英語新聞ウォールストリートジャーナル(WSJ)から見た起業・ビジネスのヒント

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【654号】P&Gが分包型洗剤・タイドポッドを発売した本当の理由とは?
 

タイドポッド

By Au Kirk


◎本日のニュース

1)見出し
Is Innovation Killing the Soap Business?

【出典】
http://goo.gl/b20Rj


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2)要約
新商品は、市場を拡大させるものなのか?
その答えは必ずしもイエスではない。というのも、
P&Gの分包型洗濯用洗剤・タイドポッドの発売以来、
洗濯用洗剤市場は縮小しているからである。

そのカラクリは、タイドポッドを使えば、
使い過ぎを避けられるからである。逆に言うと、
これまで洗剤メーカーを含む消費財メーカーは、
消費者の使いすぎにより売上を嵩上げしていたことになる。

実際消費者は、よりお得と感じる大容量の商品を
好んで購入していた。ただ、量が多いため、
多く使うことに罪悪感が薄く、使いすぎる傾向にあった。
また、洗剤メーカーは、原材料費や運賃を削減するため、
比較的小さなサイズで済む濃縮タイプを積極的に
開発・販売してきた。濃縮タイプの薄める難しさも、
使い過ぎを助長させてきた。

そのため、洗濯用洗剤の収益悪化を招きかねない
タイドポッドなど使いきり商品に対して、
メーカー・小売企業の中で議論が起こっている。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
The laundry-soap business has a problem―it is
shrinking―thanks to premeasured pod detergents
from Procter & Gamble Co. and others
that keep consumers from overdosing.

4)キーとなる英文の和訳
洗濯用洗剤ビジネスに問題が生じている。
それは、市場が縮小しているということである。
その要因は、プロクター・アンド・ギャンブル社の
使い切り分包型洗剤などの商品が、
消費者の使い過ぎを防止しているからである。

5)気になる単語・表現
detergent 名詞洗剤;清浄剤
keep O from Ving 他動詞句 OがVするのを差し控える、慎む

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
分包型洗濯用洗剤・タイドポッド(Tide Pods)については、
以前にも取り上げました。
http://wsj.jugem.jp/?day=20121210

P&Gのこの新商品が、

洗濯用洗剤市場に波紋を投げているようです。
それは、市場の拡大どころか、縮小させているからです。
このような事態になったのは、
タイドポッドが消費者の使い過ぎを防止しているから。
1回の洗濯に、タイドポッドを1個投入すれば済むのです。
逆に言うと、これまで使い過ぎがあったからこそ、
市場が拡大していたということになります。

消費者が洗剤を使い過ぎている原因として、
以下の2点を上げることができます。

【消費者が洗濯用洗剤をこれまで使い過ぎていた要因】
[1]お得感のある大容量品を好んで購入していたから
[2]濃縮度が進化したから

1について、例えば500gの商品よりも1kgの商品の方が、
100gあたりの単価は低くなります。このお得感により、
日々使う洗濯用洗剤では、大容量の商品が売れていました。
一方で、人間は、在庫が多くあると思うと、
無駄に使ってしまうものです。このため、
大容量品を購入した消費者ほど、
洗剤を使いすぎることになります。

2について、濃縮度がより高くなっても、
消費者は汚れが落ちないことを懸念して、
従来と同様の量を投入することになります。
これが、使い過ぎにつながります。では、
なぜメーカーは、濃縮度の高い商品を競って開発してきたのか。
その答えは、濃縮度を高めた方が、
よりパッケージをコンパクトにでき、
パッケージに掛かる原材料コストを削減できるからです。
また、パッケージが小さくなれば、
小売店の販売スペースを確保しやすくなる
という利点もあります。

この使い過ぎが、
タイドポッドの登場でかなり減ることになります。
それを物語るのが、洗濯用洗剤の市場規模です。

【全米の洗濯機用洗剤の売上金額】
前年同期比→2.1%減少
3年前(タイドポッド登場以前)との比較→5.1%減少
※2012年3月〜2013年3月まで
※コストコなど一部小売店は含まず

ちなみに、高濃縮洗剤が発売された2008年には、
売上は5%増加したようです。タイドポッド登場で、
市場規模の縮小が始まったことは明らかです。

また、使い過ぎの減少は、タイドポッドのような
分包型洗剤の登場以外にも要因があります。それは、

パッケージの小型化

です。

先述したように、パッケージの原材料コスト削減や
販売棚確保のため、パッケージの小型化が進んでいます。
さらに、パッケージを小型化すれば、運賃も削減できます。
市場に小型商品が溢れれば、
消費者は使用量に気を使うことになり、
使い過ぎが少なくなります。

さらに、

高機能洗濯機の普及

が、洗剤利用量の減少を招き、
市場縮小に拍車を掛けています。

洗濯用洗剤の市場縮小要因をまとめると、
次のようになります。

【洗濯用洗剤の市場縮小要因】
[1]分包型洗剤の登場
[2]パッケージの小型化
[3]高機能洗濯機の普及

このように、消費者からすれば、
分包型洗剤の登場は使い過ぎを防止してくれるので、
喜ばしいことです。対照的なのが、メーカーや流通関係者。
こちらは、市場縮小を余儀なくされるので、
喜ばしいどころか嘆かわしいことになります。
いかに嘆かわしいことかは、テキサスに本社を持つ
スーパー・ユナイテッドスーパーマーケットの事例を見れば、
理解できます。

ユナイテッドスーパーマーケットでは、
洗濯用洗剤の売上は横ばいであったものの、
利益はわずかに縮小しました。その要因は、
分包型洗剤の粗利益率が、従来型液体洗剤よりも
5%程低いからです。より儲かる従来の液体洗剤や
粉末洗剤の売上が15%も減少したため、
利益の縮小を余儀なくされました。ちなみに、
分包型洗剤の価格に関しては、
次のようなデータが紹介されています。

【分包型洗剤・液体洗剤などの価格比較】
[P&Gタイドポッド]25セント
[P&Gタイド(液体)]20セント
[他社の低価格洗剤]7セント
※洗濯1回分の価格
※ウォルマートでの価格

小売店にとって、より単価の高いタイドポッドなど
分包型洗剤を売れば、売上は増加します。しかし、
ユナイテッドスーパーマーケットの洗剤売上は横ばいであり、
利益が微減なのです。こうなったのは、
販売数量がそれだけ減ったということに他なりません。
販売数量の減少が、市場縮小を招いているのです。

このように考えれば、分包型洗剤を開発・販売する
メリットは、メーカー・小売店側にはありません。
それにもかかわらず、P&Gがタイドポッドを発売した
ということは、何かしら理由があるに違いありません。
その理由とは、

価格競争を回避するため

ではないでしょうか。つまり、タイドポッド発売まで、
P&GはPB商品など低価格品の台頭により、
シェア縮小を余儀なくされており、
この打開策としてタイドポッドを発売したのです。
消費者の潜在的な課題である「適正な使用量がわからない」や
「洗剤が残るのが嫌だ」を解決すれば、付加価値が高まるので、
低価格品との価格競争を免れられます。
価格競争を回避することのメリットの方が、
販売数量減少による収益悪化リスクよりも大きいと判断したからこ
そ、
タイドポッドの発売にゴーサインを出したのでしょう。

ちなみに、P&Gの四半期決算資料(2012年10月〜12月)
を見ると、
洗濯用洗剤を含むファブリックケア・ホームケア
(Fabric Care and Home Care)の売上は、
数量が2%、金額が3%増加しています。
より高単価のタイドポッドの販売数量が、
伸びたからでしょう。よって、
価格競争回避の目的は達成されています。
さらに、営業利益は15%も増加しており、
タイドポッドはP&Gの業績好転を牽引役になっている
と言っても過言ではないかと思います。

P&Gは、市場縮小を招きかねないイノベーションを、
商品開発に活かしたからこそ、
価格競争を回避できたのかもしれません。
それだけ、価格競争を回避することは難しいことであり、
一方で回避できればその果実が多いのです。

Tide Pods http://goo.gl/Cxuku
P&Gの四半期決算資料 http://goo.gl/SqP8p

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)P&Gの分包型洗濯用潜在・
タイドポッドが波紋を呼んでいる。
それは、洗濯用洗剤市場を縮小させているからである。

2)市場が縮小したのは、
分包型の登場で消費者の使い過ぎが減ったからである。

3)市場縮小を招きかねない新商品を導入したのは、
価格競争を回避するからではないか。

4)P&Gは、金融危機以降、消費者の節約志向・
低価格志向の高まりとともに、価格競争を余儀なくされ、
洗濯用洗剤の市場シェアを縮小させていたのだろう。

5)価格競争回避のために市場縮小リスクのある
新商品を投入したということは、
それだけ価格競争回避が難しいということである。
*************************

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編集後記
タイドポッドのような,消費者ニーズを掘り下げた
商品開発は、ほとんどないですね。
それだけ、P&Gの商品開発力がすごいということです。
市場縮小リスクを負うというのは、なかなかできないこと。
逆に言えば、既存企業ができないことにこそ、
参入余地があるとも言えますね。

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高尾亮太朗

1975年兵庫県姫路市生まれ。白鳥小学校・淳心学院・駿台予備学校神戸校・早稲田大学政治経済学部に進む。大学進学時に政治家を志し、早大鵬志会に入会。・・・続き
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