英語新聞ウォールストリートジャーナル(WSJ)から見た起業・ビジネスのヒント

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【681号】中央銀行が手こずる新たな不動産バブルとは?
 

住宅バブル?

by courtesy of Roger Wollstadt


◎本日のニュース

1)見出し
Central Bankers Hone Tools to Pop Bubbles

【出典】
http://goo.gl/6Ja62


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2)要約
世界の中央銀行は、

バブルに変わる前に過剰融資をやめさせる方法を探している。
これまでは、金利引き上げによって融資抑制に努めてきたが、
その方法を今は取りにくい。というのは、
物価上昇率が低く失業率が高いからである。

そこで中央銀行は、金融システム全体を守るための
マクロ・プルーデンス政策に沿って、
融資抑制につながる規制に力を注いでいる。
例えば、住宅ローンの頭金の増額や、
銀行の短期資金借入の制限などである。

ただし、この規制による抑制策は、
まだ実験段階でありうまくいくかどうかわからない。
失敗すれば、新たな住宅バブルを招く恐れがある。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
He and his counterparts around the world, seared
by the worst financial crisis in 75 years,
are searching for ways to halt borrowing binges
before they morph into bubbles, and to push lenders
 to shore up their defenses before the next crisis arrives.

4)キーとなる英文の和訳
バーナンキFRB議長と世界の中央銀行総裁は、
75年間で最悪の金融危機によって痛手を受けたので、
バブルになる前に過度の貸出を抑制し、
金融機関が新たな危機が起こる前に自らを守る方法を模索している

5)気になる単語・表現
counterpart名詞対応するもの
sear他動詞〜に激しい痛みを引き起こす
binge名詞過度の行為;飲み騒ぎ
morph into自動詞句〜に変身する
shore up他動詞句〜を支える

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
今回は経済面から。投資に役立つ情報と思い、
世界で広がりつつある不動産バブルについて、
取り上げました。
2008年にアメリカの不動産バブルが弾けたばかりであり、
なかなか考えづらいですが、この記事を読む限り、
世界で不動産バブルが起こっているようです。
その要因は、もちろん過剰融資。過剰融資が起こる背景には、
アメリカ・EUで進められる金融緩和があり、
日本の金融緩和も過剰融資の要因になりつつあるそうです。

過剰融資を抑制する方法として、
従来は金利抑制策=金利引き上げが取られてきました。
しかし、今金利引き上げがなかなか取りづらい環境にあります。
それは、次のような経済環境があるからです。

【過剰融資抑制のために金利を引き上げにくい環境】
[1]物価上昇率が低い
[2]失業率が高い

通常、過剰融資が問題になるのは、景気がいい時。
つまり、物価上昇率が高く、失業率が低い時です。
しかし、今はそのような環境にありません。
だから、金利引き上げ以外の過剰融資抑制策が必要になるのです。

そこで、世界の中央銀行が実施するのが、
マクロ・プルーデンスな経済政策にそった規制です。
マクロ・プルーデンスとは、
日経新聞でもなかなか出てこない用語ですが、
次のように定義付けすることができます。

マクロ・プルーデンスとは、金融システム全体のリスクの状況を
分析・評価し、それに基づいて制度設計・
政策対応を図ることを通じて、
金融システム全体の安定を確保するとの考え方
※日本銀行公式サイトより
http://goo.gl/JHaFL

簡単に言えば、個々の銀行を規制するのではなくて、
金融システム全体を守るために新たな制度や規制を行う
という考え方になります。マクロ・プルーデンスな政策
を取るようになった背景にはリーマン・ショックがあり、
リーマン・ショックによって、危機が起きてからでは遅い
ということがわかりました。そこで、
すべてを市場に任せるのではなく、
事前に金融システム全体を守る規制を発動するようになったのです


そこで、マクロ・プルーデンスな政策に沿った
具体的な規制をまとめると、次のようになります。

【マクロ・プルーデンスな政策に沿った過剰融資抑制策】
[1]ローン頭金の増額
(韓国、カナダ、イスラエル、インドネシア、スイス、香港)
[2]ローン利用者の負債比率を設定(韓国)
[3]ローン返済方法の制限(カナダ、スイス)
[4]ローン借換の制限(カナダ)
[5]銀行の短期資金借入の制限(イスラエル)
[6]新たな課税・増税(韓国、香港)

1について、ローンの頭金をローン総額の一定割合以上に
規制することで、過剰なローン設定を抑制することができます。
2は、ある程度資産を持っていないと、
ローンを組めないようにする規制です。
3は、ローン元本の返済期限を儲けるなど、
返済ができる範囲での融資に抑える効果が期待できます。
4は、容易な借換ができなくすることで、
不動産価格上昇を見越した投機を抑制できます。
5は、海外市場の低金利に依存した低金利のローンを抑制します。
6は、外国人や不動産を多く持つ資産家に対し、
新たな課税や増税を行うことで、過剰な投資を抑制します。

記事で取り上げられた各国の状況をまとめると、
次のようになります。

【過剰融資・不動産価格の高騰に直面する国】
[韓国]マクロ・プルーデンスな規制を発動する背景には、
90年代のアジア危機がある。外資からの短期借入の制限や、
住宅ローンの最低頭金・最大負債比率の設定、
2つ以上の住宅を持つ人の住宅売却税を最大60%以上に設定、
などを行う。この結果、江南(カンナム)
区の高級住宅街の価格が、
昨年5%下落した。

[カナダ]利上げするも、借入の急増・住宅価格の上昇
を抑制できなかった。そこで、100万カナダドル(
946000米ドル)以上の
住宅ローンの頭金を最低20%に設定、
政府保証ローンの返済期間を30年から25年に短縮、
借換できる住宅価値を85%から最大80%に縮小、
などの規制を実施。その結果、
住宅販売数は昨年春8%下落、
6大都市の住宅価格は2012年4月から2013年2月にかけて
下落。

[イスラエル]世界の緩和マネーの影響で、
通貨高よる輸出減で苦しむ。
よって、さらなる通貨高を招く金利引き上げができない一方で、
過剰融資をさらに増やしかねない金利引下げもできず。そこで、
利率の低い短期金利に連動する金利変動ローンの利用の制限、
住宅ローンの最低頭金を30%に設定、投資物件の頭金は50%
に設定、
などの規制を実施。しかし、需給の力にかなわず、
不動産価格の上昇は収まらず。
人口が新築住宅数以上に増えるイスラエルでは、
構造的に住宅価格は上昇している。

[インドネシア]バイクのローン頭金を最低25%に規制。
その結果、昨年のバイク販売数量は12%下落。今年も下落継続。

[スイス]経済規模に比べて住宅価格が割安なため、
住宅ローンが急増。そこで、頭金を最低10%に設定、
20年で元本の最低1/3を支払うなど、規制を実施。また、
銀行の対しては、不動産融資額の1%
の資本を別に確保するよう要請。

[香港]年率2桁台で上昇する不動産価格を抑えるために、
次のような規制を実施。不動産取得税を増税、
供給を増やすために土地開発を拡大、最低頭金率の引き上げ、
外国人購入者への新規課税、商業用不動産にも規制を適応など。
政府が過剰融資抑制策に動くと、数ヶ月間不動産価格は収まるが、
その後また上昇に転じる。その理由は、
低金利の米ドルと香港ドルがペッグしているから。
ただし、米長期金利の上昇による香港の金利上昇、
また中国経済の停滞により、住宅市場は冷却化しつつある。

問題なのは、このマクロ・プルーデンスな政策は、
その成果が未だはっきりせず、実験的な段階であることです。
また、いつ規制を打つかも、
その結果に大きな違いをもたらします。
つまり、早ければ、景気回復の芽を摘むことになり兼ねませんし、
逆に遅ければ、バブル崩壊のリスクがあります。

そして、サブプライム危機で痛い目に遭ったアメリカでも、
住宅バブルの芽が浮上しているようです。住宅価格の上昇の裏で、
2008年の危機を上回るリスクの高い貸出が復活しているとのこ
と。
QE3の縮小宣言を通じて長期金利が上昇傾向にあるので、
住宅価格の上昇が止まると、
ローンの焦げ付きが起こるかもしれません。
また、それを回避するために、
アメリカでも不動産投資抑制策が打たれる可能性があります。

いずれにしても、アメリカの金融緩和が出口に
差し掛かっているのは間違いなく、
いずれ世界を回った緩和マネーが逆流します。
その時、為替を通じて、
日本の金融市場にも影響を及ぼすことは必至でしょう。
日本の株式市場だけを見ると、バブル前夜のようにも思えますが、
世界は緩和バブルから正常化に向かいつつあるのです。

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)世界の中央銀行は、過剰融資によるバブル発生を
回避するために、マクロ・プルーデンスな政策を実施している。

2)その背景には、従来の金利引き上げが
過剰融資抑制に効かないことがある。
それは、物価上昇率が低く、失業率が高いために、
金利引き上げが景気に悪影響を及ぼす恐れがあるからである。

3)マクロ・プルーデンスな規制とは、
具体的には住宅ローンの頭金の増額や、
ローン利用者の負債比率の制限、新たな課税、
返済方法の制限、借換の制限、
金融機関の短期資金借入の制限などである。

4)ただ、マクロ・プルーデンスな規制は、
実験段階であり、実際に融資を抑制する
効果があるかどうか疑問である。

5)また、アメリカでは、住宅価格上昇の裏で、
2008年の金融危機を上回るリスクの高い住宅ローンが
復活しつつあり、これがバブルになる恐れがある。
*************************



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編集後記
土曜発行分は、投資に関する記事を取り上げようと思います。
今回は、投資というよりも金融・経済に関することで、
ちょっと難しかったですね。
ただ、それ以上に世界で不動産バブルが生まれつつあることには、
驚きです。
日本が周回遅れということは、日本でも不動産バブルが生じる
可能性があるとういこと。
2005年〜2006年のようなミニバブルが起こるのでは、
と予想しています。

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
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高尾亮太朗

1975年兵庫県姫路市生まれ。白鳥小学校・淳心学院・駿台予備学校神戸校・早稲田大学政治経済学部に進む。大学進学時に政治家を志し、早大鵬志会に入会。・・・続き
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