英語新聞ウォールストリートジャーナル(WSJ)から見た起業・ビジネスのヒント

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グローバルビジネスマンなら必読の英語新聞「THE WALL STREET JOURNAL(ウォールストリートジャーナル)」。ウォールストリート・ジャーナル研究家の高尾亮太朗が、最新の記事を解説し、起業・ビジネスのヒントを提供いたします。

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【621号】アメリカの牛乳需要が急減している本当の理由とは?
 

ホールミルク


◎本日のニュース

1)見出し
America's Milk Business in a 'Crisis'

【出典】
http://goo.gl/LMnIn


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2)要約
アメリカの牛乳産業が、危機感を強めている。
それは、10年以上減少が続く牛乳の消費量が、
その減少スピードを加速させているからである。

牛乳を飲まなくなった理由として、
ペットボトル入り水など飲料の選択肢が増えたことが挙げられる。
また、牛乳の飲む量の多い子供の割合が減ったことも、
影響しているという。最近は、牛乳の価格上昇も、
購入のハードルになっている。

この需要急減に対し、牛乳に関わる企業・団体は、
需要喚起策に取り組んでいる。利便性を高めるために
パッケージを小さくしたり、栄養を強化した商品を販売したり、
代替品よりも牛乳の方が信頼性高いと謳う広告宣伝を行ったり、
模索している。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
In an age of vitamin waters and energy drinks,
the decadeslong decline in U.S. milk consumption has accelerated,
worrying dairy farmers, milk processors and grocery chains.

4)キーとなる英文の和訳
ビタミン入りウォーターやエネルギー飲料が売れる中、
10年以上続くアメリカの牛乳消費量の減少が、加速している。
これに対し、酪農家や乳加工業者、
スーパーマーケットチェーンは頭を悩ましている。

5)気になる単語・表現
decade名詞10年間
accelerate自動詞速度を増す;車のスピードを増す、

加速する

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
アメリカ人の牛乳消費量は、第二次世界大戦をピークに、
1975年から減少し続けている。さらに、
その減少スピードは加速している。
記事で紹介されているデータは、以下の通りである。
(わかりやすい図はこちら→ http://goo.gl/LMnIn

【牛乳消費に関するデータ】
[一人あたりの牛乳消費量]
◯1975年 28.6ガロン(108.68リットル)→2011年 20.2ガロン(76.76リットル)
=29.4%減少
◯2011年=前年比3.3%減少→
1975年以降で最大の下落幅
[牛乳の販売数量・販売金額]
◯2012年の販売数量=前年比2.9%減少
◯2012年の販売金額=前年比2.2%減少
※乳成分を含まない製品も入れた液体乳製品全体の数字

牛乳の消費量≒販売数量が減るだけでなく、
金額も減っているということは、
単価が大きく上昇しているわけではない。後で示すが、
牛乳の小売価格上昇も、牛乳消費量のマイナスの要因であるが、
価格上昇以上に数量が減少していることがわかる。

アメリカで牛乳消費量が減少している要因は、以下の通りである。

【アメリカでの牛乳消費量減少の要因】
[1]イメージの悪化
[2]子供の割合が減少
[3]小売価格の上昇
[4]他の飲料との競合激化

1に関して、牛乳のイメージが、
「ヘルシー」から「高カロリー」に変化しているという。
恐らく、牛乳よりもカロリーの低い豆乳やアーモンド乳の登場が、
そのようなイメージの変化を引き起こしているのだろう。
ネットで検索したところ、
100mlあたりのカロリーは以下の通りになる。

【牛乳・豆乳・アーモンド乳のカロリー比較】
普通牛乳→69.5キロカロリー
調整豆乳→54キロカロリー
無糖アーモンド乳→16.9キロカロリー

2に関して、牛乳を一番多く飲む子供の割合が減ったことが、
一人あたりの牛乳消費量の減少を導いているという。実際、
アメリカ統計局のデータを見ると、
アメリカの平均年齢が上昇していることがわかる。

【アメリカの平均年齢の推移】
1980年 30.0歳
1990年 32.8歳
2000年 35.3歳
2010年 37.2歳

年齢を重ねる毎に牛乳消費量が減ると考えれば、
平均年齢の上昇は牛乳消費量減少の要因となりうる。

3に関して、小売価格の上昇は、最近起こったこと。
飼料価格の高騰が、小売価格上昇を引き起こしている。
昨年の前年比9.2%もの上昇は、
2011年の一人あたり牛乳消費量の急減の大きな要因になっただ
ろう。
ちなみに、今年の上昇幅は微小という。

4に関して、ビタミンウォーターやエネルギー飲料など、
ヘルシーな飲料の選択肢が増えることで、
牛乳はそれらとの競合に晒されている。
ヘルシー飲料との競争激化は、
乳製品での最大カテゴリーであるスキムミルク・
低脂肪牛乳(ローファットミルク)の落ち込みの大きさが、
物語っている。

【2012年の乳製品売上金額と前年比】
◯スキムミルク・低脂肪牛乳→90億ドル(3.5%減少)
◯全乳(ホールミルク)→37億ドル(2.4%減少)
◯フレイバー付き牛乳→10億ドル(2.8%減少)
◯牛乳代替ミルク(豆乳・アーモンド乳など)→8億ドル(15.
8%増加)
◯ミルクシェイク・乳成分を含まない飲料→1億ドル(5.0%
増加)

比較的ヘルシーなスキムミルクや低脂肪牛乳が、
豆乳やアーモンド乳に需要を奪われていることがわかる。

これらの減少要因に対して、次のような施策を行なっている。

【牛乳需要喚起策】
[1]信頼性を広告宣伝でアピール・本物シールの貼付
[2]子供向けレストランで販売
[3]小容量商品の開発
[4]プロテイン入り・ラクトース無使用・減糖商品の投入

1に関して、具体的には、
牛乳の信頼性をCMやポスターで告知し、
豆乳やアーモンド乳などの代替乳との違いをアピールしている。
また、「本物(REAL)」という赤いシールを、
牛乳に貼付する計画があるという。

2に関して、例えば、アリゾナのシャムロックファーム社
(Shamrock Farms Co.)は、12オンス(355.2cc)
の開栓しやすいボトルを開発し、
そのボトルを使った牛乳をサブウェイで販売している。
12オンスと言えば、350ml缶とほぼ同じで、
注文しやすいサイズと言えるだろう。また、
同社は、7オンス(207.2cc)
のさらに飲みやすいサイズを、
アービーズ(Arby’s)のレストランで販売。これらにより、
子供の牛乳を飲める機会を増やそうとしている。また、
アメリカ最大の乳加工業者ディーンフード社(Dean Foods Inc.)は、
砂糖の少ないチョコレートミルクやラクトースを使わない牛乳を、
子供向けに販売しているという。ちなみに、
アメリカでは砂糖入りの牛乳があり、日本人から見ると驚き。
ヘルシー志向の強い母親にアピールするために、
砂糖やラクトースを使わない商品を開発している、とも言える。

3については、2での説明通り。また、忙しい家族向けに、
使いやすいパッケージも開発されているという。
これがどんなパッケージなのか分からないが、
恐らく小型化・長期保存ができるようにし、
より鮮度の高い牛乳を飲めるようにすることで、
牛乳を購入するハードルを下げているのだと思う。

4に関して、例えば、フィットネス通をターゲットにした
プロテイン強化牛乳を、シャムロックファーム社は販売している。
フィットネス通が普段飲む、乳を含まない飲料から需要を奪う
ためである。また、スーパー大手のクローガー社(Kroger Co.)は、
通常の牛乳よりも、20%もプロテインが多く、
一方で砂糖使用量を減らした新ブランドを立ち上げる予定という。

このように牛乳消費量拡大のため策を練る企業側であるが、
記事の最後に消費者の面白い声が取り上げられていた。
それは、47歳の大学の文学部男性教授の言葉。彼は、
6歳の頃、牛乳のヘビーユーザーだったという。ただ、
今ではシリアルを食べる時しか、牛乳を使わない。
そして、彼が発した言葉は以下の通り。

"What would you drink it with? Spaghetti?"
「何と一緒に飲めばいいんだい?スパゲティとかい?」

これが、牛乳を飲まない消費者の声である。つまり、
牛乳を何に使ったらいいのかわからない。どんな料理に合うのか、
わからない。だから、牛乳を買わないのだ。

確かに、量を飲む子供に牛乳を売れば、消費量は増えるだろう。
しかし、アメリカの平均年齢が上昇していることは自明であり、
この傾向は今後も続くだろう。子供の飲む量が増えたところで、
たかだか知れている。今後も増える30代以降の消費者に、
牛乳を使うシーン・牛乳の使い方を伝えなければ、
減少傾向の消費量は反転しないのではないか。また、
そのまま飲むだけでなく、食材としての利用すれば、
需要を増やせるのではないか。逆に言えば、
人口の高齢化に合った使い方を提示できなかった・
しなかったことが、
需要減少の本当の要因なのかもしれない。

牛乳のカロリーに関する情報 http://muuum.com/calorie/1091.html
豆乳のカロリーに関する情報 http://allabout.co.jp/gm/gc/67883/
アーモンド乳のカロリーに関する情報 http://goo.gl/Pzaud
アメリカの平均年齢データ http://goo.gl/QSqCE
クローガーの新ブランドCARBMasterのヨーグルト
http://goo.gl/LJBpf
Shamrock Farms http://www.shamrockfarms.net/
Dean Foods http://www.deanfoods.com/

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)アメリカの牛乳消費量減少の要因として、
ヘルシーイメージの後退、子供の割合の減少、
小売価格の上昇、他の飲料との競争激化を挙げることができる。

2)その対策として、
業界が一体となって信頼性をアピールしたり、
子供が飲める機会を作ったり、
パッケージの小型化・利便性の向上をしたり、
健康面を強化した商品開発、などを行なっている。

3)ただ、人口の高齢化が今後も継続することを考えると、
30代以上の世代向けに、牛乳を使う機会を作ったり、
牛乳の新しい使い方を伝えたりする必要はないだろうか。

4)高齢化に対する施策がなかったことが、
牛乳消費量の減少が継続・加速した本当の要因ではないか。
*************************

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編集後記
日本の牛乳消費量も、高齢化を考えると減っているのでしょうか。
ちなみに、私が牛乳を飲むのは、コーヒーに入れる時ぐらい。

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
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高尾亮太朗

1975年兵庫県姫路市生まれ。白鳥小学校・淳心学院・駿台予備学校神戸校・早稲田大学政治経済学部に進む。大学進学時に政治家を志し、早大鵬志会に入会。・・・続き
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