英語新聞ウォールストリートジャーナル(WSJ)から見た起業・ビジネスのヒント

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【623号】米トイザらスが、元陸軍兵站士官を採用した理由とその野望とは?
 

トイザらス

By avlxyz


◎本日のニュース

1)見出し
The New Logistics of Christmas

【出典】
http://goo.gl/iqVbG


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2)要約
玩具小売大手のトイザらスは、
実店舗からの配送を行うなど、
物流部門を強化している。その一環として、
元陸軍兵站士官を採用した。

物流に力を入れるのは、
アマゾンなどネット通販専業企業との競争が
激しくなっているからである。
実店舗をネット通販に活用することにより、
配送のスピードアップを図ることができる。
この結果、実店舗を持たないネット専業企業よりも、
高い競争力を持つことができる。

また、実店舗のネット通販活用は、
トイザらスの業績が後押ししている。
ネット通販の売上が急増しているトイザらスであるが、
ここ2年間の全体売上は横ばいであり、
実店舗の売上がネットに移行しているに過ぎない。
実際、直近四半期の既存店売上は、4%減少している。
ただし、実店舗からの配送には、課題もある。
配送が忙しくなるあまり、接客が疎かになる可能性もあり、
また作業に専念できないことから、コストが高く付く恐れもある。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
As Toys "R" Us Inc. courts shoppers with a range of
 options for online purchases or in-store pick-ups,
it is counting on a former U.S. Army logistics officer
 to make sure the presents arrive on time.

4)キーとなる英文の和訳
トイザらス社は、ネット通販での注文や店頭受け取りなどの
オプションを増やすことで、買い物客の支持を得ようとしている。
そのために、元米国陸軍兵站担当士官を採用し、
贈り物が決まった時間に確実に着くよう、責任を持たせている。

5)気になる単語・表現
court A with B他動詞句BによってAの歓心を得ようとする。
count on A to V自動詞句Aが〜するのに期待する
officer名詞士官;役人、役員
make sure他動詞句〜を確かめる;〜を確実に手に入れる

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
トイザらス社(Toys”R”Us Inc.)が物流部門を強化するは、
ネット通販を強化するためにほかならない。その背景には、
次のような現実がある。

【トイザらスがネット通販を強化する背景】
[1]アマゾン・ドット・コム社(Amazon.com Inc.)など
ネット専業小売企業との競争が激化している。
[2]実店舗売上の減少傾向が止まらない。

1は、特に説明はいらないだろう。

ネット専業小売企業との競争は、
価格競争のみならず配送競争にも及んでいる。これが、
後述する実店舗配送につながる。

2に関して、トイザらスもネット通販売上が
急増しているのにもかかわらず、
直近2年間の全社売上はほぼ横ばい。
つまり、これまで実店舗で売れていた分が、
ネット通販に移行しているに過ぎない。
顧客が利便性の高さを採って、実店舗での購入をやめて、
ネット通販を利用していることになる。
この傾向に歯止めが掛からないので、
トイザらスは、ネット通販の強化を余儀なくされている、
と言っても過言ではない。

具体的に行なっているのは、
ネット通販注文品の実店舗からの配送である。
つまり、実店舗を、ネット通販の配送センターとして
利用するということ。
実店舗に商品を送る物流センターは別にある。
(今回は、「物流センター=店舗へ商品を送るなど
物流専用の配送センター」と定義付ける。)
実店舗をネット通販の配送拠点に活用するメリットは、
以下の通りである。

【実店舗をネット通販の物流拠点に活用するメリット】
[1]注文受付期間を長くでき、販売機会を増やせる。
[2]コスト削減ができる。
[3]ネット専業には難しい当日配送ができる。

1に関して、これを可能にさせるには、
配送リードタイムが短いからである。実店舗は、
専用の物流センターよりも数が多く、全国に点在している。
その結果、物流センターからネット通販の配送先に送るよりも、
実店舗から送る方が早く着くことになる。
配送日がクリスマスイブまたは当日に集中するクリスマス商戦で、
威力を発揮する。実店舗を持たないネット専業小売企業は、
より数の少ない物流センターしか持たない。例えば、
12月24日に商品を自宅に届けるならば、
実店舗を持たないネット専業小売企業は22日が受付最終日かもし
れない。
それに対し、
実店舗を持つトイザらスは23日まで受付可能だろう。
ネット専業小売企業よりも、1日長く販売ができることになる。

2に関して、来店客への販売する実店舗が活用できるので、
追加コストはほとんどゼロ。さらに、
実店舗のアイドルタイムや無駄なスペースを
有効活用できると考えれば、コスト削減につながる。

3に関して、各地に点在する実店舗を活用すれば、
当日配送が可能となる。これが、追加コストが
ほとんど掛からず実現する。一方、実店舗を持たない
ネット専業小売企業が当日配送を行うとなれば、
新たに拠点を築いたり、他社に外注する必要がある。
ネット通販で目標とされる当日配送を、
追加コストゼロで実現できることは、
トイザらスにとって大きなメリットである。

しかし、実際には、そう簡単に事は進まない。
配送拠点としての実店舗活用が直面する課題は、
以下の通りである。

【実店舗をネット通販の物流拠点に活用する課題・デメリット】
[1]接客が悪化する恐れがある。
[2]コストアップの可能性がある。
[3]どこから出荷するのか判断するのが難しい。
[4]店舗作業の不安定化。

1に関しては、特に説明はいらないだろう。
配送業務が増えすぎると、接客できる人員が減ることなる。
店舗サービスが悪化すれば、既存店売上がさらに悪化する。

2に関して、実店舗の人員を配送にも活用するということは、
業務が複雑化するということである。
物流センターで専業の人が作業するよりも、
作業効率は悪化する。これが、コストに跳ね返る。

3に関して、実店舗から配送するということは、
ネット通販の在庫が、
物流センターと実店舗両方にあることになる。
注文があるたびに、コストと配送時間を天秤にかけながら、
どちらから出荷するのか決めなければならない。
この判断は、誰にでもできるものではなく、
知識と経験が必要とされる仕事である。だからこそ、
トイザらスは、元米国陸軍で兵站業務を行なっていた
士官を採用したのだろう。兵站業務では、
兵士が戦闘を継続できるように、
食料と弾薬を兵士に補給しなければならない。
供給量が多すぎると、
機動力の悪化につながり、逆に少なすぎると、
戦闘の継続が難しくなる。このさじ加減が、
実店舗の配送活用でも必要とされる。つまり、
物流センターからの配送が多くなれば、リードタイムが長くなり、
実店舗の在庫が不良在庫化する恐れがある。逆に、
実店舗からの配送が多くなれば、実店舗で欠品する恐れがある。

4に関しては、通常実店舗での主要業務は、
商品受け取り・品出し・レジ・清掃など、予め決まっている。
しかし、実店舗でネット通販の配送業務を行えば、
注文数にその業務量は比例するので、作業が不安定になる。
実店舗の実際に作業を行う従業員には、大きな負担となる。

ただ、巨大店舗を多く抱えるトイザらスは、
デメリットよりもメリットの方が大きい。それは、
以下の理由による。

実店舗活用のメリットがデメリットよりも大きいトイザらス独自の理由】
[1]欠品が起こりにくくなり、
ネット通販販売可能アイテムが増えるから。
[2]巨大店舗の不良資産化を阻止できるから。

1・2とも、巨大店舗を各地に持つという、
トイザらスの強みが影響している。1に関して、
巨大店舗は、物流センターには劣るものの、大きな在庫を持つ。
各地の巨大店舗からの配送が可能となれば、
そう簡単に欠品が起きなくなる。販売機会を増やせることになる。

2に関して、今後も、実店舗売上がネット通販売上に移行すれば、
巨大店舗はトイザらスの足を引っ張りかねない。しかし、
その巨大店舗を、成長が期待できるネット通販の
配送センターとして活用できれば、足を引っ張るどころか、
収益拡大に貢献してくれる。

トイザらスが実店舗の活用に力を入れるのは、
実店舗の有無が、小売企業の競争を左右すると、
考えているからである。実店舗のショールーム化を
逆手に取ったやり方である。実際、
トイザらスCEOのジェリー・ストーチ(Jerry Storch)は、
次のような内容を語っている。

【トイザらスCEOが考える小売業の未来像】
[1]ネット通販だけでなく、魅力ある実店舗を持つかどうかが、
収益に大きく影響する。
[2]注文方法だけでなく、どこで受け取れるかの選択肢も、
消費者にとって大きな魅力である。
[3]ネット専業小売企業は、サービス向上のために、
いずれ実店舗を持たざるを得ない。

実店舗売上がネット通販売上に移行している現実を直視するだけで
なく、
ネット専業企業が持たない実店舗を弱みから強みに変えよう、
という意思が表れている。
実店舗がショールームになったとしても、
自社のネット通販から買ってもらえればいいという、
考えである。そのためには、実店舗を魅力的にするだけでなく、
配送機能などネット通販のサービス面を強化する必要があるだろう


Toys”R”Us http://www.toysrus.com

***************************

《今回のヒントのまとめ》
1)トイザらスが物流機能を強化するのは、
ネット通販に売上移行する中で、
実店舗をネット通販に活用するためである。

2)実際には、実店舗をネット通販の配送センターとして
活用している。そのメリットは、
「注文受付期間の長期化による販売機会の増大」
「既存資産活用によるコスト削減」
「当日配送のハードル低下」である。

3)もちろん、デメリットもある。それは、
「接客の悪化」「コスト上昇」「出荷判断の難しさ」
「店舗作業の不安定化」である。

4)しかし、巨大店舗を各地に抱えるトイザらスにとっては、
デメリット以上のメリットがある。
巨大店舗の在庫を使えることで、欠品が起きにくくなり、
不良資産化しかねない巨大店舗をネット通販の売上拡大に
活用できるからである。

5)トイザらスが実店舗活用にこだわるのは、
将来、実店舗の存在がネット通販の売上にプラスに影響すると、
考えるからである。

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高尾亮太朗

1975年兵庫県姫路市生まれ。白鳥小学校・淳心学院・駿台予備学校神戸校・早稲田大学政治経済学部に進む。大学進学時に政治家を志し、早大鵬志会に入会。・・・続き
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