2.リモコンを減らしたい
というニーズを持っていることになる。
これに対応した結果、
1.ケーブルを無くしたい→ケーブルを最小限する、見えないように隠す
2.リモコンを減らしたい→一つのリモコンですべての
機器を操作できるようにする
という特徴を持つAV機器付き家具が考案された。

そこで、従来AV機器を開発・販売してきた家電メーカーと比較すると、
次のようになる。
◯家電メーカー:消費者は高機能で便利なAV機器を望んでいる→
商品の高機能化を推し進める
◯イケア:消費者は見た目が綺麗で快適な空間に合うAV機器を望んでいる→
商品の見た目・使い勝手をより良くする

この違いは、視点の違いに由来する。つまり、
◯家電メーカー→AV機器単体に注目
◯イケア→AV機器が使われる空間に注目
という違いである。

家電メーカーの強みは、その技術力である。その高度な技術力を使って、
AV機器単体の利便性を高めるために、高機能化を推し進めることになる。
その過程で、AV機器が細分化し、次のような新たな不満が生まれるようになった。
1.ケーブルが増えて、見た目が悪くなる。
2.リモコンが増えて、使いにくくなる。
これらは、複数のAV機器が使われる空間で生まれた不満である。
だから、この不満は、単体で商品開発を進める家電メーカーには見えない。

一方、イケアの強みは、利用空間での家具のコーディネート。
コーディネートについて日々研究しているからこそ、
上記2点の不満が見えることになる。この不満解決のために採った方法が、
AV機器と家具の統合。家電メーカーが進める細分化とは対照的である。

その統合の中で行われたのが、
◯ケーブルを減らす(無線スピーカーを含む)
◯ケーブルを見えなくする
◯リモコンを減らす
◯家具を付ける
◯色を増やす(グレー・黒・青)
◯録音・録画機能の無いプレイヤーを採用
などである。これをまとめると、次のようになる。

1.取り除く→録音・録画機能
2.減らす→ケーブル、リモコン
3.増やす→色、家具
4.付け加える→見た目の良さ、家具とのコーディネート

これは、ブルーオーシャン戦略そのものである。イケアは、
自社の強みである利用空間のコーディネート力を活かして、
AV機器のブルーオーシャンを開拓していると言えるだろう。

UPPLEVA from Youtube  http://youtu.be/0Nm7-EuctOs

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)イケアが、AV機器付きの家具を開発できたのは、
利用空間のコーディネート力という強みを活かして、
消費者のAV機器への不満を読み取ったからである。

2)一方、これまでAV機器を開発・販売してきた家電メーカーは、
その利便性を高めようと、高機能化を推し進めた。
その結果AV機器は細分化したが、ケーブル・リモコンも
増えることになり、皮肉にも消費者の不満が
新たに生まれることになった。

3)この不満を解決するためにイケアが採った方法は、
統合であり、家電メーカによる細分化とは対照的である。

4)AV機器の統合の中で、録音・録画機能を取り除き、
ケーブル・リモコンを減らし、色と家具を増やし、
見た目の良さや家具とのコーディネートを付け加えることになった
これはブルーオーシャン戦略である。

5)イケアは、利用空間をコーディネートできる自社の強みを活かして、
AV機器のブルーオーシャンを開拓しようとしている。

*************************

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。
(サイトへの掲載は、翌日以降です。)
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
メルマガの登録をお願いします。
(もちろん無料です。)

7)おすすめ商品・サービス

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

2008年よりウォール・ストリート・ジャーナルを
読んだ経験を活かして、頻出の英単語を
日々紹介しています。
頻出の英単語を知っていれば、
見出しや第一パラグラフを読んだだけで、
記事の概要を理解できることができるので、
時間の短縮になるはず。
世界に広がる英語情報のインプットが増えれば、
より個性的なアウトプットにもつながります。
http://english.ryotarotakao.com/

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

最近、ワインを勉強しています。
それをアウトプットする意味でも、
ワインのサイトを始めました。
焦らず少しずつ作成する予定です。
http://wine.ryotarotakao.com/

編集後記
ユーチューブ動画を見てもらえばわかりますが、
ウップリアヴァはとてもシンプル。
商品が高機能化すれば、逆にシンプルな商品が
ウケるのかもしれません。
となると、未来のスマートフォンも、
高機能スマートフォンとシンプルな見た目のかっこいい
スマートフォンに二分化すると、考えられます。
見た目というのは、商品の競争力として今後より重要になりそうです。

高尾亮太朗のツイッター⇒ http://twitter.com/ryotarotakao
高尾亮太朗の公式サイト⇒ http://ryotarotakao.com
高尾亮太朗のTubmlr⇒ http://ryotarotakao.tumblr.com
高尾亮太朗のGoogle+⇒ http://gplus.to/ryotarotakao
高尾亮太朗のPinterest⇒ http://pinterest.com/ryotarotakao/
今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!


| 高尾亮太朗 | 小売業 | 19:41 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
【552号】ダラーシェイブクラブ、寡占のカミソリ市場に新規参入できた理由とは?
 



◎本日のニュース

1)見出し
A David and Gillette Story
【出典】
http://goo.gl/wL5tL

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。
(サイトへの掲載は、翌日以降です。)
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
メルマガの登録をお願いします。
(もちろん無料です。)


2)要約
数週間前にカミソリの販売を開始したECサイトが、

人気を博している。
このサイトの名前は、ダラーシェイブクラブ。このサービスでは、
カミソリと替刃を月3ドル〜9ドルで定期購入により販売する。

カミソリと替刃の市場は、全世界で約1280億ドルもの規模を持つ。
その市場の8割以上を大手企業が占めている。大手企業は、
膨大なマーケティング予算と緻密な消費者調査、
密接な小売店との関係を通じて、市場の大部分を囲っている。

しかし、ユーザーの価格に対する不満を解消することにより、
ダラーシェイブクラブなど定期購入による販売スタイルの新規参入

増えている。新規参入余地が生じた要因は、
市場を占有する大手企業が、
値下げせずに既存の収益源を守るために、
価格への不満に対応しなかったからである。

これに対し大手企業は、替刃の頻度を正確に伝えることにより、
定期購入商品よりも従来の商品の方が経済的であることを強調して
いる。


◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
The e-commerce start-up opened its doors just a few weeks ago,
and has already developed a following for its quirky approach to
hawking razors and blades for a $3 to $9 monthly fee.


4)キーとなる英文の和訳
創業したばかりのネット通販企業は、
数週間前にオープンしたばかりであるが、
既に一定の支持者を集めている。
それは、カミソリと替刃を月3ドル〜9ドルで販売する
サービスの認知を広げるために、一風変わったアプローチ方法を
採ったからである。


5)気になる単語・表現
following名詞従者たち;支持者
quirky形容詞一風変わった
hawk他動詞〜を売り歩く
razor名詞カミソリ
blade名詞刃

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
カミソリと替刃の世界市場規模は、約1280億ドル。
この市場のシェア上位企業・サービスは以下の通り。


◯ジレット(Gillette)→シェアは約66%。
生活用品大手プロクター・アンド・ギャンブル社
(Procter & Gamble Co.)傘下。
◯シックウィルキンソンソード(Schick-
Wilkinson Sword)
→シェアは約12.5%。エナジャイザーホールディングス社
(Energizer Holdings Inc.)傘下。
◯ビック社(Bic SA)→シェアは約5.2%。

上位3社合わせて、約83.7%のシェアを占有する。
つまり、カミソリ・替刃市場は、3社による寡占市場である。
この大手3社は、膨大なマーケティング予算と、
緻密な消費者調査、
密接な小売店との関係を通じて、
この巨大なシェアを盤石なものとしている。


この市場状況を見ると、新規参入なんて到底無理に思える。
しかし、実際には参入余地は存在していた。その余地とは、
カミソリ・替刃ユーザーの価格への不満
である。実際記事では、ジレット商品(
フュージョンプログライドパワー)
の価格が紹介されている。それは、


カミソリが12.31ドル、4個入り替刃セットが19.29ドル


である。刃を毎週交換すると、毎月約20ドルかかることになる。
さらに、替刃がなくなると、
約20ドルを一気に支払う必要がある。
支払い時に躊躇する人は多いだろう。


新規参入は、このユーザーの不満に対応する形で世界中で起こっている。
記事で紹介されている新規参入企業やサービスは以下の通りである


◯ダラーシェイブクラブ(Dollar Shave Club)→2枚刃カミソリ
(カミソリの柄は最初のみ)・5個の替刃で月3ドル(送料込み、
以下同じ)、
4枚刃カミソリ・4個の替刃で月6ドル、6枚刃カミソリ・
3個の替刃で月9ドル。
アメリカ。
◯ラズウォー(RazWar)→カミソリ・替刃・
スキンケア商品・
その他備品で年間32.5ドル。ベルギー。
◯キングオブシェイブズ社(King of Shaves Co.)→3個のカミソリで月6ドル〜8ドル。
イギリス。
◯ドルコ社(Dorco Co.)→使い捨てカミソリ2個をネット販売。


ドルコ社以外は、すべて定期購入スタイルを採る。
ユーザーの不満という外部環境の変化に対応することによって、
これらの企業・サービスは新規参入を果たした。


ただ、既存の大手3社も、この外部環境の変化に対応できないわけではない。
価格に不満を持つユーザーに向けに、
低価格品を販売すればいいのである。
しかし、それができなかった。その原因は、

低価格品を販売することにより、既存品とのカニバリを起こすことになり、
その結果収益が悪化する懸念がある

からである。つまり、イノベーションのジレンマにより、
ユーザーの不満に耳を塞いだことになる。
イノベーションのジレンマとは、


優れた特色を持つ商品を売る巨大企業が、その特色を改良する事のみに目を奪われ、
顧客の別の需要に目が届かず、その商品より劣るが 新たな特色を持つ商品を
売り出し始めた新興企業の前に力を失う理由を説明した企業経営の
理論。
大きな企業においては、規模の大きい既存事業の前に現れる新 興の事業や技術は小さく、
魅力なく映るだけでなく、
既存の事業をカニバリズムによって破壊する危険があるため、
参入が遅れる。(ウィキペディアより抜粋 http://goo.gl/V1AwO

ということである。カニバリを恐れることにより、
ユーザーの不満に真摯に対応しなかった。さらに、
その寡占状態に胡座をかいて、
新規参入リスクに目をつぶっていた。これらにより、
スタートアップ企業などの新規参入を招くことになる。


さらに、新規参入が成功するには、ニーズを満たすだけでなく、
新規商品の良さが認知されなければならない。ちなみに、
既存の大手3社には、
多額のマーケティング費用や密接な小売企業との関係により、
その商品の認知・販売を広げることができる強みがある。
この強みに対抗するために、次のような方法を採った。


◯認知を広げる方法→強みのIT技術を駆使し、
ユーチューブなどの無料動画で認知を広げ、
フェイスブックやツイッターなどのSNSを通じて支持者を獲得。
◯販売を広げる方法→ネットフリックスのような郵送による
定期配送スタイルを採ることにより、低コストで直販が実現。


実際に、ダラーシェイブクラブのユーチューブ動画を見たが、
とてもコミカルでつい見入ってしまった。この動画を見た後、
試しに定期購入を申し込んだ人も多いだろう。
定期購入商品の場合、
この最初の購買行動が一番大きなハードルになることを考えれば、
コミカルな動画はその目的を十分果たしている。また、
DVDを郵送で定期配送するネットフリックスの普及は、
カミソリと替刃を定期郵送するというサービスの違和感を小さくさ
せている。


このように、ダラーシェイブクラブに代表されるカミソリ・
替刃の定期購入サービスの新規参入は、次のような要因によって、
成功したことになる。


1.ニーズの存在と解決→カミソリ・替刃の価格に対する消費者の不満
2.既存企業による追随リスク→大手3社による寡占も
イノベーションのジレンマにより参入余地あり
3.マーケティングの可能性→無料動画サービス・
SNSにより低価格で
認知・販促
4.販路開発→
郵送を使った定期配送により低コストでの直販を実施


出発点はニーズの存在である。ニーズがあるからこそ、
ニーズを満たす商品が生まれる。さらに、既存企業との競争にも
勝たなければならない。その点で、イノベーションのジレンマは、
新規企業にとって大きな味方となる。さらに、
財務力に乏しい新規企業は、
できるだけ低コストで、商品の認知・
販促を行わなければならない。
また、新規参入企業は、販路に乏しいことが多いので、
通販に頼らざるを得ないが、
その場合低コストで行えるかどうかは、
売れ行き・利益に大きな影響を与える。この4点は、
カミソリ・替刃市場のみならず、
市場への新規参入を考える場合に熟慮すべき点である。


Dollar Shave Club(すぐに動画が始まるので注意)
http://www.dollarshaveclub.com/

RazWar http://www.razwar.com/
King of Shaves Co. http://www.shave.com/home/
Dorco Co.  http://eng.dorco.co.kr/


***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)カミソリ・替刃市場は、大手3社により
80%以上のシェアを寡占されている。

2)それでもダラーシェイブクラブなどの新規参入が可能になったのは
ニーズの存在と解決、既存企業の追随リスクの小ささ、
低コストでのマーケティング、低コストでの販路開発が
可能になったからである。

3)価格に不満を持つユーザーの存在により、
低価格で定期購入する商品が開発され、
イノベーションのジレンマにより
既存企業が影響しない参入余地が生まれた。
さらに、無料動画サービスやSNSにより、低コストで
商品の認知・販促が可能となり、郵送を使った定期配送により
低コストで直販が行えるようになった。

4)この4点をクリアすれば、カミソリ・替刃以外の市場でも
新規参入は可能になるだろう。

*************************


毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。
(サイトへの掲載は、翌日以降です。)
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
メルマガの登録をお願いします。
(もちろん無料です。)


7)おすすめ商品・サービス

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

2008年よりウォール・ストリート・ジャーナルを
読んだ経験を活かして、頻出の英単語を
日々紹介しています。
頻出の英単語を知っていれば、
見出しや第一パラグラフを読んだだけで、
記事の概要を理解できることができるので、
時間の短縮になるはず。
世界に広がる英語情報のインプットが増えれば、
より個性的なアウトプットにもつながります。
http://english.ryotarotakao.com/


◎Winecarte 簡単ワインの選び方

最近、ワインを勉強しています。
それをアウトプットする意味でも、
ワインのサイトを始めました。
焦らず少しずつ作成する予定です。
http://wine.ryotarotakao.com/


編集後記
替刃の価格、日本でも高いですよね。
1000円以上もするから、売場でついつい迷ってしまいます。
ただ、持っているカミソリに合った替刃が決まっているので
、実際には選択の余地はありません。
もしかしたらに、プリンターのように、
互換替刃が出てくるかもしれないですね。
ドラッグストアやスーパーで販売されるか
どうかはわかりませんが。


高尾亮太朗のツイッター⇒ http://twitter.com/ryotarotakao
高尾亮太朗の公式サイト⇒ http://ryotarotakao.com
高尾亮太朗のTubmlr⇒ http://ryotarotakao.tumblr.com
高尾亮太朗のGoogle+⇒ http://gplus.to/ryotarotakao
高尾亮太朗のPinterest⇒ http://pinterest.com/ryotarotakao/
今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!

| 高尾亮太朗 | 中小ベンチャー | 19:37 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
【551号】ウォルマート・ターゲットが行った実店舗のショールーム化回避策とは?
 

ターゲット

By infowidget


◎本日のニュース

1)見出し
Can Retailers Halt 'Showrooming'?
【出典】
http://goo.gl/rKnMB

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。
(サイトへの掲載は、翌日以降です。)
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
メルマガの登録をお願いします。
(もちろん無料です。)

2)要約
実店舗を持つ小売企業にとって、
実店舗のショールーム化が大きな問題となっている。
ショールーム化は、実店舗で商品を確かめてから、
他社の通販サイトで購入するという
消費行動によって起こる。これによって、
実店舗の利益が損なわれるだけでなく、
競合するネット通販専門小売企業の利益が
増えることになる。

大手チェーンを中心に、実店舗のショールーム化を
避けるために工夫を凝らす企業が増えている。
例えば、ターゲット社は、実店舗において
競合他社では取り扱わない専用商品の販売に力を入れ、
直接の価格競争から避けようとしている。
また、顧客の携帯電話に、属性に合った割引クーポンを
配信することにより、値崩れを避けつつも
実店舗の低価格を訴求している。ウォルマート社では、
自社通販サイトで注文した商品を実店舗で受け取れる
サービスを展開して、送料も含めた通販支払総額の低さ
と利便性の高さを訴えている。

実店舗のショールーム化が起こる一番の原因は、
ネット通販専門企業での価格の方が実店舗も持つ
企業での価格よりも低いからである。この低価格は、
販管費や売上税の違いによって起こる。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
If brick-and-mortar stores can't compete on price,
it is unclear how successful they can be
with tweaks to merchandising and customer service.

4)キーとなる英文の和訳
実店舗の小売店が価格で競争できなければ、
品揃えや顧客サービスで改良してもそれが
うまくいくかどうかわからない。

5)気になる単語・表現
brick-and-mortar形容詞現実社会だけの、
インターネット上に存在しない;従来型の
compete 自動詞競争する、張り合う
tweak名詞つねること;(コンピューターの)微調整、
マイナーな改良
merchandising名詞製品計画;販売促進;
戦略商品;商品化計画

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
実店舗のショールーム化については、
以前に記事で取り上げた。
http://goo.gl/xxivf

その際は、ターゲットの回避策について
取り上げられていたが、今回はターゲットと
ウォルマートの回避策が紹介されている。

実店舗のショールーム化が起こる原因は、とても単純。
通販サイトの方が実店舗よりも安いからである。
さらに、ネット通販専門企業の通販サイトの方が、
実店舗も持つ企業の通販サイトよりも安い。
記事ではこの価格差について、数字を挙げて説明してある。
◯売上税が発生しない場合、アマゾン・ドット・コムの価格は、
ウォルマートドットコム(ウォルマートの通販サイト)よりも
9%低い。
◯売上税が発生しない場合、アマゾン・ドット・コムの価格は、
ターゲットドットコム(ターゲットの通販サイト)よりも
14%低い。
◯売上税の掛かる場合、アマゾン・ドット・コムの価格は、
ウォルマートの実店舗よりも11%低い。
◯売上税の掛かる場合、アマゾン・ドット・コムの価格は、
ベストバイの実店舗よりも8%低い。
売上税の有無があるが、これを一般化すると、
価格は以下のようになるだろう。
ネット通販専門企業の通販サイト<実店舗を持つ
小売企業の通販サイト<実店舗を持つ小売企業の実店舗
実際に、大手小売チェーンでは、ネット通販の価格を実店舗よりも
低く設定する。例えば、
ターゲット→通販サイトの方が実店舗よりも2%安い
ウォルマート通販サイトの方が実店舗よりも1%安い

この価格差により、実店舗に商品を見に来た消費者は
そのお店で購入せず、競合のネット通販専門店で
購入することになる。これが、実店舗のショールーム化を
引き起こす。

このショールーム化を避けるための方法は、
以下の二つにまとめることができる。
1.品揃えや利便性追求により、直接の価格競争を回避する。
2.

商品だけでなく商品と送料の総支払金額で専業通販サイトと競う。

1は、ターゲットによる独自商品の販売である。
ターゲットは、供給業者に競合企業(ネット通販・実店舗)
では扱っていない独自商品の供給を強く要望している。
販売商品を大きく差別化することによって、
ターゲットでしか買えない状況を作り、実店舗での購入を促す。
また、ウォルマート・ターゲットは、買い物リストが簡単に作れる
スマートフォンアプリを配信している。
この利便性の高いアプリを使えば、実店舗や自社通販サイトでの
買い物を簡単に行うことができる。

2については、さらに二つに分けられる。まず、
ウォルマートによる店舗引き取りサービスである。
これにより、ウォルマートの通販サイトで購入した商品を、
最寄りの店舗で引き取ることができる。もちろん送料は掛からず、
購入日と同じ日に引き取ることができる。
商品を受取るとなると混雑も予想される。
そこで混雑回避のために、
タッチスクリーンで操作できるコンピューターを受け取り場所に設
置し、
待ち時間が短くなるように工夫している。

もう一つは、ターゲットによる個別割引クーポンの配信である。
このクーポンでは、
顧客ロイヤリティプログラムと連動しているため、
顧客の属性に合った商品が割引される。これにより、
値崩れを避けるだけでなく、
購入確率の高い人に購入確率の高い商品を
割引販売できる。この結果、利益率を大きく損なうことになく
売上を確保できる。

この二つの方法は顧客属性によって、効果が異なる。
効果を最大化するためには、
1.価格重視の消費者→2の総支払価格で専業通販サイトと競う。
2.利便性・サービス重視の消費者→1の品揃え・
サービスによって
専業通販サイトと差別化する。
というように、
属性によって採るべき方法を変える必要があるだろう。

実店舗のショールーム化は、専業通販サイトと
実店舗との価格差によって起こる。さらに、
その価格差は、販管費や税負担によって生じるので、
ビジネスモデルの違いと言ってよい。ならば、
店舗不動産や運営コストの掛かる実店舗企業が、
低コストの専業通販サイトと価格で競うことには限界がある。
そこで、実店舗を持つ小売企業は、専業通販サイトが持たない
実店舗という経営資源を活用する必要がある。

実店舗という強みを活かすという点で、
ウォルマートの方法は参考になる。ウォルマートは、
店舗引き取りサービスにおいて、
引取り場所の店舗奥に設置している。
これにより、引き取りにやってきた消費者は、
商品が並ぶ店舗内を回遊する必要があり、
ついで買いをしやすくなる。店舗引き取りサービスは、
利用者にとっては、すぐに送料無料で手に入れられる
というメリットがあり、一方でウォルマートにとっては、
ついで買いを起こすことにより売上を増やせるという
メリットがある。これは、実店舗の持つ「
否応無しに商品が目に入り、
受動的に買い物をさせる」という強みを活かしたものである。
ちなみに、ネット通販では、検索による能動的な買い物が
主体である。

実店舗を持つ小売企業が、価格だけで専業ネット通販企業と
競争するには無理がある。そこで、価格を重視する消費者と
サービス・利便性を重視する消費者に顧客・見込み客を分けて、
それぞれに異なった販促を行うことによって、
売上・利益を確保する必要があるだろう。また、
受動的な買い物をさせるという店舗の持つ強みを活かすことも
必要である。

Wal-Mart Stores Inc. http://www.walmart.com/
Target Corp. http://www.target.com/
Best Buy Co. http://www.bestbuy.com/site/index.jsp

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)実店舗のショールーム化が起こるのは、
専業通販サイトと実店舗に価格差があるからである。
さらに、その価格差は、
販管費や税負担の違いによって起こるので、
両者のビジネスモデルは異なる。

2)ビジネスモデルが異なる両者が価格で競争しても、
限度がある。

3)そこで、より運営コストのかかる実店舗を持つ小売企業は、
価格を重視する消費者とサービス・
利便性を重視する消費者に

顧客・見込み客を分けることにより、販促方法を変える必要がある。
これにより、利益率の大きな低下を避けるとともに、
売上を稼ぐことができる。

4)また、実店舗という強みを活かすことも重要だ。
実店舗には、来店客に有無を問わず商品を見せられる
という強みがある。この受動的な買物をさせる強みは、
ネット通販にはない。

*************************

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。
(サイトへの掲載は、翌日以降です。)
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
メルマガの登録をお願いします。
(もちろん無料です。)

7)おすすめ商品・サービス

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

2008年よりウォール・ストリート・ジャーナルを
読んだ経験を活かして、頻出の英単語を
日々紹介しています。
頻出の英単語を知っていれば、
見出しや第一パラグラフを読んだだけで、
記事の概要を理解できることができるので、
時間の短縮になるはず。
世界に広がる英語情報のインプットが増えれば、
より個性的なアウトプットにもつながります。
http://english.ryotarotakao.com/

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

最近、ワインを勉強しています。
それをアウトプットする意味でも、
ワインのサイトを始めました。
焦らず少しずつ作成する予定です。
http://wine.ryotarotakao.com/

編集後記
実店舗の持つ強みとして最近私が考えるのは、その情報です。
商品にまつわる情報でもいいし、
全く関係のない情報でもいいのです。
あのお店で買うと、
店員さんが耳寄りな情報を教えてくれるとなると、
少々価格が高くとも売れるのでは、と考えます。
その情報によって、これまで知らなかった商品の使い方を
知ることができれば、商品の価値が上がり、
相対的な商品価格は下がることになります。
さらに、店員さんとのふれあいにより、
人と交流したいという消費者のニーズは満たされることになり、
そのお店で買う価値が高くなります。
逆に、これらの付加価値のない実店舗は、
ネット通販との価格競争に敗れていくのでしょう。

高尾亮太朗のツイッター⇒ http://twitter.com/ryotarotakao
高尾亮太朗の公式サイト⇒ http://ryotarotakao.com
高尾亮太朗のTubmlr⇒ http://ryotarotakao.tumblr.com
高尾亮太朗のGoogle+⇒ http://gplus.to/ryotarotakao
高尾亮太朗のPinterest⇒ http://pinterest.com/ryotarotakao/
今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!

| 高尾亮太朗 | 小売業 | 19:09 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
【550号】香水メーカー・コティ、エイボン・プロダクツへの買収提案とブラジル市場の魅力。
 

エイボン・プロダクツ

By Vanessa.Cecilia


◎本日のニュース

1)見出し
Coty Knocks on Brazil's Door
【出典】
http://goo.gl/EV2L9


毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。
(サイトへの掲載は、翌日以降です。)
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
メルマガの登録をお願いします。
(もちろん無料です。)


2)要約
米香水メーカーのコティ社がエイボン・

プロダクツ社に買収提案したのは、
ブラジル市場への進出を目指しているからである。南米は、
アメリカ・日本に次ぐ世界で三番目に大きな美容市場であり、
特にブラジルでは歴史的に美容品を使う文化がある。

エイボン・プロダクツがブラジルで大きな力を持つのは、
訪問販売という販売方法による。経済が未成熟のブラジルでは、
小売店舗網が未発達であり、また女性に強い人間関係があるため、
訪問販売の売上金額・比率は他の先進国や新興国よりも大きい。
よって、訪問販売に強みを持つエイボン・プロダクツは、
ブラジルの美容品市場で大きなシェアを獲得している。

ただし、経済が成長するにつれて、店舗販売金額の増加率が高まり、
訪問販売の伸び率を凌駕するに至っている。訪問販売と違い、
店舗販売には、時間に融通が効いたり、
商品を実際に手に取って見たりなど、
利便性が高いという魅力がある。特に、
欧米の高級化粧品メーカーは
店舗販売での売上を大きく伸ばしている。

一方で、エイボン・プロダクツは、
新しいコンピューターシステム導入に伴う注文の取りこぼしなどに
より、
昨年後半から売上が低迷している。その結果、
10四半期で初めて、
売上増加率が10%下回ることになった。


◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Avon's door-to-door sales force in Brazil has given it a
leading role in the country.


4)キーとなる英文の和訳
エイボンのブラジルでの訪問販売力は、ブラジル市場において
一番の役割を果たしてきた。


5)気になる単語・表現
force名詞力、強さ
role名詞役割、任務、機能
line up自動詞句一列に並ぶ
leading形容詞先頭に立つ;一流の;主役の、主演の


◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
ここ1週間ほど、コティ社(Coty Inc.)によるエイボン・
プロダクツ社(Avon Products Inc.)への買収提案の記事をWSJでよく見かける。
エイボン・プロダクツはこの提案を拒絶しており、
敵対的買収のようである。

記事にもあるように、コティがエイボン・プロダクツを
買収したがっているのは、エイボン・プロダクツが持つ
ブラジル市場での大きなシェアを獲得したいからである。
この記事を読んで初めて知ったのだが、南米はアメリカ・
日本に次ぐ
世界で三番目の化粧品市場。そのため、コティのみならず、
ロレアル(LOreal)、エスティ・ローダー(Estee Lauder)、
プロクター・アンド・ギャンブル(Procter & Gamble)など
多くのグローバル化粧品メーカーが、南米市場へ進出している。
コティがその他グローバル企業と違うのは、
大衆向けの低価格ブランドの販売を念頭に置いているところである

一方、グルーバル企業は高級ブランドの開拓を目指す。

この商品戦略の違いが、販売手法の違いにも表れている。
大衆品の販売を目指すコッティは、
ブラジルでの化粧品販売の主流である
訪問販売を採らざるを得ない。そこで、
ブラジルでの化粧品訪問販売市場で
大きなシェアを持つエイボン・
プロダクツの買収を目指すことになる。
ちなみに、エイボン・プロダクツのブラジル市場での競合は、
地元企業であるナチュラコスメティコス社(Natura Cosmeticos SA)。
ナチュラコスメティコスは、
化粧品訪問販売でのシェア一位である。

ブラジルの化粧品市場で訪問販売が主体である理由は、
1.ブラジル経済の成熟度が低いから。
2.ブラジルでは女性のネットワークが強いから。
である。成熟度の低い経済では、
労働力のスキルは依然低いままである。

そこで、スキルの低い販売員が労働市場に参入すると、
まず身近な自分の家族や友人に売って、収入を稼ごうとする。
これが訪問販売につながることになる。さらにブラジルでは、
女性の人間関係が強いので、多くの女性が使う大衆化粧品市場で
訪問販売が主流になり得る。実際に、ブラジル美容ケア市場での
訪問販売シェアは28.6%で、13.9%の中国や7.9%
アメリカよりもずば抜けて大きい。
化粧品に限らず、ブラジルの全商品を対象とした訪問販売金額は、
80億ドルにも及ぶ。(2009年実績)

一方で、高級品は店舗販売という方法を取る。恐らく、
店舗販売によりブランドイメージを統一・
維持することが可能だからだろう。
訪問販売が主流のブラジルでは、店舗網は発展途上であるが、
経済成長するにつれて店舗販売も増えている。例えば、
◯エスティー・ローダー→昨年売上金額が50%近く増加。
◯ロレアル→メイベリン(Maybelline)
ブランドの売上金額は、
2年連続年率50%増加。今後ブラジルでの生産増加や値下げ・
TVCM放映により、
更なる増加を目指す。

など急成長を遂げている。店舗販売が伸びるのは、訪問販売と比べて
、買い物時間を縛られないからである。訪問販売の場合は、
友人と会う時間を予め設定しなければならない。一方、
店舗販売の場合は、
開店時間であるかぎり、買いたい時にお店に行けば済む。
また、友人や店員さんに気兼ねせず商品を触れるのも、
店舗販売の大きな魅力である。

ここで、訪問販売と店舗販売のメリット・デメリットをまとめると、
以下のようになる。

【訪問販売】→発展途上の経済で主流
◯メリット→信頼できる友人から購入できる
◯デメリット→友人の薦めを断りにくい、
好きな時に買い物できない、
商品を気兼ねなく試せない

【店舗販売】→発展した経済で主流
◯メリット→好きな時に買い物できる、商品を気兼ねなく試せる
◯デメリット→店員が信頼できるかわからない
経済がさらに発展・成熟すると、店舗販売の先にネット販売が
現れるのであろう。

【経済の発展度合いと販売手法の関係】
1.発展途上→訪問販売
2.発展→店舗販売
3.成熟→ネット販売

このように経済の発展度合いにより販売手法も変わるが、
ネットを通じた情報流通が世界的に広がり速まると、
この変遷のスピードは経済の発展度合い以上に速まるだろう。
よって、ブラジル市場におけるエイボン・
プロダクツの訪問販売という強みは、
それほど維持継続できないのではないかと、懸念される。
特に経済が急成長する市場では、
次を見越した商品や販売方法の開発が求められる。

Coty Inc. http://www.coty.com/
Avon Products Inc. http://www.avon.com/

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)コティがエイボン・プロダクツの買収を目指すのは、
エイボン・プロダクツが持つブラジル化粧品市場での
シェアの大きさが魅力的だからである。
経済が発展途上のブラジルでは、
エイボン・プロダクツの訪問販売が、大衆化粧品販売で大きな力を
発揮している。

2)一方で、アメリカ・日本に次ぐ大きさの南米化粧品市場を目指して、
高級化粧品メーカーは、ブラジルでの店舗販売を進め、
売上金額を急増させている。店舗販売が急激に伸びるのは、
訪問販売よりも利便性が高いからである。

3)経済の発展度合いによって、販売方法も変遷する。
発展・成熟するに従って、訪問販売が店舗販売に変わり、
そしてネット販売が伸びるようになる。

4)ただ、ネットを通じた情報流通が速まると、
この変遷スピードが経済の発展度合いを飛び越すことになる。
特に、経済成長の著しい新興国では、この傾向が高まるので、
先を見越した商品・販売方法の開発が求められる。

*************************

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。
(サイトへの掲載は、翌日以降です。)
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
メルマガの登録をお願いします。
(もちろん無料です。)


7)おすすめ商品・サービス

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

2008年よりウォール・ストリート・ジャーナルを
読んだ経験を活かして、頻出の英単語を
日々紹介しています。
頻出の英単語を知っていれば、
見出しや第一パラグラフを読んだだけで、
記事の概要を理解できることができるので、
時間の短縮になるはず。
世界に広がる英語情報のインプットが増えれば、
より個性的なアウトプットにもつながります。
http://english.ryotarotakao.com/

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

最近、ワインを勉強しています。
それをアウトプットする意味でも、
ワインのサイトを始めました。
焦らず少しずつ作成する予定です。
http://wine.ryotarotakao.com/

編集後記
私の小さな頃は、
化粧品や食器などの訪問販売がちらほら見られました。
しかし、今ではほとんど見かけなくなりました。
大きな流れとして、小売の販売手法が人から
セルフに変わってきているからでしょう。
ただし、消費が多様化すると、
範囲の狭い情報の重要性が高まるので、
セルフから人に回帰するのではないかと、思います。
例えば、より安全な食料品を求める人は、
スーパーではなく八百屋に行くようになるなど。
この場合、単にモノを買うのではなく、
販売を通じた情報も買うことになるのでしょう。

高尾亮太朗のツイッター⇒ http://twitter.com/ryotarotakao
高尾亮太朗の公式サイト⇒ http://ryotarotakao.com
高尾亮太朗のTubmlr⇒ http://ryotarotakao.tumblr.com
高尾亮太朗のGoogle+⇒ http://gplus.to/ryotarotakao
高尾亮太朗のPinterest⇒ http://pinterest.com/ryotarotakao/
今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!

| 高尾亮太朗 | 新興国 | 19:41 | comments(1) | trackbacks(0) | pookmark |
【549号】米スタートアップ企業が大学生に注目する理由とは?
 

大学でのプロモーション

By eric731


◎本日のニュース

1)見出し
Big Marketers on Campus
【出典】
http://goo.gl/wt4RP

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。
(サイトへの掲載は、翌日以降です。)
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
メルマガの登録をお願いします。
(もちろん無料です。)

2)要約
IT系のスタートアップ企業で、大学生を販促担当として活用する
事例が増えている。大学生は、教室のホワイトボードに
ブランドの名前やURLを買いたり、大学構内で知らない人に
話しかけたりすることで、実生活でブランド認知拡大に務める。
また、ブランドのフェイスブックページを作ったり、
動画投稿やツイートしたりするなど、ネット上でも活動を行う。

このような活動は、ボランティアで行われ、金銭的な報酬を
受取ることはほとんどない。

大学生が無償でこのような活動を行うのは、
活動を就職の履歴書に書けるからである。また、
無料または割引価格で
商品を利用できたり、業界リーダーの講演を無料で聞けたり、
その他仕事に役立つスキルを身につけたりすることが可能だからで
ある。

一方、資金力の乏しいスタートアップ企業にとっては、
無料で販促担当を雇うことができる点が大きなメリットである。
また、友人に話すことが好きな大学生を活用することで、
口コミ効果も期待できる。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Students from the University of Southern California to
Dartmouth College are lining up to become on-campus volunteer marketers
for technology start-ups.

4)キーとなる英文の和訳
南カリフォルニア大学からダートマス大学まで複数に渡る大学の学
生が、
IT系スタートアップ企業の無償学内販促担当になろうとしている

5)気になる単語・表現
line up自動詞句一列に並ぶ

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
大学生を販促担当として活用しているスタートアップ企業として、
以下の企業・サービスが取り上げられている。
◯レント・ザ・ランウェイ(Rent the Runway)=
オンラインのデザイナーズドレスレンタルサービス
◯フォースクエア(Foursquare)=
オンラインの地理共有サービス
◯スタイリティクス(Stylitics)=オンライン上で、
持っている服や欲しい服を友人と共有できるサービス

企業が無償で大学生を販促担当として活用するには、
企業と大学生双方にメリットがなければならない。
そこで、両者のメリットを挙げてみると、以下のようになる。

【大学生のメリット】
1.履歴書に職歴として書くことができる。
2.好きなウェブサービスを広めることができる。
3.仕事上で役立つスキルを磨くことができる。
4.無料または割引価格で商品を利用できる。
5.学内で特別な存在になれる。
6.単位をもらえる場合がある。
7.その企業に就職できる場合があるから。
【企業のメリット】
1.無料で販促してもらえる。
2.コミュニケーション密度の高い大学生グループを活用できる。

まず大学生のメリット1について、このメリットが一番大きい。
記事でも、

Instead, ambassadors say they garner a different type of currency:
r?sum? fodder.
「その代わり、販促担当者たちは、
違う形の通貨を蓄積するとされている。
その通貨とは、履歴書の経歴である。」
※記事の中では、
販促を担う大学生を企業のambassador(大使)としている。

として、最初に取り上げられている。日本同様、
アメリカでも大学生の就職先はなかなか見つけられない。
そこで、履歴書に無償で行った活動を書くことによって、
面接の際に有利に進めることができる。
就職に有利になるということは、
大学生にとって一番訴求力がある。そして、7にあるように、
大学生の販促担当を社員として雇う企業もあり、販促活動が
そのまま就職に繋がる可能性さえある。また、
就職の推薦状を書くなど、
販促担当者の就職活動を支える企業もある。6のように、
一部ではあるが、
大学と企業が提携して、販促活動を単位として認めることで、
就職を後押しすることもある。

2については、好きなことなら無報酬でも行うということ。
特に、普段からネットを使う大学生にとって、
インターネットサービスは
好きなことであり、報酬が無くてもモチベーションが高まる。
さらに、4のように、
無料または割引価格で好きな商品を利用できるとなると、
働く意欲はさらに高まる。

3については、以下の事例が紹介されている。
◯スタイリティクスの販促を担ったエイミー・
アームストロングは、
仕事を通じて調査スキルを磨けて、知らない人に話掛けることに
自信が持てたことを、そのメリットとして答えている。
◯スタイリティクスは、大学生の販促担当者を毎月集めて、
ファッション業界のリーダーの講演を聞ける機会を設けている。
◯スタイリティクスは、
見た目のいい履歴書の書き方を教えている。
単に履歴書の見た目が良くなるだけでなく、実際に仕事を行う上で
役立つスキルを身につけることもできるようになる。

5について、例えば「学内CEO」や「ソーシャルメディア部長」などの
肩書きを付けることで、
大学内で唯一無二の存在として企業は認める。
これにより、販促担当の大学生は、
自尊心がくすぐられることになる。

企業にとってのメリットは、それほど複雑ではない。
財務力の乏しいスタートアップ企業にとって、
無料で大学生を販促担当として雇えることが、
一番大きなメリットだろう。

そして、それに劣らずに大きいのが、口コミ効果である。
多くのインターネットサービスでは、成否が、
いかに早く会員数を増やせるかどうかに掛かっている。
ただ、スタートアップ企業の場合、会員獲得に大きな広告費を
掛けることはできない。そこで、口コミを活用することになる。
口コミに関して言えば、大学生は大きな力を持つ。大学生は、
自分がしたことや見たこと、聞いたこと、
買ったことなどあらゆることを、
実生活やネット上で友人と共有する。さらに、多くの大学生は
ネットサービスを好むので、IT系のスタートアップ企業は、
大学生の口コミを活用しない手はない。

これらをまとめると次のようになるだろう。
◯大学生のメリット→就職・仕事に役立つから、
好きな商品を格安で利用できるから、特別な存在になれるから
◯企業のメリット→無料で利用できるから、
大きな口コミを期待できるから

より一般化すれば、
若者をターゲットするインターネットサービスを提供する企業は、
大学生を無償の販促担当として利用することが可能で、
そのメリットは大きい。
となる。これは、若者をターゲットにする場合だけでなく、
若者以外の場合でも活用できる。その場合、ターゲットが
集まる場所やターゲットが属する団体に注目する。そして、
一方的に企業が与えるのではなく、
無償で動く大学生の販促担当のように、
ターゲット層が参加できる形にする必要があるだろう。

Rent the Runway http://www.renttherunway.com/
Forsquare https://ja.foursquare.com/
Stylitics http://www.stylitics.com/

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)IT系スタートアップ企業が無償で大学生を販促担当として
活用できるためには、大学生と企業双方にメリットが必要となる。

2)大学生のメリットは、その活動が就職や仕事に役立ち、
また販促対象の好きな商品を格安で利用できることである。
企業から特別な存在として扱われることも、その自尊心を
くすぐる効果がある。

3)企業のメリットは、無料で販促担当者を雇えることと、
口コミ効果が期待できることである。大学生は、
毎日の生活で起こったことを友人と共有することが多く、
口コミが起こりやすい。特に、大学生が好きな
インターネットサービスの場合は、口コミ効果はさらに高まる。

4)このように考えると、若者をターゲットとする
インターネットサービスを提供する企業は、
大学生を活用しない手はない。

5)また、若者以外をターゲットとする場合、
そのターゲットが集まる場所や属する団体に注目し、
ターゲット層が参加できる販促方法を取ると、
低コストで大きな口コミ効果を期待できる。

*************************

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。
(サイトへの掲載は、翌日以降です。)
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
メルマガの登録をお願いします。
(もちろん無料です。)

7)おすすめ商品・サービス

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

2008年よりウォール・ストリート・ジャーナルを
読んだ経験を活かして、頻出の英単語を
日々紹介しています。
頻出の英単語を知っていれば、
見出しや第一パラグラフを読んだだけで、
記事の概要を理解できることができるので、
時間の短縮になるはず。
世界に広がる英語情報のインプットが増えれば、
より個性的なアウトプットにもつながります。
http://english.ryotarotakao.com/

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

最近、ワインを勉強しています。
それをアウトプットする意味でも、
ワインのサイトを始めました。
焦らず少しずつ作成する予定です。
http://wine.ryotarotakao.com/

編集後記
少子化のせいか、大学生市場はあまり
注目されていないと感じます。
新聞に登場するのも、就職関連の記事ぐらい。
もしかしたら、多様化が進んで、
大学生を一括りにできないのかもしれませんが。
大学生の購買力は乏しいですが、
その行動力やデータは魅力的です。

高尾亮太朗のツイッター⇒ http://twitter.com/ryotarotakao
高尾亮太朗の公式サイト⇒ http://ryotarotakao.com
高尾亮太朗のTubmlr⇒ http://ryotarotakao.tumblr.com
高尾亮太朗のGoogle+⇒ http://gplus.to/ryotarotakao
高尾亮太朗のPinterest⇒ http://pinterest.com/ryotarotakao/
今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!

| 高尾亮太朗 | 広告・マスコミ | 19:42 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
【548号】アンハイザー・ブッシュ・インベブ、大衆向け商品を持つという強者の弱みとは?
 

バドライトライム

By origamidon


◎本日のニュース

1)見出し
How to Build Buzz for Bud: More Alcohol, Lime-a-Rita
【出典】
http://goo.gl/8ivmS

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。
(サイトへの掲載は、翌日以降です。)
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
メルマガの登録をお願いします。
(もちろん無料です。)

2)要約
アンハイザー・ブッシュ・インベブ社は、

出荷数量が3年連続減少し、
さらにシェアも低下した北米市場のテコ入れに力を注いでいる。

まず、19の新製品を今年発売する。これは、インベブ社が
アンハイザー・ブッシュ社を買収して以来一番多い。
この新製品によって、
北米で売上が伸びる地ビールを拡充するとともに、
若者に人気のカクテルから売上を奪おうとしている。また、
アルコール度数の高いライトビールを発売することで、
アルコール度数の高いハードリカーユーザーの取り込みを狙う。

卸企業との取り組みも強化する。競合他社の商品よりも
自社商品を優先して販売してくれる卸企業を、M&
A面で支援する。

もちろん、アンハイザー・ブッシュ・インベブの主力商品である
バドライト・バドワイザーは、NFLとのスポンサー契約や
新しいTVCMなど広告宣伝を強化することによって、
売上減少への歯止めを掛ける。

アンハイザー・ブッシュ・インベブが北米市場テコ入れに力を入れる背景には、
アメリカの景気回復がある。景気回復によって、
アンハイザー・ブッシュがこれまでターゲットとしてきた
比較的収入が少ない若者男性に、その恩恵が伸びると期待する。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Luiz Edmond has a big assignment at the world's largest brewer:
Get Americans to stop ditching his company's beer.

4)キーとなる英文の和訳
ルイス・エドモンドは、世界最大のビールメーカーで
大きな宿題を抱えている。
それは、アメリカ人のアンハイザー・ブッシュ・インベブ離れを
止めることである。

5)気になる単語・表現
assignment名詞(仕事・任務などの)割り当て、仕事;
宿題
ditch他動詞〜を見捨てる、〜との関係を断つ;〜
に溝の掘る;〜を溝に落とす
stop Ving他動詞句(人などが)(進行中の行為)をやめる、
中断する

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
記事で紹介されているアンハイザー・ブッシュ・インベブ社
(Anheuser-Busch InBev NV)の全米市場での業績は以下の通り。
(2008年と2011年の比較)

営業利益率:30%弱→40%超
出荷数量=販売数量:3年連続減少し、3年間で3.2%減少。
2000年以来初めて1億バレルを切る。
販売シェア:48.9%→46.9%

全米のビール市場全体は約2億バレル。これまでその半分の
シェアを握っていたが、この3年間で大きく減少。
ビールの小売価格がそれほど大きく上昇しているとは考えにくいの
で、
出荷数量の減少は売上金額の減少につながる。
営業利益率が上昇しているのは、
広告宣伝費などコスト削減を行ったからであろう。北米市場で、
アンハイザー・ブッシュ・インベブはジリ貧なのは明らかである。
※2010年のデータでは、
全米のビール市場全体が縮小している。
http://goo.gl/Ft2OK

この低迷から抜け出すために行ったのが、次の施策。
1.バドライ(Bud Light)・バドワイザー(Budweiser)のテコ入れ
2.アルコール度数の高いビールの発売
3.フレーバービールの強化
4.地ビールの強化
5.流通企業との関係強化

1について、バドライトとバドワイザーは、
全米市場でナンバーワン・ナンバースリー商品であり、
アンハイザー・ブッシュ・インベブの基幹商品。しかし、
バドワイザーが23年連続出荷数量が減少しているなど、
売上は大きく低迷している。基幹商品の売上低迷が、
アンハイザー・ブッシュ・インベブのシェア低下に
つながっているのだろう。だから、
この2商品の優先度が一番高い。
この両商品は大衆向けの商品であるため、
マスコミ広告を強化してテコ入れを行う。

2については、アルコール度数の高い商品によって、
スピリッツなどのハードリカーユーザー獲得を目指す。
今年1月に発売したバドライトプラチナ(Bud Light Platinum)は、
この代表例。アルコール度数は6%で、アルコール度数4.2%の
バドライトよりも高い。また、
コバルトブルーのボトルで販売することで、
スピリッツの注文が多いバーでの露出を狙う。
バーで話題に上ることにより、
小売店や飲食店での売上を伸ばそうという作戦である。
これは今のところ多いに成功しており、すぐに約1%の社を獲得。
欠品するほど売れ行きは好調に推移している。

3は、カクテルユーザーの獲得を目指したものである。
これに属する商品として、マルガリータに似た風味の
バドライトライム・ア・リタ(Bud Light Lime-a-Rita)や、
ミケロブブランドの紅茶・
レモネード風味やサイダー風味のビールの発売
を予定している。

4については、市場が拡大する地ビール市場に注目した施策である。
地ビール市場は、2011年の製造数量が昨対比13%上昇し、
1000万バレルに初めて到達した。全米のビール市場全体は
約2億バレルなので、約5%のシェアを握るまでに成長している。
アンハイザー・ブッシュ・インベブは、
この成長市場に目を付けた。
2月には、ショックトップ(Shock Top)ブランドの
ヴァイツェン風インディアペールエールを発売している。
インディアペールエール http://goo.gl/JIIEH

また、昨年買収した地ビールメーカー・グースアイランド
(Goose Island)の販促を強化する。グースアイランドは、
昨年20%以上も売上数量を伸ばしている。

最後の5について。これは製品に関することではなく、
販売に関する施策である。ミラークアーズ社(
MillerCoors LCC)など
の競合他社よりもアンハイザー・ブッシュ・インベブを優先的に
販売する卸企業を支援するとしている。ビール流通は、
直取引ではなく卸を通じた取引を行うため、
この施策を危惧する声も出ている。
締め付けが強くなると、流通企業のアンハイザー・ブッシュ・
インベブ離れを
引き起こす恐れもある。

これらをまとめると次のようになる。
1.バドライト・バドワイザーのテコ入れ→大衆向け
2.アルコール度数の高いビールの発売→
ハードリカーユーザー向け
3.フレーバービールの強化→カクテルユーザー向け
4.地ビールの強化→地ビールユーザー向け
5.優先販売する卸企業への支援→販売強化策、強すぎると逆効果
まさに全方位を担う強者の戦略である。
あらゆるターゲットに向けた商品を開発し、
それぞれに力を入れる。さらに、卸企業との関係を密にして、
販売面も力を入れる。

しかし、逆に言うと、全方位を担うがゆえに、
すべてが力不足になり兼ねない。特に、大衆向けのバドライト・
バドワイザーに、
その売上金額・数量を大きく依存していることは、
アンハイザー・ブッシュ・インベブの首を締めるかもしれない。
大きく依存しているがゆえに、
より大きな経営資源を注入せざるをえないが、
一方で大衆向けのビール市場は縮小している。さらに、
アンハイザー・ブッシュ・
インベブによる卸企業への締め付けが強くなると、
卸企業はアンハイザー・ブッシュ・
インベブの商品を多く扱わざるを得なくなるが、
一方で消費者ニーズは多様化している。このギャップが、
アンハイザー・ブッシュ・
インベブをより苦境に落と入れる恐れがある。

強者にこのような弱みがあることを考えると、
中小企業の持たない弱みは強みになり得る。
数少ないブランドやその他経営資源を、
小さく絞ったターゲット市場にすべて投入することができるからで
ある。
その結果、その小さな市場で弱者が強者に勝つことは可能だろう。

Anheuser Busch InBev NV http://www.anheuser-busch.com/s/
Bud Light Platinum http://www.budlightplatinum.com/gate.php
Shock Top http://www.shocktopbeer.com/s/
Bud Light Lime http://budlightlime.com/Home.aspx
Michelob http://www.michelob.com/Default.aspx
Goose Island http://www.gooseisland.com/

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)アンハイザー・ブッシュ・インべブ社は、低迷する北米市場を
テコ入れするために、販売を強化する。
その背景にはアメリカの景気回復があり、
ターゲットとする低収入の若者に、
その恩恵が及ぶことを期待している。

2)その方法は、基幹商品で大衆向けのバドライト・バドワイザーのテコ入れ、
ハードリカーユーザーの獲得を目指すためのアルコール度数の高い
ビールの発売、
カクテルユーザー獲得を目指したフレーバービールの強化、
成長する地ビールの販売強化、そして卸企業との関係強化である。

3)あらゆるターゲット層を念頭に置いた強者の戦略であるが、
縮小する大衆向けビールのバドライト・
バドワイザーに依存するがゆえに、
経営資源を無駄に使うことになりかねない。さらに、
卸企業との関係強化は、
多様性を好む消費者ニーズに反することになりかねず、
アンハイザー・ブッシュ・インベブの首を締めるかもしれない。

4)これは強者の弱みとも言え、逆に考えると、
持たないことは弱者の強みになり得る。少ない経営資源を
絞ったターゲット市場にぶつければ、
強者に勝つことも可能だろう。

*************************

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。
(サイトへの掲載は、翌日以降です。)
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
メルマガの登録をお願いします。
(もちろん無料です。)

7)おすすめ商品・サービス

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

2008年よりウォール・ストリート・ジャーナルを
読んだ経験を活かして、頻出の英単語を
日々紹介しています。
頻出の英単語を知っていれば、
見出しや第一パラグラフを読んだだけで、
記事の概要を理解できることができるので、
時間の短縮になるはず。
世界に広がる英語情報のインプットが増えれば、
より個性的なアウトプットにもつながります。
http://english.ryotarotakao.com/

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

最近、ワインを勉強しています。
それをアウトプットする意味でも、
ワインのサイトを始めました。
焦らず少しずつ作成する予定です。
http://wine.ryotarotakao.com/

編集後記
多様性の進むアメリカビール市場ですが、
日本市場はどんどん画一化が進んでいるように思えます。
大手4社の力が強いゆえ、
さらに大手はブランド集約を進めています。
地ビール人気も少しは大きくなっていますが、
まだマニアの域は出ていないのではないでしょうか。
地ビール人気が盛り上がらない一番大きな理由は、
身近なお店で売っていないことのように感じます。

高尾亮太朗のツイッター⇒ http://twitter.com/ryotarotakao
高尾亮太朗の公式サイト⇒ http://ryotarotakao.com
高尾亮太朗のTubmlr⇒ http://ryotarotakao.tumblr.com
高尾亮太朗のGoogle+⇒ http://gplus.to/ryotarotakao
高尾亮太朗のPinterest⇒ http://pinterest.com/ryotarotakao/
今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!

| 高尾亮太朗 | 食品 | 19:14 | comments(1) | trackbacks(0) | pookmark |
【547号】米ヨガウェア店・ルルレモン、1年で株価が倍増した理由とは?
 

ルルレモン

By lululemon athletica


◎本日のニュース

1)見出し
Lululemon's Secret Sauce
【出典】
http://goo.gl/Uqhxg

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。
(サイトへの掲載は、翌日以降です。)
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
メルマガの登録をお願いします。
(もちろん無料です。)

2)要約
ヨガウェアなどを販売するルルレモン・アスレティカ社は、
業績の成長率が著しいため、ITスタートアップ企業並みの
株価を記録している。過去9四半期で売上は30%以上上昇し、
株価は過去1年で約2倍。1平方フィートあたりの売上金額は
約1800ドルで、高級百貨店のニーマン・

マーカスの3倍以上となる。

このような好業績・高成長の要因として、ルルレモンの特殊は
販売手法・店舗運営手法を挙げることができる。まず、
ルルレモンは、多店舗展開を急がず、
在庫を多く持たないことによって、
商品に希少性を持たせている。これにより、定価販売を可能にし、
顧客にできるだけ早い購入を促す。値引きはほとんど行わない。

また、顧客データを収集するソフトウェアの利用や、
グループ調査の実施、その他ネット活用を行わない。その代わり、
来店した顧客の買物行動を観察し、不満・意見に耳を傾ける。
これを製品や店舗運営の改善に役立てている。

ただし、その成長率は鈍化しており、株価は高すぎという意見もある。
成長鈍化に対応するために、
ルルレモンはオールシーズン商品の拡充に
力を入れている。一方、
世界進出などの成長余地が大きいとする意見もある。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Lululemon Athletica Inc., the apparel chain with
a tech start-up's valuation, as expected told investors
its sales grew strongly for the 12th consecutive quarter.

4)キーとなる英文の和訳
ルルレモン・アスレティカ社は、IT系スタートアップ企業並みの
株価を付けるアパレルチェーンであるが、
予想通り12四半期連続で売上が力強く増加したことを投資家に説
明した。

5)気になる単語・表現
valuation 名詞評価、査定;評価額
as expected副詞案の定、予想通り
consecutive形容詞連続した

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
まずは、記事で紹介されたルルレモン・アスレティカ社
(Lululemon Athletica Inc. 以下ルルレモン )の業績を見てみる。

2011年度の売上金額 7億1200万ドル
2012年度第四四半期の売上金額 3億7150万ドル(昨年同期比51%上昇)
2012年度第四四半期の純利益 7350万ドル(昨年同期比34%上昇)
2012年度第四四半期の一株利益 51セント (昨年同期 38セント)
2012年度の売上金額 10億ドルを突破
2013年度の売上見込 13億〜13億2500万ドル
2013年度の一株利益見込み 1.5〜1.57ドル

直近の四半期決算で売上51%増・利益34%増を見ると、
業績の急拡大ぶりが理解できる。この急成長実績・
今後の急成長期待により、株式時価総額は104億ドルにも達し、
より規模の大きな小売企業であるJCペニー社(J.C. Penney Co.)と
比べても、時価総額は上回っている。

この急成長を可能にしたのが、ルルレモンの特殊な販売手法・
店舗運営手法である。まとめると、以下のようになる。

1.在庫を少なくして、商品に希少性を出す。
2.定価販売を原則とし、ほとんど値引きをしない。
3.顧客の声に素直に耳を傾け、顧客の意見・不満を製品開発・
店舗運営に取り入れる。

1については、店頭に在庫が置けるスペースがあっても、
意図的に在庫を置かない・持たないという徹底ぶり。
店頭での在庫の少なさにより、できるだけ早い購入を
来店客に駆り立てることができる。
気に入ったウェアが見つかれば、
すぐに購入することになり、売上向上に結びつく。
これは販売戦略である。また、新しい色や季節商品は、
3・6・12週間のサイクルで変更する。これにより顧客は、
来店するごとに新鮮味を感じることができる。
毎回新しい商品が見つかるので、顧客は驚き、
店舗へのロイヤリティを感じるようになる。よって、
顧客戦略でもある。

2については、1と関連しており、在庫の少なさにより
在庫処分の必要性が低くなり、定価販売が可能となる。
定価販売は全体の95%という高い割合で、特にメイン商品は
絶対に値引きしないという。この結果、利益率が高くなり、
さらに高株価につながる。これは、財務戦略である。

最後に3について。この顧客密着姿勢は、店舗運営でも徹底されている。
例えば、試着後の服を畳む作業は、通常バックヤードで行う
こととされている。しかし、ルルレモンでは、
これを試着室の横で行う。
これにより、試着後の感想・
不満など来店客の声を直接聞くことができる。
また、店頭に大きな黒板を設置し、
来店客が自由に提案や不満を書ける
環境を整えている。集まった顧客の生の声は、本部に集められ、
商品開発や店舗運営の改善に活用される。現場を重視する姿勢は、
ソフトウェアを使って顧客データを収集することやグループ調査に
よる
マーケティングリサーチなどをしない点でも見て取れる。
現場現実主義が徹底されているのである。これは、
商品戦略と言えるだろう。
また、来店客との接点を増やすことにより、
来店客とのコミュニケーションを
充実させることができる。この点に関して言えば、
顧客戦略でもある。

これらをまとめると、以下のようになる。
1.在庫を少なくすることにより、商品に希少性を出す→
販売戦略・顧客戦略
2.定価販売→財務戦略
3.顧客の声を重要視する現場現実主義→商品戦略・顧客戦略

ルルレモンの特徴は、一見アパレル小売業界の逆を行なっているようにも思える。

1.少ない在庫・希少性⇔在庫を積み上げて目立たせる・売上最大化のための大量販売
2.定価販売⇔大幅値引きによる集客
3.顧客の声重視⇔ロイヤリティカードによって集めた顧客データ
(今流行りのビッグデータ)を収集分析・グループ調査などの
マーケティングリサーチによる商品開発
(ルルレモンの特徴⇔アパレル小売業界全体の特徴)

しかし、その内容を吟味すれば、販売戦略・顧客戦略・財務戦略・
商品戦略などランチェスター戦略に沿った、オーソドックスな特徴
であることがわかる。JCペニーやニーマン・マーカス、
ギャップなど大手企業がひしめくアパレル小売業界。その中で、
ルルレモンは弱者にあたる。だからこそ、
弱者のためのランチェスター戦略を
駆使することにより、
高い成長率と高株価を実現するに至っただと理解できる。

Lululemon Athletica Inc. http://shop.lululemon.com/home.jsp

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)ヨガウェアなどを販売するルルレモン・アスレティカ社は、
アパレル小売業界では弱者でありながら、業績が急拡大し、
高い株価を付けている。

2)その理由は、ルルレモンの特徴的な販売手法・店舗運営方法にあり、
これらは弱者のためのランチェスター戦略に沿っている。

3)在庫数を少なくして、商品の希少性を出すことにより、
売上の向上・ロイヤリティの確立を行なっている。これは、
販売戦略・顧客戦略である。

4)値引きをほとんどせず原則定価販売にするが、
高い利益率・高株価を可能にしている。
これは、財務戦略である。

5)顧客の声に素直に耳を傾けることにより、顧客ニーズに沿った
商品開発・店舗運営を行なっている。
これは、商品戦略・顧客戦略である。

*************************

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。
(サイトへの掲載は、翌日以降です。)
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
メルマガの登録をお願いします。
(もちろん無料です。)

7)おすすめ商品・サービス

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

2008年よりウォール・ストリート・ジャーナルを
読んだ経験を活かして、頻出の英単語を
日々紹介しています。
頻出の英単語を知っていれば、
見出しや第一パラグラフを読んだだけで、
記事の概要を理解できることができるので、
時間の短縮になるはず。
世界に広がる英語情報のインプットが増えれば、
より個性的なアウトプットにもつながります。
http://english.ryotarotakao.com/

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

最近、ワインを勉強しています。
それをアウトプットする意味でも、
ワインのサイトを始めました。
焦らず少しずつ作成する予定です。
http://wine.ryotarotakao.com/

編集後記
ルルレモンは、まだ日本にはないみたいです。
ただし、輸入品を販売するネットショップはいくつかありました。
日本でもヨガブームがあると、上陸するかもしれないですね。
ちなみに、コナミをやめてからヨガはご無沙汰にしています。
久しぶりにしたいなぁ。

高尾亮太朗のツイッター⇒ http://twitter.com/ryotarotakao
高尾亮太朗の公式サイト⇒ http://ryotarotakao.com
高尾亮太朗のTubmlr⇒ http://ryotarotakao.tumblr.com
高尾亮太朗のGoogle+⇒ http://gplus.to/ryotarotakao
高尾亮太朗のPinterest⇒ http://pinterest.com/ryotarotakao/
今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!

| 高尾亮太朗 | 小売業 | 19:49 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
+ 広告
+ 執筆者プロフィール
高尾亮太朗

1975年兵庫県姫路市生まれ。白鳥小学校・淳心学院・駿台予備学校神戸校・早稲田大学政治経済学部に進む。大学進学時に政治家を志し、早大鵬志会に入会。・・・続き
+ twitter+ryotarotakao.com

高尾亮太朗公式サイト

+ パートナーサイト
+ メルマガ無料配信中!
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930     
<< April 2012 >>
+ SPONSORED LINKS
+ SELECTED ENTRIES
+ RECENT COMMENTS
  • 【682号】米スーパー最大手・クローガーのハイロー戦略を単純に真似してはならない。
    常盤 (07/25)
  • 【647号】米玩具メーカー・クネックスブランズ、国内製造への回帰で直面した意外な課題とは?
    高尾 亮太朗 (03/25)
  • 【647号】米玩具メーカー・クネックスブランズ、国内製造への回帰で直面した意外な課題とは?
    mama (03/22)
  • 【434号】練り歯磨きを煩わしく思う消費者。その本当の理由とは?
    Ryotaro Takao (03/13)
  • 【434号】練り歯磨きを煩わしく思う消費者。その本当の理由とは?
    KI (03/13)
  • 【419号】赤がブームのニューヨークレストラン業界とランチェスター戦略
    高尾 亮太朗 (01/11)
  • 【419号】赤がブームのニューヨークレストラン業界とランチェスター戦略
    berry (01/10)
  • 【297号】高級百貨店チェーンサックス、ネットのプライベートセールを開始。
    あろえ (09/08)
  • 【321号】ドキュメンタリー番組には落とし穴がある。
    野呂エイシロウ (01/26)
  • テレビCMもグーグルが影響?
    イーモ (12/24)
+ RECENT TRACKBACK
+ CATEGORIES
+ ARCHIVES
+ パートナーサイト
+ MOBILE
qrcode
+ LINKS