英語新聞ウォールストリートジャーナル(WSJ)から見た起業・ビジネスのヒント

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【684号】ワインの大量廃棄を余儀なくされたトレジャリー社が教えてくれる、最新アメリカワイン市場動向
 

ケース販売のワイン

by courtesy of Ryan Lackey


◎本日のニュース

1)見出し
Pour Results: $145 Million of Wine, Down the Drain

【出典】
http://goo.gl/aDZ04


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2)要約
ワイン最大手のトレジャリー・ワイン・エステート社は、
アメリカでのワイン販売不振のために、
1億4500万ドルもの償却を計上すると発表した。
この費用で、処分販売や廃棄が行われるという。

販売不振の要因は、低価格ワインへの高い依存度にある。
アメリカ市場では、より高いワインが売れ行きを伸ばす一方で、
低価格ワインの販売は低迷しているため、
トレジャリーの低価格ワインの多くが売れ残った。
さらに、低価格・低アルコールのワインは、
高級な白ワインや赤ワインほど長持ちしないために、
売れ残りワインの多くを廃棄せざるを得なくなった。

さらに、豪ドル高によって、トレジャリーの競争力が低下し、
販売不振の要因となった。競争力低下によって、
アルゼンチンやチリ・南アフリカのワインに市場を奪われた。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
One of the world's biggest vintners has
 a roaring hangover from poor U.S. sales,
leading it to destroy thousands of gallons of
 wine past its prime.

4)キーとなる英文の和訳

世界最大のワイン醸造業者の一つであるトレジャリーは、
アメリカの販売不振による不良在庫の急増に直面している。
それによって、賞味期限の過ぎた
何千ガロンものワインの廃棄を余儀なくされている。

5)気になる単語・表現
vintner名詞ワイン醸造業者
hangover名詞残存物
past前置詞〜を過ぎて
prime名詞最高の状態

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
世界のワイン最大手の一つである
トレジャリー・ワイン・エステート社(Treasury Wine Estates Ltd.)
について、中国でのワイン販売に関する記事で、
以前取り上げました。

【651号】豪ワインメーカー・トレジャリー、
中国で直営ワインバーを開く理由とは?
http://wsj.jugem.jp/?eid=744

そのトレジャリーが、アメリカでの販売不振が原因で、
大量のワイン廃棄を余儀なくされているようです。
販売不振の要因として、次の2つを上げることができます。

【トレジャリーがアメリカ市場で販売不振に陥った要因】
[1]

市場全体が伸び悩んだ低価格ワインへの依存度が高かったから
[2]豪ドル高により競争力が低下したから

1について、昨年度の価格帯別ワイン販売状況を見れば、
一目瞭然です。

【アメリカワイン市場における価格帯別販売状況】
3〜5.99ドル→1.5%増加
6〜8.99ドル→3.3%減少
9〜11.99ドル→13%増加
12〜14.99ドル→9%増加
15ドル以上→6%以上増加
※価格はボトル1本あたり
※集計期間は2012年5月26日〜
2013年5月25日の一年間

8.99ドル以下と9ドル以上で、
大きな違いあることがわかるかと思います。簡単に言えば、

8.99ドル以下のワイン→販売減少
9ドル以上のワイン→販売増加

となります。トレジャリーがアメリカ市場で力を入れていたのは、
低価格ワイン。よって、トレジャリー独自の要因ではなく、
低価格ワイン市場全体の減少の影響を受けたことになります。

ちなみに、アメリカのワイン消費量=ワイン市場は、
数量・金額とも増加しました。

【2012年のワイン消費量】
[数量]3億4510万ケース→2.2%上昇
[金額]323億ドル→3.6%上昇
※数量は1ケース=9リッター=750mlX12本
※金額は小売ベース

数量よりも金額の上昇率が高いことが、
ワイン単価の上昇=高いワインの売れ行き好調を示しています。

ただ、トレジャリーが受けたのは、
低価格ワイン市場の縮小だけに留まりません。
トレジャリーがアメリカ市場で力を入れたのは、
他のワインよりも賞味期限の短い低価格・低アルコールのワイン。
(ホワイト・ジンファンデルなど)この賞味期限の短さが、
販売不振の影響をさらに大きくします。
つまり、賞味期限内での処分を余儀なくされ、
処分売りまたは廃棄を余儀なくさせられるのです。

トレジャリーの販売不振の要因二つ目は、
豪ドル高です。最近でこそ、豪ドルが米ドルに対して
下落しているものの、今年の5月中旬まではパリティー価格
(1豪ドル=1米ドル)を上回っていました。豪ドル高により、
オーストラリアから輸出するトレジャリーのワインは、
競争力を失うことになります。つまり、アメリカの小売店店頭で、
価格面での魅力がなくなるということ。
実際、トレジャリーのホワイト・ジンファンデルのワインが、
同じく甘めのモスカートのワインに顧客を奪われているそうです。
また、産地では、価格パフォーマンスの高いアルゼンチンや
チリ・南アフリカに、低価格ワイン市場で
シェアを奪われることになります。

一方、
1に挙げたように低価格ワインの販売に力を入れている以上、
価格以外の魅力を訴えることもできません。
1と2のダブルパンチが、
低価格ワインに依存するトレジャリーに襲いかかったわけです。

このアメリカ市場での不振に対し、
トレジャリーは次のような施策を打つようです。

【トレジャリーのアメリカ市場テコ入れ策】
[1]オーストリアからの輸出削減
[2]中国市場の開拓促進

1については、テコ入れと言えないかもしれません。
アメリカ市場でのオーストラリアワイン人気の陰りが、
今後も続くと予測しているのでしょう。ただし、
価格帯における成長はまだ大きいと予測しているようなので、
他産地のより単価の高いワイン販売に力を入れるものと思われます


一方2について、前回のトレジャリーの記事と同じことですが、
ワインバーやレストラン・
エンターテイメント施設を開設することで、
贈答需要よりも自家消費を促すようです。

トレジャリーの大量ワイン廃棄だけを見ると、
アメリカのワイン市場も停滞しているように感じますが、
実際は異なります。数量・金額とも伸びているのです。
ただ、価格帯別のシェアを見ると、
さらに現実の販売状況を知ることができます。
私の推測になりますが、アメリカでのワイン購入現場では、
次のようなことが起こっているのではないでしょうか。

【価格帯別ワインシェアから考えたアメリカワイン購入現場】
[1]3〜5.99ドルのワイン販売量の増加
→非正規雇用の消費者の低価格志向の強まり
[2]6〜8.99ドルのワイン販売量の減少
→3〜5.99ドルのワインにシフト
[3]9ドル以上のワイン販売量の増加
→正規雇用の消費性向の高まり

要は、価格帯別ワインシェアを見る限り、
ワイン購入において二極化が起こっているのではないか、
と思うのです。

Treasury Wine Estates Ltd. http://www.tweglobal.com/
White zinfandel http://goo.gl/YMnWW
Moscato http://goo.gl/vLTnC
消費性向とは http://goo.gl/zzSDr

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)トレジャリーが、大量のワイン廃棄を余儀なくされたのは、
アメリカ市場で販売不振に陥ったから。その要因は、
低価格ワインへの高い依存度と豪ドル高にある。

2)アメリカのワイン市場では、
単価の高いワインの販売が増える一方で、
低価格ワインの販売は苦戦している。
低価格ワインの販売に力を入れるトレジャリーは、
この市場環境の逆風を受けたことになる。

3)また、豪ドル高は、トレジャリー商品の
価格競争力を低下させることになる。特に、
力を入れる低価格ワインにとって、
価格競争力の低下は致命傷となった。

4)トレジャリーの状況とは異なり、
アメリカのワイン市場は数量・金額とも伸長している。

5)ただし、価格帯別シェアを見る限り、
所得を増やす層はより高い単価のワインにシフトする一方で、
非正規雇用など可処分所得がさほど増えない層は、
低価格ワインの購入を増やしている。
つまりアメリカワイン市場では、
二極化が起こっていると思われる。
*************************

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編集後記
夏になると、めっきりワインを飲む機会が減ります。
それは、ビールの方がうまいから。
その分、私のビール、もとい第三のビール消費量はうなぎのぼり。
1日2本までと決めていますが。


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高尾亮太朗

1975年兵庫県姫路市生まれ。白鳥小学校・淳心学院・駿台予備学校神戸校・早稲田大学政治経済学部に進む。大学進学時に政治家を志し、早大鵬志会に入会。・・・続き
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