英語新聞ウォールストリートジャーナル(WSJ)から見た起業・ビジネスのヒント

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グローバルビジネスマンなら必読の英語新聞「THE WALL STREET JOURNAL(ウォールストリートジャーナル)」。ウォールストリート・ジャーナル研究家の高尾亮太朗が、最新の記事を解説し、起業・ビジネスのヒントを提供いたします。

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【528号】技能を証明するバッジ、求人難に悩む中小企業が活用するには?
 

メリットバッジ(技能章)By Kimli


◎本日のニュース

1)見出し
Merit Badges for the Job Market

【出典】
http://goo.gl/9kLKl

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2)要約
ボーイスカウトのメリットバッジ(技能章)に似たバッジを、
求職者に与えようという考えが、多くの教育改革者の間で
唱えられている。このバッジは求職者の専門を示し、
求人面接の際に活用できる。

このようなバッジが提案される背景には、
一般的な教育システムが、変化の速い現在の労働市場で
機能していない現実がある。世帯収入よりも
上昇率の高い授業料を支払っても、卒業後仕事がある保証がなく、
また大学のカリキュラム自体も、偏りを増し企業の要望から
かけ離れている。

具体的には、モジラ財団がバッジ発行の仕組みを設計している。
それは、ウェブサイトを持つ人なら誰でも、
偽造ができないデジタルバッジを発行できるという仕組みである。
企業は、クリック一つで、求職者の専門技能を知ることができる。
MITが無料オンライン講座修了者にバッジを発行するなど、
エリート大学による実験も進む。

しかし、問題点も指摘されている。バッジが乱発されることで、
資格としての効果が無くなる恐れがある。
また、不正ができない仕組みを作っても、
求職者がバッジを不正に深刻するかもしれない。
さらに、既存の教育機関がバッジを発行すると、
職業訓練ばかりが重視され、新しいアイデアの追求が
疎かになる恐れがある。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Like Boy Scout merit badges for professionals,
these marks of achievement would show competence
in specific skills, and they could be granted by
any number of institutions.

4)キーとなる英文の和訳
専門を示すボーイスカウトの技能章のように、
これらの達成を示す標章は、特別な技術を持っていることを示す。
それらの商標は、多くの機関によって発行される。

5)気になる単語・表現
merit badge 名詞 技能章
mark 名詞 印、標章
competence 名詞 能力

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
職業上の資質を示すバッジが提唱されたのは、
教育機関(特に大学)と企業にギャップが
発生しているからである。そのギャップとは、
1.教育機関→従来のカリキュラムが高い授業料で提供される。
2.企業→教育機関で学んだことが仕事で役立たない。
である。その結果、卒業しても仕事が無いという事態が起こる。
反格差デモは、このギャップが要因で起こったとも言える。
また、このギャップは、企業・求職者双方に、次の問題を引き起こす。
1.企業→求職者が戦力になるかどうかわからない。
2.求職者→大金を掛けて高等教育を受けても、仕事があるとは限らない。
この双方の問題を解決するのが、職業上の資質を示すバッジである。

記事によると、このバッジは、ウェブページを持つ人なら
誰でも発行できる。ただし、大半は教育機関や企業だろう。
教育機関や企業で学んだ内容を証明するものとして、
修了者にバッジが発行される。このバッジ発行システムを設計しているのは、
モジラ財団(The Mozilla Foundation)。
ウェブブラウザー・ファイヤーフォックスを開発する団体である。
モジラ財団の協力のもと、ジョンD&キャサリン・マッカーサー財団は
200ドルの補助金計画を発表した。この計画に対し、
300以上の団体が応募したという。

高等教育機関も、バッジシステムの実験を行なっている。
例えば、MIT(the Massachusetts Institute of Technology)は、
無料のオンライン講座を修了した生徒に、有料でバッジを発行している。
有料だが、正規に入学して学ぶ費用と比較すると、破格に低い。
高い授業料を支払わずとも、就職・転職に有利な知識・技能を
学ぶことができることとなる。

企業と求職者の問題を解決するバッジであるが、
日本の中小企業の雇用に活用できると私は考える。
中小企業の雇用において、企業・求職者は次のような問題を抱えている。
1.中小企業→高い給与を提示できないため、有能な人材を獲得できない。
2.求職者→給与が低いだけでなく、大企業へ転職などキャリアアップは難しい。

この問題を、バッジが解決できないだろうか。バッジが証明するのは、
1.これまで獲得した資格
2.社会人時代の実務経験
3.学生時代・社会人時代に経験した課題とその解決手法
など。一言で言うと、企業が雇用の際に知りたい求職者の能力である。
これらの資格・経験・スキルを、分類し定義付けできれば、
バッジとして発行できる。発行するのは、教育機関と企業である。

このバッジを利用する中小企業側のメリットは、
まず求職者の能力がある程度わかるということである。
「ある程度」としたのは、一つのバッジが証明する能力の幅があるため。
また、いつバッジを取得したかによっても、その示す能力に差が出るだろう。
さらに、中小企業がバッジを発行することによって、
求職者に従業員のキャリアップに熱心な企業であることを証明できる。
バッジを発行してくれるとわかれば、キャリアップを目指す求職者は、
安心してその企業の求人募集に応募できる。

求職者側のメリットは、これまでに取得した資格や経験・スキル全てが、
就職・転職時に活かせることである。バッジさえ取得できれば、
無駄になることはない。さらに、バッジを取得できる中小企業に
入社することによって、さらにバッジを取得でき、
キャリアップを目指すことができる。

経験・スキルの定義付けやその証明など問題はあるが、
職業上の能力を示すバッジを発行することによって、
積極的に活動するインセンティブを学生・社会人に与えることができる。
また、バッジを活用することで、中小企業から大企業への転職が
容易になるかもしれない。そうなれば、優秀な人材の採用によって、
中小企業にイノベーションが起こる可能性は高まるだろう。

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)職業上の資質を示すバッジの発行が、
教育改革者の間で唱えられている。このバッジがあれば、
高い授業料を払って高等教育を受けなくとも、
企業に採用されやすくなる。企業にとっては、
戦力になる人材を見極めやすくなる。

2)この仕組みを日本の中小企業の雇用にも活用できないだろうか。
中小企業の雇用には、低い給与のために優秀な人材を獲得できない
企業側の問題と、中小企業では給与が低いだけでなく、
大企業への転職などキャリアップが望めないという
求職者側の問題がある。

3)バッジによって、求職者がこれまで取得した資格・実務経験・
スキルなどを証明できれば、中小企業は求職者の能力をある
程度見極めることができる。また、バッジを発行することによって、
従業員のキャリアップに熱心な企業であるとアピールできる。

4)求職者は、これまで取得した資格・経験・スキルを就職・
転職時に、活用できる。また、バッジを発行する中小企業に
入社することによって、さらにバッジを取得でき、
キャリアップできる。

5)バッジを活用することで、中小企業から大企業への転職が
容易になれば、中小企業で働こうと考える優秀な人材が
増えるかもしれない。そうなれば、中小企業でも
イノベーションが起こりやすくなる。

*************************

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焦らず少しずつ作成する予定です。
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編集後記
バッジを活用しすぎると、仕事に関連することしかしない
という弊害も起こりかねません。
例えば、大学の授業を受けずに、資格専門学校に通うなど。
アカデミックな学習をどのように実務に活かすのか。
大学側に回答が求められているように思えます。

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
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| 高尾亮太朗 | 採用・人材育成 | 19:28 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
【527号】米GEがアップル製PCマック導入を決めた理由とは?
 

Apple

By ricardoalvarez


◎本日のニュース

1)見出し
Apple Macs Land on More Corporate Desks

【出典】
http://goo.gl/mj3Jy

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2)要約
米ゼネラル・エレクトリック社(GE)では、1年前より、
ウィンドウズPCとアップルのPC・マックのいずれかを従業員が
選べるようになった。この制度を作った理由は、
個人的にマックを利用する優秀な人材を獲得するためである。

法人向けPC市場では、ウィンドウズPCが主流で、
マックは1%未満のシェアしか獲得できていない。
それは、コスト面と既存システムとの互換性に問題があったからだ。
しかし、アップルのタブレット・iPadには、新型端末であるため
互換性の問題がなく、法人での利用が増えている。
また、PC購入時の割引が小さくなったことが、
マックの価格競争力を引き上げ、法人導入時のハードルを
小さくさせている。

GEでは、PC選択制度の告知が進んでいないにも関わらず、
既に1000台のマックが導入されている。
今後、制度の存在を知る従業員が増えれば、
台数がさらに増加すると見込まれる。実際、
アップルは、PCとタブレットの法人販売金額が、
今年約50%増加すると予測している。約3%減少するとされる
アップル以外のPC・タブレットとは、対照的である。
◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
The development echoes Apple's initial effort in smartphones
that later became a real threat to companies like
BlackBerry maker Research In Motion Ltd.

4)キーとなる英文の和訳
アップルの法人用PC市場の開拓は、アップルが以前行った
スマートフォン市場参入を思い起こさせる。
それは、後に、ブラックベリーを製造する
リサーチ・イン・モーション社のような企業にとって、本当の脅威になった。

5)気になる単語・表現
development 名詞 進化;開発;展開
echo 他動詞 〜を反響させる;〜をまねる
initial 形容詞 最初の

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
アメリカの老舗コングロマリット、ゼネラル・エレクトリック社
(General Electric Co. GE)がマックの導入を始めたことは、
アップル製品がいかに法人市場を開拓しているかを表している。
それは、老舗になるほど、過去の取引慣習を踏襲するからである。
さらに、GEは、軍事産業などセキュリティーを重視する事業を
行なっているので、複数OS利用はセキュリティーの脆弱性につながる恐れがある。
また、複数の事業をグローバル展開していることも、
既存システムとの互換性の問題を引き起こすマックの導入にはマイナスに働く。

実際、マックの法人市場シェアは1%に満たない。
シェア25%で首位を走るHPとレノボとは大きな差である。
このような差が生まれるのは、企業がマックを導入する際に、
コストと互換性の問題が発生するからである。
マックはアップルしか製造していないため、価格競争に陥りにくい。
一方、ウィンドウズPCは複数メーカーが製造しているため、
価格競争が発生しやすい。この市場環境の差が、
ウィンドウズPCとマックのコストの差を生み出す。
互換性の問題とは、ウィンドウズで作られた既存システムと
連携できないという問題。いくらマックの性能が優れていても、
既存システムにつなぐことができなければ、PCとしての機能はしない。
また、連携させるためには、ウィンドウズPCでは
発生しなかったコストがかかる。コストのハードルをさらに高くすることになる。

しかし、実際には、アップル製品の法人利用は増えている。
今年のマック・iPadの法人販売金額は、昨対比で約50%増加すると
予測されている。アップル以外のPC・タブレットの法人販売金額は、
約3%減少するので、PC・タブレットの法人市場が拡大しているのではない。
アップルを選択する企業が増えていることを表している。

コスト・互換性の問題を抱えていながら、実際には
アップル製品を選択する企業は増えている。その理由は、
1.法人市場の開拓が進むiPadが、PCの代替品になったから。
2.PC購入時の割引率が小さくなったから。
3.個人用市場への浸透を法人市場開拓に活用したから。
である。

1について、iPadはタッチパネルで操作できる全く新しい機器のため、
互換性の問題が発生しない。さらに、iPadは、
これまでPCで行なっていた機能を簡単に行うことができるため、
PCの代替品になることができる。ウィンドウズPCが
圧倒的主流の法人PC市場では、弱者のマックには勝ち目がない。
PCの代替品を導入することで、勝算の低い正面衝突を避けることでき、
さらに互換性という弱みを無くすことができる。
PCの代替品のアイパッドの導入は、マックをも代替してしまう
リスクがあるのも事実。しかし、マックは、
そもそも法人市場でのシェアは1%未満と極小さく、
iPad導入の影響は小さい。一方、シェアの大きなHPやレノボなど
PC市場の強者は、カニバリを恐れて、
iPadに対抗するタブレットの開発を渋ることになる。
この開発スピードの差が、iPadの先行者利益をより大きなものにし、
PCの代替品としての地位を磐石にすることができる。

2については、GEの最高技術責任者(CTO)の証言にもある。
従来マックの弱点として、価格の高さがあった。しかし、
PC導入時の割引率が低下したことにより、ウィンドウズPCと
マックとの価格差が縮むことになる。実際、
マックの軽量ノートPC・マックブックエアは999ドルから
販売されているのに対し、同じタイプのウィンドウズPCは
899ドルからとなる。それほど大きな価格差はない。

3については、優秀な人材確保のためにマック導入を決めた
GEの施策が物語っている。個人でマックを使う人が増える
ということは、マックの良さを理解した人が増えることになる。
その人が企業内でPC購入を担当すれば、アップルが企業に営業を掛けずとも、
マックの企業導入への道が開くことになる。マックユーザーが
購買を担当しなくとも、GEのように従業員にPCが
選択できるようになるかもしれない。アップルは、
法人PC市場開拓のために、法人に直接営業する手法を採らず、
個人用マックユーザーを増やすことにより、
そのユーザーに法人での導入を促してもらうという間接的な方法を採っている。

この3つの理由により、アップル製品の法人利用は増えている。
マックを選択できるようになったGEでは、PC選択プログラムを
大々的に告知していないにもかかわらず、
1年間だけで約1000台のマックが導入された。
今後プログラムの告知を広げるとしているので、
マックの利用台数は大きく増えるだろう。以前GEは、
スマートフォンのブラックベリーを利用していたが、
2008年にiPhoneも選べるようにした。その結果、
今では約5万人のブラックベリー利用者に対して、
iPhone利用者は約1万人に達している。毎年恒例の会議に、
上級役員600人全員が各自iPadを持参したことを考えると、
GEでは、iPhoneで起こったことと同じことが、
マックやiPadで起こるかもしれない。アップル製品の法人市場開拓は、
今後さらに進むだろう。

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)法人PC市場でのマックのシェアは1%未満だが、
iPadも含めたアップル製品の2012年法人販売金額は、
アップル以外の製品が縮小するなか、1.5倍に増加すると予測されている。

2)これまでマックの法人導入には、
コストと互換性というハードルがあり、なかなか進まなかった。

3)そのマックの法人利用が伸びているのは、3つの理由による。
一つ目は、全く新しい機器であるために互換性の問題が発生しないiPadが
、PCの代替品となったからである。二つ目は、PC導入時の割引率が小さくなり、
マックとウィンドウズPCの価格差がほとんどなくなったからである。
三つ目は、個人用市場の浸透を通じて、マックユーザーが増え、
企業内での活用を促すようになったからである。

4)iPhoneがブラックベリーの牙城を崩しているように、
マックを含めたアップル製品は、法人市場の開拓を今後さらに進めるだろう。

*************************

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編集後記
テレビでのプレゼンテーションやカフェなどで、マックをよく目にします。
もちろん従来からのマックユーザーがいるのは当然ですが、
iPhoneを通じてアップルを身近に感じ、購入した人も多いでしょう。
ノートPCのモニターの裏に写ったりんごのマークは、
本当にオシャレだと思います。
「Apple」という社名ではなく、イラストだけのロゴを入れたところがかっこいい。
他メーカーのノートPCでは、社名やブランド名が入ったロゴですから、
その差が一目瞭然です。
ちなみに、私が持っているアップル製品はiPad・iPhoneで、
今のところマックを購入する予定はありません。
マックユーザーが増えれば増えるほど、人と同じことが嫌な私には、
購入ハードルが高くなるのです。
ちなみに、今使っているノートPCは、東芝のダイナブック。
薄くて軽くて、とても使いやすく、さらに使っている人が
ほとんどいないのが一番好きな点です。

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!

| 高尾亮太朗 | IT | 18:20 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
【526号】コダック化しなかった元織物業ミリケンとストーリーとしての競争戦略
 

コダック

By 427


◎本日のニュース

1)見出し
The Anti-Kodak: How a U.S. Firm Innovates and Thrives

【出典】
http://goo.gl/zEcMA

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2)要約
破産法申請準備に入ったコダックのように、
グローバル化によるアメリカ製造業の競争力低下が嘆かれる。
しかし、ミリケンアンドカンパニー(以下ミリケン)のように、
従来の製品に見切りを付け、独自製品に特化することで、
成長を続ける企業もある。

織物業のミリケンは、

他社同様海外の低価格輸入品に悩まされていた。
輸入品流入への対抗に失敗すると、織物や特定の化学品の知識を
活用したニッチ製品の製造に特化した。その研究を通して、
数千もの特許取得に成功している。

ミリケンの成功の要因は、変化を受け入れる姿勢と
その変化スピードである。また、外部企業に対して製品や
生産革新を教える事業を行うなど、外部との提携を進めている。

その結果、ミリケンの業績は、着実に増収増益を継続。
無借金経営や二桁のROEに成功し、2007年以来企業価値が
30%以上上昇している。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
And it bore down on scientific research and manufacturing innovation.

4)キーとなる英文の和訳
そして、ミリケンは、科学研究と生産革新に舵を切った。

5)気になる単語・表現
bear down on    自動詞句    〜にのしかかる、〜に圧迫する、
〜に接近する、〜に近寄る

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
グローバル化という外部環境の変化に対し、
労働集約型産業に属する企業が、どのような手を打って、
成功したかという話。この記事では、
労働集約型産業として織物業が、
労働集約型産業に属する企業としてミリケンアンドカンパニー
(Milliken & Co.)が取り上げられている。

新興国からの低価格アパレル品の流入で、
アメリカ南東部の織物業は壊滅的打撃を受けた。
ミリケンも、もちろんその影響からは免れない。
ニッチ製品に特化した今のミリケンからは考えられないが、
当初はミリケンも他社同様に格安輸入品への反対を表明し、
対抗しようとした。記事では、
政治献金を使ってロビー活動をしていたと、
報じている。

しかし、その反対運動が実らず、輸入格安品のアメリカ市場流入が
避けられないことがわかると、
ミリケンは他社とは違う行動に出た。
ここで、ミリケンとミリケン以外の織物企業を対比してみると、
◯ミリケン→織物業から撤退し、研究開発型のニッチ製品に特化。
◯ミリケン以外の織物企業→織物業を継続し、廃業・
倒産を余儀なくされる。
となる。この対応が、企業存続に大きな影響を与えたことになる。

さらに、ミリケンは存続するだけでなく、増収増益を長期間継続している。
その要因は、
1.変化を受け入れる姿勢
2.スピード経営
3.強みに強化できる仕組み
の3つ。

1については、市場から退場を余儀なくされた他社との違いである。
成功体験に満足せず、自社の強みが活かせる研究開発型の
ニッチ製品に特化した。記事で紹介されているニッチ製品は、
◯送水管テープを強化する生地
◯冷蔵庫の清潔に保つ添加剤
◯子供のお絵かきペンを水洗い可にする添加剤
◯火に強い絨毯
◯抗菌性の調理台
◯軽い風車
など。

2については、組織をできるだけオープンにすることにより、
アイデアを製品に昇華させるスピードを早めている。
例えば、
研究者の上司がそのアイデアを気に入らなかったとしても、
他の部署にプレゼンすることができる。また、
外部組織との連携によって、
素早くアイデアを事業に進化させることが
可能となる。

3について、ミリケンの成長を支える一番大きな要因は、
この強みを強化できる仕組みにある。
企業が新規事業に参入する際、
自社が持つ経営資源を活用するのは当然だろう。
しかし、ただ活用するだけでは、いずれ他社に追いつかれる。
真似されるのがオチである。しかし、
他社の追随を許さない仕組みがあれば、
差別化は継続でき、成長を加速することができる。
ミリケンの仕組みとは、
次の3点。
1.特許→守り
2.研究推進→攻め
3.外部とのオープンな提携→キラーパス
特許は、文字通り自社の技術を守ってくれる。
しかし、いずれ時間が過ぎれば、特許が無効になり、
その競争優位はなくなってしまう。そこで、2が働く。

ミリケンの研究者は、勤務時間の15%を自分が興味のある研究に
費やすことができる。研究内容については、
事業化を目的にすること以外問われない。さらに、
事業化に成功した研究者は、50%までが可能になるという。
自由なサービス開発を奨励するグーグル社以上かもしれない。
また、この研究開発に力を入れる企業風土が、
上位大学院の卒業生の入社を促進させている。その結果、
他社以上に研究開発が進み、
新たな事業アイデアを生み出すことになる。
まさに、攻めの仕組みと言えるだろう。

最後に、ミリケンは、社外に製品や製造イノベーションを
教える事業を推進している。一見すると、
自社のビジネスモデルなど強みが流出することになりかねない。
だから、競合他社は、なかなか同じ事ができないだろう。一方、
この事業を通じて、社外とのネットワークを築くことができ、
その結果、自社の事業アイデアを進化させ、
より早く事業化することができる。
一見自社に不利に見えることが、
実は大きな差別化につながる。書籍「
ストーリーとしての競争戦略」
で言うキラーパスである。このキラーパスのおかげで、
攻めをより強化することができる。

記事ではそれほど大きく割かれていなかったが、
この3つのうちで一番重要なのは、3番目の外部とのオープンな
提携のように思える。
なかなか競合が踏み切れない施策だからこそ、
競合の追随から免れ、長期的な差別化を実現する。その結果が、
着実な増収増益、筋肉質の財務諸表、
高い投資効率を生み出している。

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)格安輸入品の嵐に見舞われたアメリカ織物産業。
殆どの企業は、
その嵐によって廃業・倒産を余儀なくされた。一方、
ミリケンは生き残っただけでなく、成長を継続している。

2)ミリケン成功の要因は、「変化を受け入れる姿勢」
「スピード経営」「強みに強化できる仕組み」である。

3)特に重要なのは、強みを強化できる仕組み。具体的には、
「特許による守り」「研究推進による攻め」
「外部とのオープンな提携によるキラーパス」である。

4)最後のキラーパスとは、書籍「ストーリーとしての競争戦略」
登場した用語であり、
企業の長期的な差別化を可能にさせてくれる。
ミリケンは、このキラーパスにより、着実な増収増益・
筋肉質の財務諸表・高い投資効率を実現している。

*************************

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編集後記
「ストーリーとしての競争戦略」は、年末年始に読んだのですが、
とても面白かったです。
強い企業のその秘密が、明快に解説されてあります。
何度も読み返したいほどですが、今私に必要なのは考えること。
好きな事を考えるのは、楽しいこと。
しかし、なかなかいい考えが浮かばないと、苦しくなります。
この苦しみの先に、
キラーパスが浮かび上がってくるのでしょうね。
※個人的事情により、2012年の年賀状送付は
控えさせていただきました。ご了承願います。

| 高尾亮太朗 | 製造業 | 18:15 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
【525号】中小企業の無名ブランドを売上に導く3つの方法
 

ラジオ

By paolobalestra


◎本日のニュース

1)見出し
How to Build Recognition for Your Unknown Brand

【出典】
http://goo.gl/urYBT

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2)要約
広告において、配信頻度を高めることは、
売上につなげるために大きな意味を持つ。
それは、広告を通して商品に接する頻度が高まるほど、
その商品に親しみや信頼を感じ、

購買する確率が高まるからである。

同じ事は、多額の宣伝広告予算のない中小企業でもできる。
その方法は、露出を増やして、見込み客との接触頻度を
高めることである。さらに、ただ露出を増やすだけでなく、
その対象を絞り込む必要がある。

そのためには、まずはターゲットとなる
顧客の共通の特徴を見つけ出し、
ターゲットを定めなければならない。そして、
その特徴を持つ見込み客がいる場所に行く頻度を高める。
ソーシャルメディアを使うなら、一つに限定することが
大切である。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
In advertising, frequency is a term that refers to
the number of times a consumer must see or hear an ad
before they purchase the advertised product or services.

4)キーとなる英文の和訳
広告において、頻度とは、製品やサービスを購入前に、
消費者が広告を見たり聞いたりしなければならない
回数のことを指す専門用語である。

5)気になる単語・表現
frequency       名詞      頻度
term    名詞      専門用語

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
顧客との接触頻度を高めると売上が伸びるのは、
目新しいものは信用しないという人間が生まれつき
持つ特徴が影響している。考えてみれば、
新商品に手が伸びるには、その商品について
予め知っている場合が多い。たまたま目新しい商品を
手に取ったとしても、それを購入する確率は低い。
しかし、その商品のCMをテレビやラジオから聞いた
ことがあるならば、購入確率は高まる。それは、
その商品について、CMを通して知っているからである。

そのCMの配信頻度が高まると、その商品に対して
親しみがわき、信頼につながりやすくなる。つまり、
その信頼は配信頻度に比例する。だからこそ、
習慣的に聞くことが多いラジオ番組で、
同じ番組のほぼ同じ時間帯に同じ商品のCMが
毎回流れるようになる。無意識のうちに、
その商品の商品名やブランドが心に残るので、
小売店でたまたま目にすると、再会したかのような
うれしさを感じる。このうれしさが、
親しみであり信頼の証である。

このようなマス媒体を使った広告手法は、
広告予算が大きくない中小企業にとって無関係に思われるが、
そうではない。中小企業にとっても、接触頻度を高めることは、
商品・起業への親しみ・信頼を生み出し、売上につながる。

しかし、その際には、接触頻度を高める場所を絞る必要がある。
その場所とは、ターゲットとなる見込み客が多くいる所。
その場所とはソーシャルメディアでもいいが、
一つに絞る必要があると、記事の筆者は述べている。
欲張ってはいけない。

ちなみに、記事では筆者の成功事例が紹介されてある。
筆者はもともと、
ヘッジファンド向けのコンピューターサービス事業を
営んでいた。だから、ターゲットはヘッジファンド業界となる。
そこで、ヘッジファンドの業界団体に入会。
団体主催の業界イベントに参加し、ヘッジファンドへの納入業者と
交友を深めた。その後、
いつくかのメディアで自社が取り上げられ、
それを納入業者が聞いたことにより、ヘッジファンドとの契約に
至ったという。この場合、納入業者がヘッジファンドとの
契約の橋渡しになっている。

特に記事では述べられていないが、筆者が受注に至ったのは、
単に一つの場所で接触頻度を高めただけではなく、
メディアという第三者の評価が決定打になったことは見逃せない。
自社から発信する情報は、
バイアスが掛かっていると見られて当然。
そこに、第三者の評価が加わることにより、
自社や商品のベネフィットが伝わりやすくなる。

ラジオを聞いていると、番組パーソナリティが通販商品を試食し、
その商品の良さを伝えて、
電話注文を承るというコーナーがよくある。
言うまでもなく、親しみを持ったパーソナリティが薦める商品は、
親しみを持たれやすい。その結果、売れやすくなる。これも、
第三者の評価を加えている一例だろう。

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)中小企業にも、大企業が取る広告手法が役立つ。
その手法とは、配信頻度を高めるほど、その商品への親しみ・
信頼が高まり、売上につながるというものである。

2)中小企業の場合、接触頻度を高めるだけでなく、
接触する場所を絞る必要がある。その場所には、
ターゲットとなる見込み客が多くいることが前提となる。

3)さらに、第三者の評価があると、
売上確率を大きく高めてくれる。

4)ラジオパーソナリティが試食するラジオ通販は、
この仕組を活用している。

*************************

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編集後記
いろいろ考えた結果、
Facebookの利用を最小限に止めることにしました。
やめてもいいのですが、海外の友人との関係上、継続はします。
最小限に止める理由は、
Facebookを通じて得られる情報のほとんどが、
私に関係なく、さらにほとんど興味がなく、
閲覧する時間がもったいないと思ったからです。
利用としては、Twitterを通じた配信、
ブログ更新のお知らせ、
メッセージのやり取りぐらいに抑えようかと思います。
(たまには「いいね」しますが。)
その分、自分が感じたことや面白いと思った情報については、
Twitterを通じて発信します。
※個人的事情により、
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| 高尾亮太朗 | 広告・マスコミ | 19:12 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
【524号】IBM・アップル、成長し続ける企業の特徴とは?
 

IBM

By gjones


◎本日のニュース

1)見出し
Avoiding Innovation's Terrible Toll

【出典】
http://goo.gl/6kzbd

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2)要約
企業規模・財務体質・人材にかかわらず、
大企業でも平均的にアメリカ人の寿命ほどには存続できない。
40年以上存続する企業は、ごく一部である。

その一部の存続企業の特徴は、容赦無く変化を受け入れ、
主要収益源とのカニバリを恐れず新しいビジネスに
参入することである。一方、存続企業の創造的破壊に
敗れる企業は、官僚的になり、過剰なほどの守りに徹するため、
新市場への参入が遅れ、参入する際には過大なコストの負担
を強いられる。

また、新技術を手に入れ新市場に参入する際には、
小さな買収を頻繁に繰り返すことで、
リスクを分散することが重要である。ただし、
その買収がうまくいくかどうかは、運によるところが大きい。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
The most successful ones aren't afraid to cannibalize
their big revenue generators to build new businesses.

4)キーとなる英文の和訳
最も成功した企業の特徴は、自社の最大の収益源とのカニバリ
を恐れず、新ビジネスに参入することである。

5)気になる単語・表現
cannibalize     他動詞     共食いする;〜を組み立てる、修理する
generator       名詞      発生させる人(物)

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
この記事が書かれた背景には、イーストマン・コダック社
(Eastman Kodak Co.)の破綻危機があるのだろう。
イーストマン・コダックのビジネスモデルや
危機に陥った原因についての言及は全くないが、
創造的破壊により苦境に陥った企業として、紹介されている。
イーストマン・コダックの他には、
レンタルビデオのブロックバスター社(Blockbuster Inc.)、
書店のバーンズ&ノベルズ社(Barnes & Noble Inc.)が
取り上げられている。一方、創造的破壊を実践し、
成長し続ける企業としてジョンソン&ジョンソン(Johnson & Johnson)、
IBM(International Business Machines Corp.)、アップル(Apple Inc.)、
グーグル(Google Corp.)が紹介されている。(ジョンソン&ジョンソンは、
100年企業としてのみ紹介され、

その存続経緯は触れられていない。)

成長し続け存続する企業の特徴は2つある。それは、
1.外部環境の変化に素早く対応し、
変化を躊躇なく受け入れたこと。
2.現在の所要事業とのカニバリを恐れず、
新ビジネスに参入したこと。
3.新技術の取得・新市場への参入のために、
リスクの高い巨大な買収に走らず、
小さな買収を行うこと。

成長し続ける企業と成長が鈍化し危機に瀕する企業に
二分される前提として、外部環境の急激な変化がある。
その外部環境の変化を引き起こすのは、技術の進歩。
技術革新が早くなったことが、競争を激化させ、
企業の寿命を短くしている。規模・財務・人材で
有利な大企業でさえ、アメリカ人ほど長生きできない。

外部環境の急激な変化に対応できた企業として
紹介されているのが、IBM。一方で、
対応出来なかった企業として、
H-P(Hewlett-Packard Co.)が取り上げられている。その対比とは、
◯IBM→成長が見込まれるソフトウェアビジネス・
コンサルティングビジネスに注力するとともに、
コモディティ化が鮮明になる前の2004年にPC部門を売却。
◯H-P→
2002年に競合するコンパックコンピューターを買収するなど、
PC部門の強化に邁進。
PCの衰退が鮮明になってから売却を検討。
ビジネスソフトウェアの重要性に気付くのに遅れ、
巨額買収をせざる羽目になる。
で、変化に迅速に対応したかどうかが、
IBMとH-Pの命運を分けたことになる。

2のカニバリを恐れず受け入れた企業としては、
アップルが取り上げられている。
1.アイフォーン(iPhone)→携帯音楽端末・アイポッド(
iPod)との
カニバリの懸念あり。今では売上の39%
を稼ぐ屋台骨になるまでに成長。
2.アイパッド(iPad)→PCのマック(Mac)
とのカニバリの懸念あり。
売上の24%を占める主要製品に成長。
は、カニバリを恐れず、新商品を開発・発売した例である。
特に、アイフォーンは、携帯音楽端末のトップシェアを持つ
アイポッドとのカニバリが懸念されただけに、
普通なら発売に躊躇するだろう。躊躇せず発売にこぎつけた結果、
アップルの最大の収益源にまで成長したことは、
いい意味で皮肉な結果とも言える。

最後の3であるが、小さな買収を繰り返す企業として
グーグルが取り上げられている。グーグルの買収の特徴は、
◯緩やかな連携を目指す
ということ。「緩やかな」とは、
買収後も情熱を持つ経営陣を続投させ、
独立色の強い運営に委ねるということ。その結果、
買収後も買収前と同じ成長を維持または加速でき、
カニバリを恐れずにイノベーションを引き起こすことができる。
もちろん、グーグルにとっては、グーグルのビジネスモデルを
破壊しかねない企業を取り込むだけでなく、収益を拡大できる。

このように成長し続ける企業の特徴を見てきたが、
この中で一番肝になるのは、
カニバリを恐れずに新ビジネスに参入する
かどうか。カニバリを恐れるのは、
未来が過去の延長線上にあると信じる
からである。だから、成功体験が忘れられず、
成功体験に縛られる。その結果、カニバリの恐れのある
新商品の開発・発売に躊躇し、
既存商品の改良にとどまってしまう。
未来を、過去の延長線とは異なる世界と見ることが出来るか。
成功体験を捨て去ることができるか。
創造的破壊の主体になるかどうかは、ここにかかっている。

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)成長し続ける企業の特徴は、
変化の早い外部環境に迅速に対応する、
カニバリを恐れずに新ビジネスに参入する、
リスクの小さい小規模買収を行う、の3つである。

2)この中で一番重要なのは、カニバリを恐れないということ。
カニバリを恐れるのは、
未来を過去の延長線上にあると信じるからである。

3)未来を過去の延長線上にあるのではなく、
成功体験を捨てることができれば、
創造的破壊の主体になることができるだろう。

*************************

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編集後記
ソフトウェア・コンサルティングビジネスに注力したIBMも、
過去には成長市場を見極めることができず、
停滞した時期があったようです。
成功体験をなかなか忘れられないのは、
ある程度避けられないのかもしれなません。
ならば、成功体験による損失をできるだけ小さくした方がいい。
損失を小さく留めて成長市場に参入するためには、
外部環境の変化を読むとともに、社外との交流を日々行う
必要があるように思えます。
これなら、中小企業でも行えることでしょう。
※個人的事情により、
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| 高尾亮太朗 | マーケティング | 19:07 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
【523号】ビッグデータ分析が教えてくれる中小企業のやるべき事とは?
 


By m-c


1)見出し
So, What's Your Algorithm?

【出典】
http://goo.gl/hh3QG

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2)要約
コンピューターの性能の向上や価格下落によって、
企業が持つ膨大なデータを即座に分析・活用できるようになった。
この結果、偏見や勘に邪魔されることなく、
客観的な事実を即時に見ることができ、

販売機会を増やしてくれる。

さらに、分析数が増えるにつれて、
事実から読み取れる洞察の精度が自動的に高まり、
販売確率が向上する。

このビッグデータ分析の最終目的は、
バックエンドでの仕事をフロントエンドに移行することと
されている。

ただし、問題がないわけではない。分析が進むと標準が生まれ、
将来予測を標準に合わせようとする。一方で、
生活がより便利になるにつれて、
顧客の購入パターンは複雑になり、
乖離が発生する。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
There is a more important theme gathering around us:
How analytics harvested from massive databases will
begin to inform our day-to-day business decisions.

4)キーとなる英文の和訳
我々の間で話題になっているより重要なテーマがある。
それは、膨大なデータベースから導かれた分析が、
我々が日々行う仕事上の決断を、
どのように実りあるものにするかである。

5)気になる単語・表現
gather  自動詞     増大する
massive 形容詞     大きな塊になった
inform  他動詞     満たす、元気付ける

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
ビッグデータ分析に関する新聞記事は、昨年より増えてきている。
ちなみに、2011年に発行された日経新聞に掲載された
「ビッグデータ」という単語を含む記事は、12件。
私の感覚では、最近特に増えてきている模様。

この記事によると、ビッグデータ分析とは、
企業が蓄積してきた大量の客観的データを分析し、
販売機会につながるように利用すること
となるだろう。事例としては、冷凍食品の宅配事業を行う
スワンフード社(Schwan Food Co.)によるビッグデータ分析が
取り上げられている。スワンフードは、
6週間分の注文実績を見て、
その実績から商品を薦める大まかなプログラムを利用していた。
その後、よく似た購入パターンを持つ別の顧客を割り出し、
その顧客の購入履歴と比較して商品を薦めるプログラムに変更。
また、直近に注文が少なくなったカテゴリーがあれば、
そのカテゴリーの商品の割引を提供するサービスも開始した。
その結果、売上が3〜4%増加することとなった。
ビッグデータ分析を行なって、販売機会が増え、
売上が上昇した好例と言える。
※Schwan Food  http://goo.gl/No7yr

日本で取り上げられているビッグデータ分析は、
インターネット上の自社に関する情報を収集・分析し、
顧客満足を高めるような販促・商品開発につなげる
というもの。無限に増えるネット上のデータが対象のため、
そのデータ数は膨大になり、分析コストは大きなものになる。
自然と、大企業が使う分析手法と成り兼ねない。

しかし、この記事によると、ネット上にまで範囲を広げることなく、
企業がこれまで蓄積してきたデータを分析することによってでも、
販売機会が増やせることがわかる。この手法は、
中小企業でも活用できる。

このように考えると、顧客の販売実績・顧客や見込み客の行動実績は、
次の販売機会につなげる大きな資産だ。どの顧客が、
いつどこで何をいくらでいくつ購入したか。さらに、
どの顧客が実店舗や通販サイトでどのような行動をしたか。
アンケートにどう答えてくれたか。これらすべてを
ビッグデータとして分析すれば、その顧客のニーズが
おぼろげながら見えてくる。

ビッグデータは、バズワードに聞こえ、
何か大げさなことのように思われるかもしれない。
しかし、企業が蓄積してきた顧客や見込み客に関する
データを分析することによって、
次の販売につなげることが出来る。
どんな企業でも、顧客・
見込み客に関するデータは持っているもの。
そのデータを活用するかどうか、やるかやらないかに
将来の売上が掛かっているとも言える。
(もちろんやり方も影響しますが。)
※バズワード http://goo.gl/Fmc1L

改めて、既存企業の持つデータの重要性、
そしてアドバンテージを実感した。
新規参入組には大きなハンデであるが、
逆に成約に至らなかった商談・見込み客開拓も、
記録すればビッグデータになりうる。企業活動を継続して行い、
蓄積したデータを活用すれば、
次の販売確率が高まるとも言えるだろう。

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)日本でのビッグデータ分析は、
ネット上に散らばる自社に関するデータを収集・
分析することのように、取り扱われている。

2)しかし、記事からは、社内に蓄積したデータを
分析することで、次の販売機会につなげることと読み取れる。
これなら、中小企業でも行える。

3)どんな企業にも、顧客や見込み客のデータが蓄積されている。
それを活用するかどうかに、次の販売チャンス、
さらには企業の将来が掛かっているとも言えるだろう。

4)顧客や見込み客のデータは、これまであまり活用されて
来なかった既存企業の大きな強みである。一方、新規参入組は、
成約に至らなかった商談や見込み客開拓も、
記録すればビッグデータになりうる。

5)企業活動を継続し、蓄積したデータを活用すれば、
次の販売確率が高まるとも言える。

*************************

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編集後記
年始より、あまりに寒いのでエアコンを付けています。
エアコンを付けてわかったことは、
引き戸は熱が逃げやすく寒くなりやすいということ。
引き戸は、スペースの有効利用にはいいですが、
熱効率には悪いみたいです。
住宅の建て替え・購入の時には、注意したいものです。
(ちなみに私は賃貸派です。)
※個人的事情により、2012年の年賀状送付は
控えさせていただきました。ご了承願います。

| 高尾亮太朗 | IT | 19:05 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
【522号】ポストメイツ、新興企業が即日配達サービスに参入できる理由とは?
 

デリバリーサービス

By TomNatt


◎本日のニュース

1)見出し
Bid for Same-Day Delivery Taps the Smartphone Boom

【出典】
http://goo.gl/ny4d0

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2)要約
ネットで注文した商品を即日届けるサービスに参入した新興企業が

ある。
その企業とは、ポストメイツ社。
参入に大きな追い風になったのは、
スマートフォンブームである。

ポストメイツは、サンフランシスコ地域にて、約30の運送会社と提携し、
即日届けサービスを提供している。
スマートフォンのGPS機能により、
配送中の運送会社の居場所がわかり、配送途中でも
追加の配送依頼をかけることが可能になった。

ただし、これまでに即日届けサービスに参入した新興企業同様、
ポストメイツも難題に直面している。
それは、ビジネスモデル確立の難しさと、
グーグル・アマゾンなど大手ネット企業の参入である。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Postmates Inc., a San Francisco Internet start-up that
launched its same-day delivery service in December,
is hoping to succeed by tying its business to
the proliferation of smartphones.

4)キーとなる英文の和訳
ポストメイツ社は、サンフランシスコの
インターネット新興企業であり、
12月に即日配達サービスを開始した。

スマートフォンの急激な増加をビジネスに結びつけることで、
成功に導こうとしている。

5)気になる単語・表現
proliferation名詞激増

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
記事によると、即日配送サービスに参入した新興企業は多いが、
その大部分が失敗したという。その最大の理由は、
ビジネスモデルを確立するのが難しいからである。
たとえば、90年代後半に参入したコズモドットコム社(
Kozmo.com Inc.)は、
提携した運送企業とのネットワークを築くのに、
多額のコストがかかり、
それが失敗要因になっている。また、2000年代半ばに参入した
リケッティシップ社(LicketyShip Inc.)は、
参加小売店の商品を自社サイトで販売しようとして、
商品管理に失敗している。

ポストメイツ社(Postmates Inc.)も、ビジネスモデルの問題から免れない。
さらに、大手の参入という外部環境の変化にも遭遇している。
グーグル社(Google Inc.)は、大手小売チェーンの通販サイトで購入した商品を、
発送先の最寄り店舗から配達する仕組みで参入してきた。
また、アマゾンドットコム社(Amazon.com Inc.)は、
アメリカの10の都市限定で、特定の商品に限り、
9ドルの追加料金で即日配達を実施している。

これらの問題に対して、ポストメイツが取った施策とは、
1.スマートフォンのGPS機能を活用した
配送ネットワークの構築
2.サンフランシスコ地域限定
3.商品の販売はせず即日届けに特化
である。

1については、ネットで決済された後から、
フルにスマートフォンを活用している。
決済後のプロセスは、
消費者が支払いを済ませる→店舗はiPhoneなどの
スマートフォンを使って、最寄りの運送会社に
配達依頼を送る→運送会社は、スマートフォンに依頼が入り、
ボタン一つで受託
である。配達中の運送会社でも、
GPS機能によって居場所がわかるので、
配達依頼を受けることができる。
これにより、一台の自動車で複数の配達が可能になり、
コストを抑えることができる。

2については、物理的な配達時間がどうしても発生するため、
仕方ないことだが、地域を絞ることにより、
その地域の即日宅配サービスでナンバーワンになることができる。
ランチェスター戦略における地域戦略である。

3については、アマゾンのように商品の販売はしない。
単に、依頼されたモノを即日届けるサービスのみを提供する。
ランチェスター戦略で言う商品戦略。これは2とも関係し、
サンフランシスコ地域での即日宅配サービスで
ナンバーワンになることができる。

このように、ポストメイツはスマートフォンの普及と
ランチェスター戦略を活用しているのであるが、
不思議に思う点がある。それは、
配達サービスがポストメイツの強みではない
という点である。ポストメイツは、単にシステムを
提供しているのであり、配達業務をしない。
ならば、配達業務を実際に行う運送会社の方が、
即日配達サービスの強みを持つと言えないだろうか。

ここで問題になるのは、
即日配達サービスは、一企業では行うのは難しい。
ということである。つまり、モノを引きとって届けるのに
物理的な時間がどうしてもかかってしまう以上、
複数の企業(もしくは個人)が提携しないと、
モノを即日(ホームページによると通常2時間以内)に
届けることはできない。一方、
普段競合する企業同士が提携するのは、
そう簡単なことではない。
仕事の奪い合いが起こるかもしれないし、
競合他社の足を引っ張ることも起こるかもしれない。
ここに、配送業務を行わないポストメイツの強みがある。

ポストメイツが、システムの提供と受注を行い、
最寄りの運送会社(または個人)に配達を依頼することにより、
競合企業が交わることが無くなる。
配達を受ける企業(または個人)は、
仕事が増えるというメリットがあり、
ポストメイツは手数料収入というメリットがある。
(ちなみに、手数料は運賃の25〜40%。)もちろん、
即日配達を依頼した消費者は、注文日にモノを受け取れるという
メリットがある。ウィン・ウィン・ウィンの関係が成り立つ。

新規参入の問題については、運送会社と提携し、
配達システムを確立する難しさが参入障壁となる。
逆に言うと、サンフランシスコ地域以外で他社の
即日配達サービスを開始すれば、
ポストメイツはその地域へ参入しにくくなるということでもあるが

企業同士の提携が難しい運送会社をネットワーク化することにより
ポストメイツは、配達業務を持たない弱みを強みに変えた。
既存企業同士を束ねることは、
業界外からの新規参入を可能にしてくれる。

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)ポストメイツは、
これまで死屍累々の即日配達サービスに参入した。
グーグル・
アマゾンなどの大手企業の参入という問題にも直面している。

2)これらの課題を克服するために、普及するスマートフォンの活用、
サンフランシスコ限定という地域戦略の採用、即日配達サービスに
特化するという商品戦略の採用という方法を採っている。

3)また、配達業務を実際に行わないポストメイツが、
即日配達サービスに参入した点も見逃せない。これは、
競合する企業同士の提携が難しいことを逆に利用している。

4)同じ行会内の既存企業同士を束ねることは難しい。
だからこそ、業界外からの新規参入が可能になる。

*************************

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編集後記
即日配達サービスと言えば、バイク宅配でしょうか。
東京にいる頃は、よく見かけましたが、
神戸ではほとんど見かけません。
価格が高いことが原因で利用が少ないならば、
スマートフォンを利用した即日宅配サービスは、
低価格を武器に需要を掘り起こす可能性があります。
まるで、即日配達業界のLCCですね。
今年もよろしくお願いいたします。
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| 高尾亮太朗 | IT | 19:02 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
【521号】キャッシュモブ、地元商店応援消費が持つ意味とは?
 

キャッシュ モブ

By 350.org


◎本日のニュース

1)見出し
'Cash Mobs' Help Ignite Buy-Local Effort

【出典】
http://goo.gl/YC4Mi

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2)要約
全米20都市以上で、キャッシュモブという運動が広がっている。
この運動は、ツイッターやフェースブックなどで参加者を募り、
地元小売店で決まった金額の買い物をしようというもの。
個人が主催し、個人には経済的な便益はなく、
原則企業スポンサーも付かない。

この運動が始まったきっかけは、
グルーポンなどのクーポンサイトにより割引が提供されれば、
これまで行かなかった中小企業店舗に群がる消費者行動にある。
割引がなくても、

良質で堅実な地元商店をサポートできるではないか、
という思いでキャッシュモブは始まった。

一方、地元商店は、その約1/4が売上不振を第一の経営課題と捉えており、
キャッシュモブは大きな助け舟になる。
あるキャッシュモブ対象店では、
その売上金額が通常に2倍に増加するなど、
大きな効果も出ている。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Ms. Murrain and her compatriots are among hundreds of devotees
of the "cash mob," a new social-networking-and-shopping movement
aimed at increasing sales at selected small businesses.

4)キーとなる英文の和訳
ムレイン氏とその同胞たちは、数百人が参加する
「キャッシュモブ」の愛好者である。
キャッシュモブとは、その目的が選ばれた
中小企業店舗の売上を増やすことにある、
新しいソーシャル・ネットワークキング・
ソーシャルショッピング運動である。

5)気になる単語・表現
compariot       名詞      同胞;同僚
devotee 名詞      愛好家

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
簡単に言えば、キャッシュモブ(Cash Mob)とは、
SNSで知り合った人と地元商店で行う共同購入活動
だろう。フェースブックやツイッターで仲間を募り、
主催者が選んだお店に行き、決まった金額を使う。

主催者には金銭的な恩恵は一切ない。それでも、
キャッシュモブを行うのは、
◯良質で堅実な地元のお店を応援したい
◯みんなで楽しんで買い物をしたい
という理由からだろう。

アメリカの中小企業ロビー団体の調査によると、
企業オーナーの25%が、経営課題として売上不振を挙げている。
モールなどのショッピングセンターやチェーン企業との競合により

中小の店舗は売上低迷に悩んでいる。
一方、地元には顧客が喜ぶ物をマジメに販売する店舗もある。
そのような店舗の売上を増やすことによって、応援したい。
この気持ちが、キャッシュモブへと駆り立てることになる。

さらに、一人で買い物をするよりも、大勢で買い物をする方が、
その商店の売上はさらに増えることになる。
なら、一緒に買い物をするイベントにすればいい。
このように、キャッシュモブに行き着く。

ついついショッピングセンターやチェーンストアで
買い物をしてしまうのは、値段が安く、
ワンストップでいろんなものを購入できるから。
一方、地元商店で買い物をしないのは、特に嫌いなわけではない。
恐らく、行くきっかけがないからだろう。
もしかしたら、地元商店の存在自体を知らないだけかもしれない。

キャッシュモブは、地元商店の存在を教えてくれ、
店舗に行くきっかけを与えてくれる。さらに、そのお店は、
主催者が薦める店舗なので、品質(販売商品やサービスなど)
がある程度担保される。このように、
参加者にも大きなメリットがある。

キャッシュモブの効果を、消費者に地元店舗を知る・地元店舗に行く
きっかけを提供する点と考えれば、そのきっかけ作りは、
消費者主導の運動に頼らなくても、各店舗・
各地域でも実施できる。
イベントを行なってもいいし、
新しく入荷した商品の情報を発信する
のもいいだろう。

お店の存在自体を知らない。お店に一人で行くのは気が引ける。
このような理由で、地元店舗を利用しない消費者は多い
のではないだろうか。ならば、単に地元店舗に足を運ぶきっかけを
提供することによって、売上を増やすことは可能だろう。
キャッシュモブが一過性の売上増加策にとどまらず、
長期的な売上増加につながれば、お店に行くきっかけが
売上にとっていかに重要かが証明される。

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)キャッシュモブは、
ソーシャルメディアを通じて参加者を募り、
主催者が薦める地元商店で一定金額をみんなで使うというイベント

2)キャッシュモブ参加の利点は、主催者が薦める
良質な地元商店がわかる点と、みんなで買い物を楽しめる点で、
地元商店に行くきっかけを参加者に提供してくれる。

3)お店に足を運ぶきっかけ作りという点から考えれば、
消費者主導の運動に頼らなくとも、各店舗・
各地域で行うことが可能。
イベントを実施してもいいし、新商品の情報を発信してもいい。

4)お店の存在を知らない、お店に行くきっかけがない、
という理由で、
地元商店で買い物をしない消費者は多いのではないか。
ならば、お店に行くきっかけを提供すればいい。
キャッシュモブは、
きっかけ作りの重要さを教えてくれる。

*************************

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最近、ワインを勉強しています。
それをアウトプットする意味でも、
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焦らず少しずつ作成する予定です。
http://wine.ryotarotakao.com/

編集後記
日本のキャッシュモブと言えば、
飲食店はしごイベントでしょうか。
http://goo.gl/QB7p7

普段なかなか入りづらいお店に行くきっかけを与えてくれます。
アメリカでは、キャッシュモブにとどまらず、
アメックスによる25ドルクレジット枠の無償提供など、
企業が主催する地元商店振興策もあるようです。
http://goo.gl/zwtVO

日本でこれを行うとすれば、信用金庫や地方銀行でしょうか。
それにしても、地元商店の情報は意外に少ないと、
つくづく思います。
それでは、みなさん良いお年を。

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| 高尾亮太朗 | 小売業 | 19:52 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
【520号】アマゾンの新アプリ・プライスチェック、実店舗がショールーム化を避ける方法とは?
 

アマゾンドットコム

By xsas


◎本日のニュース

1)見出し
Why Amazon.com's New App Is Creating a Stir

【出典】
http://goo.gl/GoZRZ

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2)要約
アマゾンドットコムの新アプリ・プライスチェックが、
実店舗を持つ中小小売企業に混乱を起こしている。

このアプリを使えば、モノをスキャンまたは撮影することで
アマゾン価格を知ることができる。このアプリの販促として、
実店舗で見つけたモノをこのアプリで調べれば、
アマゾンのサイトで利用できる5%割引クーポンの提供を始めた。
これが、実店舗を持つ中小企業の琴線に振れることになる。

中小小売業からの批判に対して、このアプリは、
あくまで大規模なチェーン小売店舗との価格比較を前提にしている

と、
アマゾンは回答している。また、アプリ提供の目的は、
価格情報だけでなく商品情報・利用者レビューへ
アクセスしやすくすることと、している。

アマゾンを巡っては、低価格販売を可能にさせた州外売上への免税措置
が無くなくなったことが、
これまで売上を奪われていた実店舗を持つ
小売業から歓迎されていたところであった。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
The app is prompting an outcry from small retailers,
who say the site is using their independent stores
as its own showroom.

4)キーとなる英文の和訳
そのアプリによって、中小小売業者から抗議が起こっている。
アマゾンは、自分たちの独立店舗を自社のショールームのごとく
利用している、と抗議している。

5)気になる単語・表現
なし

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
最近、小売店に行くと、スマートフォンを片手にショッピングを
している消費者をよく目にする。
これらの消費者みんなとは言わないが、
その多くがネット通販の価格と比較したり、
詳しい商品情報や利用者レビューを調べているのではないだろうか

アマゾンの新アプリ・プライスチェック(Price Check)は、
この消費者行動を容易にさせてくれる。

プライスチェックがリリースされるまでにも、
実店舗はネット通販との価格比較に晒されていた。
特に、中小小売業の場合、実店舗の価格よりも
ネット通販価格の方が低い場合が多いため、
お店で実際に商品を見て、触る→買うのは価格の低いネットで
という行動パターンに悩まされていた。実店舗が、
ネット通販のショールームと化してしまう問題に直面することにな
る。
問題は、ネット価格の低さ。この原因が、州外売上への課税が
免除されていることにあると、中小小売業は考えていた。
しかし、免税措置が無くなっても、プライスチェックの登場で
価格比較に悩まされることになる。結局は、
価格比較ではネットに負ける。
価格以外の差別化が必要になってくる。

ネット通販との価格競争を回避するために、
商品と売り方に工夫を凝らす
必要があるだろう。商品の工夫とは、
1.独自商品化
2.商品プラスαの提供
など。前者は、カスタマイズから始まり、
最終型は自社開発商品となる。
後者は、商品をただ売るのではなく、その使い方・
保守などのサービスを
一緒に販売することである。

売り方の工夫とは、
1.その商品を使ったらどう得をするのか、
そのベネフィットの情報を提供する。
など。ネットにはできない実物を使ったわかりやすい情報提供が、
必要になる。

これらを行うことによって、単にモノを販売するのではなく、
モノの販売を通じてお店とのつながりを築くことができる。
このつながりが、ネット通販だけでなく競合する店舗に対する
優位性へと昇華する。

逆に、アマゾンがプライスチェックを通じて提供する情報を
利用してやるぐらいの、したたかさがあれば、さらに良い。
特に、利用者レビューは、
実店舗ではなかなか収集できない貴重な情報である。
利用しない手はない。

Amazon Price Check for iPhone http://goo.gl/Lcqhu
***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)実店舗を持つ中小の小売業は、
比較的価格の低いネット通販との競争に悩まされ、
実店舗がネット通販のショールームのごとく利用されていた。

2)この問題の根源は、ネット通販の低価格にあり、
その要因は州外売上への免税措置にあると考えられていた。
しかし、免税措置が無くなった後も、
アマゾンの価格比較アプリ・プライスチェックを通じて、
ショールーム化を回避することはできなかった。

3)ネット通販との価格競争を回避するためには、
商品と売り方に工夫を凝らして差別化する必要がある。
商品の工夫とは、独自商品化やプラスαの提供など。
売り方の工夫とは、利用者ベネフィットに関する情報の提供など。

4)実店舗では収集にしにくい利用者レビューなどは、
逆にプライスチェックを利用してもいいだろう。

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7)おすすめ商品・サービス

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

最近、ワインを勉強しています。
それをアウトプットする意味でも、
ワインのサイトを始めました。
焦らず少しずつ作成する予定です。
http://wine.ryotarotakao.com/

編集後記
昔iPhoneを持っている時は、
私もよく価格比較をしていました。
よくしたのが、本屋さんで気に入った本を見つけた時に、
アマゾンの古本価格をチェックすること。
また、家電製品を買いに行った時には、
カカクコムをよく見ました。
その場合は、価格よりも利用者レビューが特に参考になりました。
利用者レビューが店頭に全くないのは、
実店舗の大きな欠点ですね。

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| 高尾亮太朗 | 小売業 | 19:45 | comments(1) | trackbacks(0) | pookmark |
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高尾亮太朗

1975年兵庫県姫路市生まれ。白鳥小学校・淳心学院・駿台予備学校神戸校・早稲田大学政治経済学部に進む。大学進学時に政治家を志し、早大鵬志会に入会。・・・続き
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