英語新聞ウォールストリートジャーナル(WSJ)から見た起業・ビジネスのヒント

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【548号】アンハイザー・ブッシュ・インベブ、大衆向け商品を持つという強者の弱みとは?
 

バドライトライム

By origamidon


◎本日のニュース

1)見出し
How to Build Buzz for Bud: More Alcohol, Lime-a-Rita
【出典】
http://goo.gl/8ivmS

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2)要約
アンハイザー・ブッシュ・インベブ社は、

出荷数量が3年連続減少し、
さらにシェアも低下した北米市場のテコ入れに力を注いでいる。

まず、19の新製品を今年発売する。これは、インベブ社が
アンハイザー・ブッシュ社を買収して以来一番多い。
この新製品によって、
北米で売上が伸びる地ビールを拡充するとともに、
若者に人気のカクテルから売上を奪おうとしている。また、
アルコール度数の高いライトビールを発売することで、
アルコール度数の高いハードリカーユーザーの取り込みを狙う。

卸企業との取り組みも強化する。競合他社の商品よりも
自社商品を優先して販売してくれる卸企業を、M&
A面で支援する。

もちろん、アンハイザー・ブッシュ・インベブの主力商品である
バドライト・バドワイザーは、NFLとのスポンサー契約や
新しいTVCMなど広告宣伝を強化することによって、
売上減少への歯止めを掛ける。

アンハイザー・ブッシュ・インベブが北米市場テコ入れに力を入れる背景には、
アメリカの景気回復がある。景気回復によって、
アンハイザー・ブッシュがこれまでターゲットとしてきた
比較的収入が少ない若者男性に、その恩恵が伸びると期待する。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Luiz Edmond has a big assignment at the world's largest brewer:
Get Americans to stop ditching his company's beer.

4)キーとなる英文の和訳
ルイス・エドモンドは、世界最大のビールメーカーで
大きな宿題を抱えている。
それは、アメリカ人のアンハイザー・ブッシュ・インベブ離れを
止めることである。

5)気になる単語・表現
assignment名詞(仕事・任務などの)割り当て、仕事;
宿題
ditch他動詞〜を見捨てる、〜との関係を断つ;〜
に溝の掘る;〜を溝に落とす
stop Ving他動詞句(人などが)(進行中の行為)をやめる、
中断する

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
記事で紹介されているアンハイザー・ブッシュ・インベブ社
(Anheuser-Busch InBev NV)の全米市場での業績は以下の通り。
(2008年と2011年の比較)

営業利益率:30%弱→40%超
出荷数量=販売数量:3年連続減少し、3年間で3.2%減少。
2000年以来初めて1億バレルを切る。
販売シェア:48.9%→46.9%

全米のビール市場全体は約2億バレル。これまでその半分の
シェアを握っていたが、この3年間で大きく減少。
ビールの小売価格がそれほど大きく上昇しているとは考えにくいの
で、
出荷数量の減少は売上金額の減少につながる。
営業利益率が上昇しているのは、
広告宣伝費などコスト削減を行ったからであろう。北米市場で、
アンハイザー・ブッシュ・インベブはジリ貧なのは明らかである。
※2010年のデータでは、
全米のビール市場全体が縮小している。
http://goo.gl/Ft2OK

この低迷から抜け出すために行ったのが、次の施策。
1.バドライ(Bud Light)・バドワイザー(Budweiser)のテコ入れ
2.アルコール度数の高いビールの発売
3.フレーバービールの強化
4.地ビールの強化
5.流通企業との関係強化

1について、バドライトとバドワイザーは、
全米市場でナンバーワン・ナンバースリー商品であり、
アンハイザー・ブッシュ・インベブの基幹商品。しかし、
バドワイザーが23年連続出荷数量が減少しているなど、
売上は大きく低迷している。基幹商品の売上低迷が、
アンハイザー・ブッシュ・インベブのシェア低下に
つながっているのだろう。だから、
この2商品の優先度が一番高い。
この両商品は大衆向けの商品であるため、
マスコミ広告を強化してテコ入れを行う。

2については、アルコール度数の高い商品によって、
スピリッツなどのハードリカーユーザー獲得を目指す。
今年1月に発売したバドライトプラチナ(Bud Light Platinum)は、
この代表例。アルコール度数は6%で、アルコール度数4.2%の
バドライトよりも高い。また、
コバルトブルーのボトルで販売することで、
スピリッツの注文が多いバーでの露出を狙う。
バーで話題に上ることにより、
小売店や飲食店での売上を伸ばそうという作戦である。
これは今のところ多いに成功しており、すぐに約1%の社を獲得。
欠品するほど売れ行きは好調に推移している。

3は、カクテルユーザーの獲得を目指したものである。
これに属する商品として、マルガリータに似た風味の
バドライトライム・ア・リタ(Bud Light Lime-a-Rita)や、
ミケロブブランドの紅茶・
レモネード風味やサイダー風味のビールの発売
を予定している。

4については、市場が拡大する地ビール市場に注目した施策である。
地ビール市場は、2011年の製造数量が昨対比13%上昇し、
1000万バレルに初めて到達した。全米のビール市場全体は
約2億バレルなので、約5%のシェアを握るまでに成長している。
アンハイザー・ブッシュ・インベブは、
この成長市場に目を付けた。
2月には、ショックトップ(Shock Top)ブランドの
ヴァイツェン風インディアペールエールを発売している。
インディアペールエール http://goo.gl/JIIEH

また、昨年買収した地ビールメーカー・グースアイランド
(Goose Island)の販促を強化する。グースアイランドは、
昨年20%以上も売上数量を伸ばしている。

最後の5について。これは製品に関することではなく、
販売に関する施策である。ミラークアーズ社(
MillerCoors LCC)など
の競合他社よりもアンハイザー・ブッシュ・インベブを優先的に
販売する卸企業を支援するとしている。ビール流通は、
直取引ではなく卸を通じた取引を行うため、
この施策を危惧する声も出ている。
締め付けが強くなると、流通企業のアンハイザー・ブッシュ・
インベブ離れを
引き起こす恐れもある。

これらをまとめると次のようになる。
1.バドライト・バドワイザーのテコ入れ→大衆向け
2.アルコール度数の高いビールの発売→
ハードリカーユーザー向け
3.フレーバービールの強化→カクテルユーザー向け
4.地ビールの強化→地ビールユーザー向け
5.優先販売する卸企業への支援→販売強化策、強すぎると逆効果
まさに全方位を担う強者の戦略である。
あらゆるターゲットに向けた商品を開発し、
それぞれに力を入れる。さらに、卸企業との関係を密にして、
販売面も力を入れる。

しかし、逆に言うと、全方位を担うがゆえに、
すべてが力不足になり兼ねない。特に、大衆向けのバドライト・
バドワイザーに、
その売上金額・数量を大きく依存していることは、
アンハイザー・ブッシュ・インベブの首を締めるかもしれない。
大きく依存しているがゆえに、
より大きな経営資源を注入せざるをえないが、
一方で大衆向けのビール市場は縮小している。さらに、
アンハイザー・ブッシュ・
インベブによる卸企業への締め付けが強くなると、
卸企業はアンハイザー・ブッシュ・
インベブの商品を多く扱わざるを得なくなるが、
一方で消費者ニーズは多様化している。このギャップが、
アンハイザー・ブッシュ・
インベブをより苦境に落と入れる恐れがある。

強者にこのような弱みがあることを考えると、
中小企業の持たない弱みは強みになり得る。
数少ないブランドやその他経営資源を、
小さく絞ったターゲット市場にすべて投入することができるからで
ある。
その結果、その小さな市場で弱者が強者に勝つことは可能だろう。

Anheuser Busch InBev NV http://www.anheuser-busch.com/s/
Bud Light Platinum http://www.budlightplatinum.com/gate.php
Shock Top http://www.shocktopbeer.com/s/
Bud Light Lime http://budlightlime.com/Home.aspx
Michelob http://www.michelob.com/Default.aspx
Goose Island http://www.gooseisland.com/

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)アンハイザー・ブッシュ・インべブ社は、低迷する北米市場を
テコ入れするために、販売を強化する。
その背景にはアメリカの景気回復があり、
ターゲットとする低収入の若者に、
その恩恵が及ぶことを期待している。

2)その方法は、基幹商品で大衆向けのバドライト・バドワイザーのテコ入れ、
ハードリカーユーザーの獲得を目指すためのアルコール度数の高い
ビールの発売、
カクテルユーザー獲得を目指したフレーバービールの強化、
成長する地ビールの販売強化、そして卸企業との関係強化である。

3)あらゆるターゲット層を念頭に置いた強者の戦略であるが、
縮小する大衆向けビールのバドライト・
バドワイザーに依存するがゆえに、
経営資源を無駄に使うことになりかねない。さらに、
卸企業との関係強化は、
多様性を好む消費者ニーズに反することになりかねず、
アンハイザー・ブッシュ・インベブの首を締めるかもしれない。

4)これは強者の弱みとも言え、逆に考えると、
持たないことは弱者の強みになり得る。少ない経営資源を
絞ったターゲット市場にぶつければ、
強者に勝つことも可能だろう。

*************************

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編集後記
多様性の進むアメリカビール市場ですが、
日本市場はどんどん画一化が進んでいるように思えます。
大手4社の力が強いゆえ、
さらに大手はブランド集約を進めています。
地ビール人気も少しは大きくなっていますが、
まだマニアの域は出ていないのではないでしょうか。
地ビール人気が盛り上がらない一番大きな理由は、
身近なお店で売っていないことのように感じます。

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!

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高尾亮太朗

1975年兵庫県姫路市生まれ。白鳥小学校・淳心学院・駿台予備学校神戸校・早稲田大学政治経済学部に進む。大学進学時に政治家を志し、早大鵬志会に入会。・・・続き
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