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【667号】フランスレストラン業界で広がる不都合な真実とビジネスチャンスとは?
 

冷凍食品売場

I-5 Design & Manufacture


◎本日のニュース

1)見出し
France's Plat du Jour: Frozen Meals

【出典】
http://goo.gl/cSsWn


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2)要約
フランスレストラン業界は、

人件費と食材費の上昇に直面している。
その対策として、冷凍食品やその他加工食品の利用が増えている。

人件費や食材費の上昇は、政策による影響が大きい。
具体的には最低賃金や付加価値税の上昇が当たる。
これらを吸収する意味で、
従来は店内調理していた食材の使用を止めて、
調理済の加工食材を利用する。

料理を誇りにするフランスでは、
この状況に対して反発や対策が練られている。
例えば、利用する食材の製造元の公表を義務付けたり、
素材から調理する店舗に称号を与えたりなど行う動きがある。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Instead, they have progressed from buying frozen vegetables
 and the like to outsourcing more and more work
to industrial suppliers in an attempt
to keep their businesses viable.

4)キーとなる英文の和訳
その代わり、彼らは冷凍野菜などの購入にとどまらず、
製造企業への調理委託をどんどん進めて来ました。
その目的は、収益を確保するためです。

5)気になる単語・表現
progress自動詞進歩する
outsource他動詞〜を外部調達する、〜を委託する
attempt名詞試み、企て;襲撃、攻撃
viable形容詞実行できる、成功しそうな;成長できる

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
記事のタイトルが少しわかりにくいかと思うので、
和訳してみます。

「フランスの本日のおすすめ料理:冷凍食品」

platは「皿」、jourは「日」という意味。
よって、plat du jourは「本日のおすすめ料理」となります。
なんとも皮肉なタイトルですが、このタイトルの通り、
フランスのレストランで冷凍食品やその他加工食品を使う
店舗が増えているようです。そのデータとして、
記事では次の数字が紹介されています。

【冷凍食品・加工食品を使うフランスのレストラン】
素材から店舗内で調理するテーブルサービスレストラン
→約10%未満
※対象は約8万軒

つまり、10軒行けば9軒以上は、
冷凍食品やその他加工食品を何かしら使っていることになります。
何もシェフは手を抜くために、
冷凍食品・加工食品を使っているわけではありません。
どうしもない事情があるのです。
まとめると、次のようになります。

【フランスのレストラン業界が冷凍食品・
加工食品を使わざる得ない事情】
[1]食材費の高騰
[2]人件費の上昇

1について、この背景として、
付加価値税に上昇を記事は紹介しています。
付加価値税とは、消費税と同様に、商品の購入時に掛かる税。
現政権のオランド政権は、
付加価値税を来年約10%引き上げる予定にしています。
来年の増税が今の物価に影響しているのは少し不思議ですが、
付加価値税率が導入時から上昇していることが、
食材費上昇の要因になっているのでしょう。
※VAT(付加価値税)の標準税率の推移(PDF)http://goo.gl/d7tLm

しかし、それ以上に商品市況の高騰が、
食材費上昇に大きく影響しているのではないかと、
推測します。商品市況とは、
小麦や大豆など穀物・その他素材の相場。
これらの高騰が、食材価格の上昇につながり、
レストランの収益を締め付けているのでしょう。
食材費上昇の具体例として、
フランスの郷土料理・ブッフ・ブルギニヨン
(牛肉のワイン煮込みブルゴーニュ風)の食材費の数字が
紹介されています。

【ブッフ・ブルギニヨンの食材費比較】
[加工食品使用]3.17ユーロ
[加工食品不使用(素材から調理)]3.53ユーロ

フランスの地方レストランの一例に過ぎませんが、
加工食品を使うことで約10%食材費を削減できます。
もともとレストランの利益率が低いことを考えると、
この10%の誘惑はかなり強いもの。
だから、このレストランは、
仕方なく加工食品を利用しているのです。

そもそも、加工食品など調理済素材を使うレストランは、
大規模なチェーン店が主流でした。
しかし、その波は小規模レストランにも及んでいます。

【業務用加工食品メーカーのダビジェル(Davigel)】
2012年の売上約8億ユーロのうち、約60%
が独立系レストランへの売上
→2000年の約40%から大幅上昇

フランス外食産業が、
加工済食材を利用したことの歴史をまとめると、
次のようになります。

【フランス外食産業による加工済食材利用の歴史】
1960年代 乾燥肉や魚類ストックの利用が始まる
1990年代 冷凍食材の利用が始まる
2000年代 その他加工食材の利用が始まる

2について、人件費の上昇には、
最低賃金の上昇が大きく影響しています。
先述の地方レストランの人件費が実際に紹介されていました。

【フランス地方レストランでの最低年収の推移】
[1995年]12,610ユーロ
[2012年]25,153ユーロ

この間の物価上昇率は33%にも及びますが、
それ以上に上昇(約2倍)していることを見ると、
人件費が大きく上昇していることがわかります。

これら2つの要因は、いずれも外部環境の変化によるもの。
レストラン側ができる努力も限られています。だからこそ、
冷凍食品やその他加工食品の利用を進めるのですが、
その安易な方法に対する反発も存在します。というのは、
フランス料理は、フランスを代表する文化だからです。
実際、フランス料理はユネスコの無形文化遺産に
登録されているほどです。さらに、
フランス料理をフランス観光の第一目的にする観光客が多いのも、
事実です。
パリにやって来る観光客約1800万人の3分の1以上は、
レストランでの食事を旅行の第一目的にしているのです。

フランスレストラン業界の冷凍・
加工食品利用に対する反発をまとめると、次のようになります。

【フランスレストラン業界の冷凍・加工食品利用に対する反発】
[1]法律による食材情報の公開を義務化
[2]利用しない店舗に称号を与えるという自主規制

1については、一部のレストランによる行政への働きかけにより、
試みられています。すべてのレストランに、
メニューに使う食材の製造者を公開するという厳しいもの。
また、左派議員による、食品メーカーから仕入れた食材の一覧を
義務付ける法制化の動きもあります。この法律は、
イタリアでは実際に有効化しているので、より現実味があります。

一方、2はあくまで自主規制に他なりません。
アラン・デュカス(Alain Ducasse)や
ジョエル・ロブション(Joel Robushon)を含むフランスのトップシェフ団体が、
新しい称号(ラベル)の付与を4月から開始したそうです。
この称号を獲得するには、冷凍食品や加工食品を利用せず、
すべてのメニューを素材から調理しなければなりません。
称号が掲げられているかどうかで、素材から調理しているか、
それとも加工食品を使っているかについて、
誰にでもわかる仕組みです。

このように、フランスが誇りにするフランス料理にとって、
冷凍食品・加工食品の利用は大きな危機ですが、
逆に提供するメーカーにとってはチャンスになります。
食材費・人件費の上昇という外部環境の変化を見方に付ければ、
業務用の売上を大きく伸ばすことができるのです。

もちろん、冷凍・加工食品を使うと、
素材の持つ旨味が損なわれる可能性が極めて高いでしょう。
しかし、一方で店舗の収益が上昇するだけでなく、
より値ごろな価格での提供も可能になります。
高級レストランでしか味わえなかった料理を、
カジュアルレストランやファストフード店で提供できれば、
B級ですが新しい食文化になりえるかと思います。

加工食品の利用を消費者に公開した上で、
消費者が納得できる価値を提供できれば、
新しい市場を生み出せるのではないでしょうか。

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)フランスのレストラン業界で、
冷凍食品・加工食品の利用が広がっている。
一方で、この利用への反発も起こっている。

2)冷凍食品・加工食品の利用が広がったのは、
食材費・人件費が上昇したからである。
付加価値税率の上昇や商品市況の高騰により食材費が、
最低賃金の上昇による人件費が、上昇してきた。

3)一方で、冷凍食品・加工食品の利用に反発するのは、
フランス料理はフランスにとって重要な文化だからである。
利用の公開を義務付ける立法化の動きや、
利用しない店舗に称号を与える自主規制の動きがある。

4)冷凍食品や加工食品を販売する食品メーカーにとっては、
この外部環境の変化は大きなチャンスである。

5)しかも、割安な価格での提供が可能になれば、
新しいメニューや新しい市場の創造につながることも
夢ではない。
*************************

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高尾亮太朗

1975年兵庫県姫路市生まれ。白鳥小学校・淳心学院・駿台予備学校神戸校・早稲田大学政治経済学部に進む。大学進学時に政治家を志し、早大鵬志会に入会。・・・続き
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