英語新聞ウォールストリートジャーナル(WSJ)から見た起業・ビジネスのヒント

英語がわからなくても最新アメリカビジネス事情を知りたい人、集まれ!
グローバルビジネスマンなら必読の英語新聞「THE WALL STREET JOURNAL(ウォールストリートジャーナル)」。ウォールストリート・ジャーナル研究家の高尾亮太朗が、最新の記事を解説し、起業・ビジネスのヒントを提供いたします。

<< 【630号】シェアサービス、その進化と限界から学べることとは? | main | 【632号】アメリカで炭酸が売れなくなった本当の理由とは? >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| スポンサードリンク | - | | - | - | pookmark |
【631号】グリーン・ドット社がスマホ当座預金サービス・ゴーバンクを始めた要因とは?
 

プリペイドカード

By raider3_anime


◎本日のニュース

1)見出し
Green Dot Aims to Take On Banks With Mobile-Based Account

【出典】
http://goo.gl/rbztg


毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。
(サイトへの掲載は、翌日以降です。)
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
メルマガの登録をお願いします。
(もちろん無料です。)



2)要約
グリーン・ドット社は、スマートフォンを使った
当座預金サービスを始めると発表した。
そのサービス名は、ゴーバンク。このサービスは、
ほぼすべてがスマホ内で完結し、

紙の小切手の代わりにスマホアプリを使う。

ゴーバンクを開始する背景には、銀行による
当座預金維持手数料が上昇したことがある。
グリーン・ドット社は、ゴーバンクのターゲットを、
この手数料上昇に不満を持つ人やスマホを日常的に利用する
IT好きの若者と設定している。

グリーン・ドット社は、もともとプリペイドカードを発行し、
ウォルマートなどの小売店で販売しきた。これまでは、
プリペイドカード市場をほぼ独占していたが、
JPモルガン・チェース社やアメリカン・
エキスプレス社が新規に参入し、
競争が激化している。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Green Dot Corp., the provider of prepaid debit cards
sold by Wal-Mart Stores, pharmacies and other retailers,
is aiming to take on big banks with a new checking account
that consumers can open and manage through a smartphone application.

4)キーとなる英文の和訳
グリーン・ドット社は、ウォルマートや薬局・
その他小売店が販売するプリペイドデビットカードを提供している
が、
新しい当座預金サービスにより、
大手銀行に対抗しようとしている。
そのサービスとは、スマートフォンアプリを使って
口座開設や管理ができるサービスである。

5)気になる単語・表現
take on他動詞句〜を対戦相手とする
checking account名詞当座預金

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
グリーン・ドット社(Green Dot Corp.)のプリペイドカードについては、
昨年のメルマガで取り上げた。
http://wsj.jugem.jp/?eid=696

この号では、ウォルマート(Wal-Mart Stores)と組んだ
アメックス社(American Express Co.)のプリペイドカード参入
について述べたが、今回は、アメックスなど大手金融機関による
プリペイドカード参入に対する、グリーン・
ドット社の逆襲について
取り上げる。

グリーン・ドット社が始める新たなサービスは、
スマホアプリによる当座預金サービス。当座預金とは、
利息の付かない銀行口座で、決済に利用される。
日本では主に法人で利用されるが、
アメリカでは個人の利用も多い。
アメリカのスーパーで小切手が使われている場面は、
留学時よく目にした。

このサービス名は、ゴーバンク(GoBank)。
この特徴をまとめると、
次のようになる。

【スマホ当座預金サービス・ゴーバンクの特徴】
[1]スマホで口座開設・管理を行うことができる
[2]紙の小切手は使わない
[3]口座維持手数料無料・最低預金金額の設定なし
[4]提携ATMによる預入・引出無料

ゴーバンクのサイトを見てもらえれば、
このサービスの特徴がよく分かる。一言で言えば、
スマホですべてが完結するサービス。例えば、口座開設するにも、
店舗に行くことや必要書類を郵送する必要はない。
友人に小切手で支払う場合でも、相手のメールアドレスや
フェイスブックIDがわかれば、スマホにタッチするだけ。
紙の小切手も使わない。

面白いのは、スマホですべてが完結できるものの、
紙の小切手を利用することもできるということ。サイトでは、
預入をするのに、紙の小切手をスキャンしている。
紙を全く利用不可にするのではなく、紙の小切手を使えることで、
紙の小切手利用者のゴーバンクへの転換を促している。

3が、このサービスの一番のメリットと言えるだろう。実際、
従来のプリペイドカードでは、維持手数料が発生していた。
ここで、JPモルガン・チェース社(J.P. Morgan Chase & Co.)と
アメックス、グリーン・ドットのプリペイドカード、
ゴーバンクの月額維持手数料をまとめると、次のようになる。

【各社プリペイドカードとゴーバンクの月額維持手数料比較】
[ゴーバンク]無料(ただし9ドルまで自分で設定できる)
[グリーン・ドットのプリペイドカード]5.95ドル
(ただし条件をクリアすれば無料)
[JPモルガン・チェースのチェースリキッド(Chase Liquid)]4.95ドル
[アメックスのブルーバード(Bluebird)]無料

アメックスのブルーバードは、比較的低所得者の利用が多い
ウォルマートで販売されている。だからこそ、
維持手数料を無料にしたのだろう。その甲斐もあって、
ブルーバードの顧客のうち80%が、
これまでアメックスを利用しなかった顧客で、
45%が35歳未満という。アメックスは、
ブルーバードを通じて、
これまでリーチできなかった層を獲得できたことになる。

上記の比較を見ると、グリーン・ドットの
プリペイドカードの魅力が薄れていることがわかる。
条件をクリアすれば無料になるものの、
アメックスのブルーバードを使えば、
条件も関係なく無料になるからである。だからこそ、
無料のゴーバンクを始めるに至ったのだろう。

グリーン・ドットがゴーバンクを始めるに至った要因は、
以下のようになる。

【グリーン・ドットがゴーバンクを始める要因】
[1]プリペイド事業の競争が激化したから
[2]既存の当座預金サービスへの不満が高まっているから

1は、先ほど述べた通り。
大手金融機関がプリペイドカード市場に参入するばかりでなく、
大手クレジットカード会社・アメックスが
維持手数料無料のカードを発行するのだから、
最大手のグリーン・ドットが顧客を奪われたことは、
容易に推測できる。そのテコ入れのために、
ゴーバンクを始めたのである。プリペイドカードを、
小売店決済限定の当座預金カードと考えれば、
ゴーバンクはプリペイドカードが進化したものと捉えることができ
る。
プリペイドカードの機能を高め、
さらに月額維持手数料を無料にすれば、
従来のプリペイドカードよりも競争力を高めることができる。

2は、既存当座預金サービスの手数料が上昇したことが、
消費者の中で不満が高まっている要因である。次のデータは、
手数料高騰を物語っている。

【当座預金サービスにかかるコストの経時変化】
[維持手数料無料のサービス数]2009年は全体の76%、
2011年は45%、2012年39%
[平均月額維持手数料]2012年は前年比25%増で、
約5.48ドル
[維持手数料を無料にするための条件]
2012年の必要預金残高の平均は
前年比23%増で、約723ドル

この当座預金の維持コストへの不満に、
グリーン・ドットはビジネスチャンスを感じたからこそ、
ゴーバンクのサービスを始めたのである。

では、維持手数料という収入のないゴーバンクは、
どのようにして収益を上げているのか。、
ゴーバンクの収益源は、以下の通りである。

【ゴーバンクの収益源】
◯定形外のATM利用手数料(ユーザー負担)
◯デビットカードの利用手数料(店舗負担)
◯カスタマイズしたデビットカードの作成手数料(ユーザー負担)

既存の当座預金サービスが、月額維持手数料を
主要収益源にしていることを考えると、
そのビジネスモデルの違いがよくわかる。口座の維持ではなく、
利用から収益を上げようとしている。また、
スマホをフル活用することで、コストを削減している。

このように、ゴーバンクが生まれたのは、
大手参入による既存事業の収益悪化および、
消費者ニーズ(不満)の変化による。また、
新しいビジネスモデル(収益・コスト構造の違い)を
採用することで、既存サービスとの差別化をしている。

GoBank https://www.gobank.com/
Green Dot https://www.greendot.com/greendot/
Chase Liquid http://goo.gl/25ntI
Amex Bluebird https://bluebird.com/

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)プリペイドカード大手のグリーン・ドット社が、
ゴーバンクというスマホアプリを使った
当座預金サービスを始めたのは、
JPモルガン・チェースやアメックスなどの
大手金融機関がプリペイドカード市場に
参入したからである。特に、
維持手数料無料のアメックスの
ブルーバドの影響は大きかっただろう。

2)さらに、既存の当座預金の維持手数料が近年高騰しており、
それに不満を持つ消費者が増えていることも、
維持手数料無料のゴーバンクを生み出す要因となった。

3)口座の維持ではなく利用に課金することで
収益を上げるとともに、スマホをフル活用することで、
コストを削減する。この新しいビジネスモデルにより、
既存サービスとの差別化を図っている。
*************************

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。
(サイトへの掲載は、翌日以降です。)
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
メルマガの登録をお願いします。
(もちろん無料です。)



7)おすすめ商品・サービス

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

2008年よりウォール・ストリート・ジャーナルを
読んだ経験を活かして、頻出の英単語を
日々紹介しています。
頻出の英単語を知っていれば、
見出しや第一パラグラフを読んだだけで、
記事の概要を理解できることができるので、
時間の短縮になるはず。
世界に広がる英語情報のインプットが増えれば、
より個性的なアウトプットにもつながります。
http://english.ryotarotakao.com/

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、
ワインの情報を探すのが大変ということ。
公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、
作っています。
http://wine.ryotarotakao.com/

編集後記
今回取り上げたプリペイドカードですが、
日本のプリペイドカードとは異なります。
日本では、小売チェーンが発行する
プリペイドカードや電子マネーが主流。
しかし、アメリカでは、当座預金の
デビットカードの代替品として利用されているようです。
現金利用の多い日本では、
アメリカ型のプリペイドカードに対するニーズは
ほとんどないかと思います。
そう言えば、一時期日本でもデビットカードが
流行った(?)時期がありましたね。
昔、ヤマダ電機で使ったことがあります。
今でも、デビットカードのサービスはあるのかなぁ。
使っている人は、ほとんど見たことがありません。
クレジットカードでの使いすぎを気にする人には、
ニーズはあると思うのですが。

高尾亮太朗のツイッター⇒ http://twitter.com/ryotarotakao
高尾亮太朗の公式サイト⇒ http://ryotarotakao.com
高尾亮太朗のTubmlr⇒ http://ryotarotakao.tumblr.com
高尾亮太朗のGoogle+⇒ http://gplus.to/ryotarotakao
高尾亮太朗のPinterest⇒ http://pinterest.com/ryotarotakao/
今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!


メルマガ相互紹介を希望されるメルマガ執筆者様は、
ご連絡お願いします。

私もごく少ない部数の時に、
いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、
今回は私が恩返しします!

| 高尾亮太朗 | 金融 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
スポンサーサイト
| スポンサードリンク | - | 19:00 | - | - | pookmark |









トラックバック機能は終了しました。
+ 広告
+ 執筆者プロフィール
高尾亮太朗

1975年兵庫県姫路市生まれ。白鳥小学校・淳心学院・駿台予備学校神戸校・早稲田大学政治経済学部に進む。大学進学時に政治家を志し、早大鵬志会に入会。・・・続き
+ twitter+ryotarotakao.com

高尾亮太朗公式サイト

+ パートナーサイト
+ メルマガ無料配信中!
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930   
<< September 2020 >>
+ SPONSORED LINKS
+ SELECTED ENTRIES
+ RECENT COMMENTS
  • 【682号】米スーパー最大手・クローガーのハイロー戦略を単純に真似してはならない。
    常盤 (07/25)
  • 【647号】米玩具メーカー・クネックスブランズ、国内製造への回帰で直面した意外な課題とは?
    高尾 亮太朗 (03/25)
  • 【647号】米玩具メーカー・クネックスブランズ、国内製造への回帰で直面した意外な課題とは?
    mama (03/22)
  • 【434号】練り歯磨きを煩わしく思う消費者。その本当の理由とは?
    Ryotaro Takao (03/13)
  • 【434号】練り歯磨きを煩わしく思う消費者。その本当の理由とは?
    KI (03/13)
  • 【419号】赤がブームのニューヨークレストラン業界とランチェスター戦略
    高尾 亮太朗 (01/11)
  • 【419号】赤がブームのニューヨークレストラン業界とランチェスター戦略
    berry (01/10)
  • 【297号】高級百貨店チェーンサックス、ネットのプライベートセールを開始。
    あろえ (09/08)
  • 【321号】ドキュメンタリー番組には落とし穴がある。
    野呂エイシロウ (01/26)
  • テレビCMもグーグルが影響?
    イーモ (12/24)
+ RECENT TRACKBACK
+ CATEGORIES
+ ARCHIVES
+ パートナーサイト
+ MOBILE
qrcode
+ LINKS