英語新聞ウォールストリートジャーナル(WSJ)から見た起業・ビジネスのヒント

英語がわからなくても最新アメリカビジネス事情を知りたい人、集まれ!
グローバルビジネスマンなら必読の英語新聞「THE WALL STREET JOURNAL(ウォールストリートジャーナル)」。ウォールストリート・ジャーナル研究家の高尾亮太朗が、最新の記事を解説し、起業・ビジネスのヒントを提供いたします。

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【688号】髭剃り用剃刀(かみそり)と替刃の売上が激しく減少している要因とは?
 

ジレットの剃刀by courtesy of John

 

◎本日のニュース

1)見出し
Sales of Razors and Blades Are Falling

【出典】
http://goo.gl/rzsxmi

 

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2)要約
アメリカにおいて、髭剃り用剃刀(かみそり)と
替刃の売上が大きく減少している。その落ち込みは、
金額よりも数量が減少しているのが特徴で、
これまでにない規模という。

その要因として考えられるのが、

剃刀の定期購入サービスの登場である。
ノーブランド品を利用するために、
大手メーカーは割を食うことになる。
また、髭剃り自体をしない男性の増加も、
カテゴリー全体の縮小の要因となっている。

さらに、大手ブランドの替刃タイプの価格上昇も、
ユーザー離反を招いている。その一方で、
単価の低い使い捨ての売上は伸びているという。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
At least that's the view from Schick razor maker Energizer Holdings Inc.,
which blames rival Procter & Gamble Co.
for aggressive discounting that has depressed growth
in men's razor and blades category.

4)キーとなる英文の和訳
少なくともそう考えるのは、
シックの剃刀を作るエナジャイザー・ホールディングス社である。
エナジャイザーは、攻撃的な値下げで競合の
プロクター・アンド・ギャンブル社を批判している。
というのは、その値下げによって、
男性用剃刀と替刃カテゴリーの成長が損なわれてきたからである。

5)気になる単語・表現
view    名詞      (個人的感情・偏見を含んだ)意見、見解、考え
blame   他動詞     〜を(事実に基いて)非難する
aggressive      形容詞     攻撃的な;活動的な、積極的な
depress 他動詞     〜を意気消沈させる;〜を不景気にする;〜を下に押す

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
記事の中には、エナジャイザー・ホールディングス社
(Energizer Holdings Inc.)による、
プロクター・アンド・ギャンブル社(Procter & Gamble Co., P&G)社
に対する批判が多く掲載されています。その批判とは、

P&Gによる剃刀・替刃の過度な値下げがカテゴリー全体の成長を鈍化させた

というもの。高くても売れた替刃タイプの剃刀が、P&Gによる値上げにより、
儲からなくなった、ということになります。

替刃タイプの剃刀・替刃の売上減少については、
次のようなデータが掲載されています。

【替刃タイプの剃刀・替刃の売上減少データ】
売上金額→6%減少
売上数量→10%減少
※直近四半期

金額・数量とも減少していますが、
金額よりも数量の方が減少率は大きくなっています。これからは、

替刃タイプの剃刀・替刃の単価はさほど下がっていない

ということがわかるかと思います。ならば、
エナジャイザーによるP&G批判は、
的が外れていることになります。
実際、替刃タイプの剃刀・替刃の売上減少は、
次のような要因によるものと考えられます。

【買えばタイプの剃刀・替刃の売上減少要因】
[1]競合の出現→剃刀の定期購入サービスの登場
[2]需要の減少→髭をオシャレとして楽しむ男性の増加
[3]低価格志向の強まり
→高単価の替刃タイプから低単価の使い捨てタイプへのシフト

1について、昨年このメルマガでも取り上げました。

【552号】ダラーシェイブクラブ、寡占のカミソリ市場に新規参入できた理由とは?
http://wsj.jugem.jp/?eid=645

数字は掲載されていませんが、WSJ記事によると、
ダラーシェイブクラブ(Dollar Shave Club)は、
それなりにユーザーを獲得しているようです。
ダラーシェイブクラブは、定期購買タイプのため、
毎月費用はかかりますが、毎月新しい剃刀を使うことができます。
また、ノーブランドの剃刀なので、大手よりも割安であることも
大きなメリットです。一方、ジレット(Gillette)や
シック(Schick)
のような大手ブランドは利用されないため、
定期購買タイプが増えると、
大手ブランドのシェアは減少することになります。

2は、髭剃り人口の減少自体が、替刃タイプの売上減少の要因になっています。
実際どの程度増えているのかについての説明はありませんが、
無精髭や髭をファッションとして楽しむ人が増えている模様。
おしゃれに髭を生やす有名人の増加が、
髭人気につながっているのでしょうか。

3について、替刃タイプが減少する一方で、
使い捨てタイプの売れ行きは好調のようです。
先述のデータと同様に、
直近四半期の使い捨てタイプの売上金額は、
4%増加しています。消費者の低価格志向の高まりが、
単価の高い替刃タイプから安い使い捨てタイプへのシフトを
促しているのでしょう。

P&Gは、安い使い捨てタイプの人気に直面して、
替刃タイプの特売を積極的に行なっているようですが、
それも裏目に出ているようです。というのも、
値段を下げる一方で、替刃タイプの剃刀の付属する
替刃の数を減らしているからです。
従来付属していたのは2個ですが、
今は1個に減らしています。この「実質」
値上げに消費者は感づき、
替刃タイプ離れを引き起こしているのではないでしょうか。
P&Gは、競合するシック(エナジャイザーのブランド)から
シェアを奪うためにジレット(P&Gのブランド)の「名目」
値下げ
を行なっているのですが、逆に替刃タイプの市場縮小を
招いたことになります。これが、エナジャイザーの主張です。

2の髭剃りユーザーの減少はともかく、1・3は、
消費者が現状の髭剃り用剃刀ビジネスにソッポを向いたことを示し
ます。
髭剃り用剃刀ビジネスはP&Gとエナジャイザーによる寡占状態。
だからといって、
自由に市場を動かせるというわけではありません。
消費者ニーズに背けば、離反を招くのです。そしてその隙に、
ダラーシェイブクラブのような新規参入が起こります。

また、単価の高い替刃タイプ市場が今減少していることから、
それだけアメリカ消費者の低価格志向が依然強いということが
わかります。

Gillette  http://goo.gl/n17gGC
Schick http://www.schick.com/
Dollar Shave Club http://www.dollarshaveclub.com/


***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)アメリカの髭剃り用剃刀・替刃の売上が減少している。
その要因として3つ上げることができる。

2)一つ目は、ダラーシェイブクラブのような
定期購買型の競合の出現である。
ノーブランド品を使うために、
大手ブランド品の売上は減少することになる。

3)二つ目は、需要の減少である。
無精髭やおしゃれとしての髭を楽しむ人が増え、
髭剃りをする機会が減少している。

4)三つ目は、低価格志向の強まりである。
単価の高い替刃タイプの売上が減少する一方で、
安い使い捨てタイプはシェアを伸ばしている。

5)アメリカの髭剃り用剃刀市場は寡占状態であるが、
消費者ニーズに背けば市場縮小や新規参入が起こる
ことがわかる。また、景況感が回復しても、
依然低価格志向が強いことも物語っている。
*************************


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7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけたいいもの
最近こちらの本を読みました。
少し古い本ですが、価格がどのように決まるかがわかって、
とても楽しめました。
また、デフレの中値上がりを続ける大学の授業料が、
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編集後記
ダウ平均や失業率を見ると、
アメリカ景気は良くなっているように感じますが、
髭剃り用剃刀市場は全く異なるようです。
二極化がさらに進んでいるのでしょうか。

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| 高尾亮太朗 | 日用品 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
【687号】賢い企業は値上げをこうする

ガソリンの価格表

by courtesy of Paulo Ordoveza

 

◎本日のニュース

1)見出し
How Companies Can Get Smart About Raising Prices

【出典】
http://goo.gl/QssuoU

 

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2)要約
企業にとって、値上げはバランスが求められる決断である。
というのも、

値上げをすれば顧客を競合に奪われるリスクがある一方で、
コストアップのため値上げをしない選択肢はないからである。
やり方を間違えれば収益悪化を招くが、
うまくやれば収益は向上する。

一番やってはいけないことは、割引の中止である。
というのは、企業が考える以上に、クーポンやその他割引は、
買い物客にとって重要だからである。また、
品質を下げた低価格ラインを導入すれば、
レギュラーブランドからのシフトを促すだけに終わりかねない。
容量変更による実質値上げも、利益率を維持できないばかりか、
騙されたと感じた顧客が怒りを拡散させる恐れがある。

一方、正しいやり方は、値引き理由を顧客に伝えることや、
値上げ商品の選別、割引の維持継続、
単機能低価格品の導入などである。
また、より価値ある商品に見えるようにすることも、
値上げを受け入れやすくする。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Instead, they should focus on minimizing the pain
for shoppers who are the most sensitive to price increase,
by targeting discounts at them and offering
different versions of their product at different price levels.

4)キーとなる英文の和訳
その代わり、値上げに最も敏感な買い物客の苦痛を
最小化させることに、力を注ぐべきである。
そのやり方は、彼らだけを狙った割引を行い、
異なる商品を異なる価格帯で提供することである。

5)気になる単語・表現
minimize        他動詞     〜を最小限にする
sensitive       形容詞     敏感な

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
まず、なぜ値上げが必要かと言えば、
それは原材料価格が上昇しているからに他なりません。
WSJの記事には、わかりやすいグラフが掲載されていますが、
まとめると次のようになります。

【メーカーが直面するコスト高】
原油卸価格→40%超の増加
中間財価格→15%超の増加
消費者物価→10%逆の増加
※2013年5月を2009年1月と比較

このグラフからわかることは、

原材料価格の上昇分が製品価格に転嫁できていない

ということです。つまり、
値上げがうまくできていないということになります。

では、なぜ値上げがうまくできていないのか。
その理由を探る際、参考になるのが次のデータです。

【スーパー買い物客の消費行動・店舗選択理由】
[消費行動]
常に割引を求める→61%
景気後退後割引を求めるようになり、今後も継続する→17%
景気後退後割引を求めるようになったが、景気回復すればやめる→
11%
割引を求めることはこれまでも今後も一切しない→11%

[近くにない店舗を選ぶ理由]
全般に販売価格が安いから→61%
特定の商品が安いから→53%
加工食品の品揃えが豊富だから→41%
生鮮品の品揃えが豊富だから→39%
PB商品の品揃えが豊富だから→26%
単なる習慣かよく知っているから→24%
素早く買い物ができるから→23%
有機食材など特別な商品の品揃えが豊富だから→22%
清潔だから→21%
顧客サービスがいいから→20%

これらのデータからわかることは、
多くの消費者が価格に敏感であるということです。
原材料価格が上昇しているので、
値上げせずに済むわけではないのですが、
値上げすれば顧客を競合他社に奪われるリスクがあります。
だから、値上げが進んでいないのです。

しかしながら、コストアップ分を
単に価格転嫁すればいいものではありません。
そこで、値上げの際にしてはいけないことを
まとめてみたいと思います。

【値上げでしてはいけないこと】
[1]     割引の中止
[2]     品質の低い商品を低価格で販売する
[3]     容量変更(減量)

1については、先述したデータをみれば、
まずいことがわかると思います。企業が考える以上に、
消費者はクーポン割引やその他割引に敏感なのです。
実際、次のような失敗事例があります。

【割引中止の失敗事例】
[1]90年代のP&G→クーポンなどの割引販促を中断。
数年後にシェアを大きく失い、割引を再開。
[2]直帰のJCペニー→値引きセールの頻度を下げる。
2012年度に10億ドルの売上を失う。

2について、低価格品を望む消費者向けに、
品質を落とした商品を低価格で販売することもよく見かけます。
このような低品質・低価格ブランドを、
ファイターブランドと呼びます。
ファイターブランドを導入しても、
レギュラーブランドからのシフトを促すだけで、
結局収益は減少することになります。しかも、
ファイターブランドに失望した消費者は、
レギュラーブランドやその企業自体に悪いイメージを抱くかもしれ
ず、
その悪影響はさらに広がる恐れがあるのです。

3について、消費者にわからないように、
パッケージは維持しながら容量を減らすというやり方です。
確かにグラムあたりの単価は上昇するものの、
包装コストや輸送コスト・その他製造コストは、
減量しても変わりません。よって、
利益率が悪化する可能性が高くなります。
さらに、容量変更を知らずに買った消費者は、
騙されたと感じ、その怒りをSNS上で拡散する恐れがあります。
企業イメージの悪化につながります。

では、どのように値上げをすれば、収益向上につながるのか。
記事が提案する「賢い」値上げ方法は、次の通りです。

【賢い値上げ方法】
[1]     値上げ理由を顧客に伝える
[2]     値上げ商品を選別する
[3]     タイミングを計る
[4]     割引を継続する
[5]     単機能品を低価格で販売する
[6]     より価値ある商品に見せる
[7]     今後予測されるコストアップ分まで値上げする

1については、してはいけないことの3の逆のパターンです。
数字としての価格だけでなく、
正当かどうかにも消費者は反応するからです。

2については、生活必需品よりも嗜好品の方が、
価格に敏感でないことに注目した方法です。
コストアップ分をそのまま上乗せするのではなく、
より生活必需品に近いものは薄く、
より嗜好品に強いものは厚く乗せ、
トータルでコストアップ分を賄うことを目指します。

3は、例えば既存品を値上げすることは、
顧客の抵抗を受けやすいかもしれませんが、
新製品ならば値上げではなく新たな価格設定になるので、
値段が通りやすくなります。さらに、
市場を主導する企業は、適切な時に値上げをして、
下位メーカーが値上げしやすい機会を提供することで、
業界全体での値上げを進めることができます。逆に、
下位メーカーは、リーダー企業に追随することで、
値上げをスムーズに行えます。

4は、してはいけないこと1の逆になります。
目的は、価格に敏感な顧客を維持するためです。
値上げをする一方で、クーポン割引も継続することにより、
価格に敏感な顧客を狙いうちした販促が可能になります。
一方で、その他買い物客には、
値上げ後の正規価格で販売できるので、
平均単価を引き上げることが可能になります。

5は、してはいけないこと2とは違い、
機能を絞った商品を低価格で販売することで、
価格に敏感な買い物客に対応するというやり方です。
例えば、アイパッドミニ(iPad mini)では、
メモリーの小さな型が329ドルで販売されています。
この型は、価格に敏感な消費者向けの商品なのです。
一方、その商品にもともと興味を持った買い物客には、
機能別に3つの商品を提案することで、
中間の商品に誘導することができます。
同じくアイパッドミニで言えば、
329ドルと659ドルの型ではなく
、459ドルの型も販売することで、
アイパッドミニに興味を持った買い物客は、
中間の459ドルの型を購入する確率が高くなります。
もし、329ドルと659ドルしかなければ、
その価格差から329ドルを選ぶ確率が高くなるので、
459ドルの型を導入することで、
単価を引き上げることができるのです。

6は、実際の価格と頭の中にある参照価格を比較して、
価値を判断するという消費者行動に着目したやり方です。
値上げした商品の価値をより高く見せるには、
比較対象の参照価格を引き上げればいいのです。
その一番簡単な方法は、
製品を詰めあわせた商品を販売するというやり方です。
例えば、スキンケア商品や美容品を詰めあわせた
「ホームスパ・パッケージ」を販売するとします。
この商品を見て消費者が参照価格にするのは、
スパで1日過ごす費用。この場合の参照価格は、
競合他社のスキンケア商品や美容品よりも高くなるので、
詰め合わせ商品の価値は高まります。同様に、
家族用に加工食品を詰めあわせたセットを販売すれば、
その参照価格はレストランでの食事や持ち帰りの費用となります。

7は、モノ(特に食品)は値上げする機会が
それほど多くないので、この機会を有効利用するべきです。
つまり、実際のコストアップ分だけでなく、
今後起こりうるコストアップ分も一緒に値上げした方が、
今後の値上げ自体を避けることができます。

値上げでしてはいけないこと・するべきことを、
もっと簡単にまとめると次のようになります。

【値上げでしてはいけないこと・するべきこと】
[してはいけないこと]コストアップ分の単純転嫁→
顧客離反のリスク
[するべきこと]顧客別・商品別の価格設定→平均単価の引き上げ

値上げによって計算上利益率を確保しても、
売れなければ利益は生まれません。よって、
いかに顧客の離反を避けて、
値上げをするかがポイントになります。
そこで、価格に敏感な買い物客と、
そうではない買い物客に選別する必要があるのです。
アメリカでは、クーポン(郵送により割戻しされる)を
活用できますが、日本では、
アメリカのようなクーポンは普及していません。
よって、日本での値上げを考えた場合、
商品別に価格設定を行い、いかに価値を高めるかが、
ポイントになるのではないでしょうか。
その際、正しいやり方の6のように、
比較される参照商品を従来とは異なるものにし、
参照価格を引き上げるというやり方は、
大変参考になると思います。


***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)価格に敏感な消費者が増えている以上、
単純に値上げをすれば、競合に顧客を奪われる恐れがある。
よって、値上げは企業にとって難しい課題である。

2)やってはいけないことは、値上げによって
顧客の離反を招くこと。具体的には、
割引の中止やファイターブランドの導入・容量変更である。

3)一方、正しく値上げをすれば、収益を拡大できる。
具体的には、値上げ理由を顧客に伝えること、
値上げ商品の選別、良いタイミングを選ぶこと、
割引の維持、単機能品の低価格販売、
価値ある見せ方をすること、
将来のコストアップ分まで値上げすること、である。

4)顧客別・商品別に価格設定できれば、
平均単価を引き上げることができ、収益向上につながる。

5)日本では、アメリカのようなクーポンが
普及していないので、
比較されうる参照価格を引き上げることで、
より価値ある商品に見せることが、
最有力の方法になるだろう。
*************************


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7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけたいいもの
最近こちらの本を読みました。
今人気の統計学に関する本です。
難しい数式などを除外しているので、とてもわかりやすいです。
一番重要なのは、
どんな目的で統計を使って分析するかということ。
「図解 統計がわかる本」 山本誠志著
http://goo.gl/nJqEGi

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

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編集後記
新聞報道を見る限り、
食品の値上げはどんどん増えています。
しかし、実際の売場やチラシでは、
値上げよりも値下げの方がまだ多いように感じます。
値上げをできる企業とできない企業の二極化が、
進んでいるのでしょうか。

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| 高尾亮太朗 | 経済全般 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
【686号】ヨーロッパ高級ブランドが直面する中国人観光客の変化
 

ローマのグッチ店舗

by courtesy of Achim Hepp

 

◎本日のニュース

1)見出し
In Paris, Chinese Shopping-Tour Buses Go Out of Fashion

【出典】
http://goo.gl/9Vx8WE

 

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2)要約
ヨーロッパにおいて、
中国人観光客によるバスツアー離れが進んでいる。
一方で、増えるのは個人観光客。個人観光客は、
買い物よりも物珍しいコトに対して支出する。また、
2回目以上の団体客の中でも、
買い物よりも個性的なツアーを望む声が出ている。

この変化に直面しているのが、高級ブランドショップ。
従来は、中国人バスツアーを誘致するために、
手数料をバックするなどツアーガイドへの営業に力を入れていた。
今後は、得意の顧客サービスを観光客自身に向けて、
顧客ロイヤリティの確立を目指している。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
More and more Chinese vacationers are
turning away from tour-bus travel and
frantic shopping trips, instead
opting to upgrade their overall holiday experience
by spending more on other things.

4)キーとなる英文の和訳
より多くの中国人観光客が、
ツアーバスによる旅行や熱狂的な買い物旅行にそっぽを向き、
代わりに他の事への支出を増やすことで、
休暇における体験全体をより充実させることを選択している。

5)気になる単語・表現
turn away from自動詞句〜にそっぽを向く
frantic形容詞気の狂わんばかりの;ものすごい
opt to他動詞句〜することを選ぶ

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
ヨーロッパのおける中国人観光客の変化が、
高級ブランド店に変化を余儀なくさせているという内容です。

中国人観光客の変化をまとめると、
次のようになります。

【ヨーロッパの中国人観光客の変化】
[1]個人観光客の割合の増加、ツアー団体客の減少
[2]団体客のニーズの変化=より個性的な体験を望む

1については、次のような予測があります。

【中国人個人観光客の増加を示す予測】
2020年までに、中国人団体ツアー客の支出が42%に減少
※2010年は56%

個人観光客は、団体ツアー客ほど高級ブランド品を購入しません。
それは、観光旅行により珍しい体験を求めているからです。
現在における個人観光客の割合増加は、
次のデータからもわかります。

【中国人観光客によるヨーロッパ全体での買い物合計金額】
2013年第一四半期 18%増→増加率が鈍化
2013年第一四半期 69%増
2012年全体 45%増

数字から推測できることは、
日を追うごとに買い物金額が減っていること。
これは、高級ブランド品をそれほど買わない
個人観光客の増加によるものと、思われます。

中国人観光客の変化2については、
1回目の旅行で高級ブランド品をたっぷり買ったので、
二回目は現地でしかできない体験をしたいということです。
例えば、ワイナリーツアーや有名博物館での鑑賞など。
2の変化により、団体観光客の中でも、
高級ブランド品の買い物を以前よりはしない人が
増えることになります。これも、
中国人による買い物金額減少の要因になります。

中国人観光客にこのような変化が起こったのは、
特に難しくありません。

【中国人観光客が変化した要因】
[1]ヨーロッパ旅行が二度目以上の中国人観光客が増えたから
[2]中国では体験できない、

目新しい体験を買い物よりも望むから

1は、先ほど述べました。
一回目の旅行で高級ブランド品を買い漁ったので、
今回の旅では買い物よりも別のことを優先したいのです。
2については、少し値段がはるかもしれませんが、
中国でも高級ブランドが買えるのだから、
旅行先では旅行先でしかできないことをしたい
というニーズが強まったということです。
いずれも、買い物よりも独自体験を望むという点で、
中国人の旅行スタイルが個性化・成熟化したと言えるでしょう。

この変化に対し、高級ブランド店は、
次のような対応をしています。

【中国人観光客の変化に対する高級ブランド店の対応】
[1]ツアーバス誘致よりも観光客自身への顧客サービスの強化
[2]ツアーバス来訪が期待できた百貨店への出店強化解除?

1については、従来は観光客自身への対応よりも、
ツアーバスを誘致できるかどうかが、
高級ブランド店にとって一番重要なことでした。
なぜなら、ツアーバスさえ誘致できれば、
ある程度の売上を確保できるからです。
だからこそ、旅行者自身へのサービスよりも、
ツアーガイドへのサービスがより重視されることになります。
具体的には、
売上の手数料がツアーガイドへバックされていました。

個人で旅行する中国人観光客が増えるに従い、
高級ブランド店は、旅行者自身へのサービスを強化することで、
売上確保を目指すようです。これは、
対国内消費者のビジネスと同じになることであり、
高級ブランド店の得意とするもの。
この強みを活かすことで、
顧客ロイヤリティを高めようとしています。

2について、「?」を付けたのは、
記事には解除までは書かれていなかったからです。
ただ、従来のツアー団体客が増加していた頃は、
ツアーバスの来訪ができる百貨店への出店を強化していました。
実際、フランスの百貨店・プランタン(Printemps)
のパリ店では、
年間売上の10%が中国人観光客によるそうです。
ツアー団体客の減少・個人観光客の増加により、
この出店戦略に変化が起こることは間違いないと思います。

この高級ブランド店の対応に関して、
記事執筆者は甘いと評価しています。
というのも、売上の上げ方がずっと難しくなるからです。
その違いをまとめると、次のようになります。

中国人団体客減少に伴い高級ブランド店のビジネス難易度の変化】
[従来]ツアーバス誘致できれば簡単に集客・売上が可能になった
→売上になる確率が高い
[現在・将来]集客努力が必要な上、
観光客のニーズに合った対応が必要
→売上になる確立が低い

簡単に言えば、売上を獲得するまでのハードルが
上がったことになります。「ニーズに合わす」とは、
言うには簡単ですが実際にできるには大変難しいこと。
事情をよく知る国内の消費者のニーズを知って、
合わせることでさえ難しいことであるのに、
海外の消費者についてはなおさらです。従来では、
中国語を話せるスタッフを置くことで簡単に売上を獲得できました
が、
今後は言葉のハードルだけでなくニーズのハードルも
クリアすることが必要になるのです。

また、中国でも購入できる高級ブランド品への関心が、
個人観光客の中で薄いという事自体が、
高級ブランド店にとっては逆風になります。
いくら顧客サービスを充実させても、
販売商品そのものにニーズが無ければ、売れません。
さらに言えば、
買い物よりも体験にお金を使いたい旅行者が増えれば、
モノ自体が売れなくなります。

中国人個人観光客の増加・ツアー客の減少は、
フランスだけでなく日本でも起こることです。
実際日本では、中国人や韓国人が欲しい医薬品や
ヘアケア商品を多く扱うドラッグストアが、
大きな集客に成功しています。今後は、
高級ブランド品頼みの販売ではなく、
より日本的なモノや日本独自のコトへの訴求が、
必要になるのでしょう。

Printemps http://goo.gl/8o3Nhi

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)ヨーロッパを旅行する中国人観光客に変化が起きている。
それは、個人観光客が増加する一方で、
団体ツアー客が減少していることである。

2)また、団体客の中でも、
より個性的な体験を求める声が増えている。

3)このような変化の背景には、
二回目以上の旅行者の増加や、
中国ではできない体験へのニーズの強まりがある。

4)この変化によって、ツアーバスによる
ワンストップ・ショッピングに頼っていた、
高級ブランド店も対応を余儀なくされている。
ツアーバス誘致よりも、顧客サービスを重視し、
ロイヤリティ確立を目指している。

5)しかし、海外の顧客ニーズに合わせるのは難しい上に、
モノよりもコトを求める観光客のニーズを考えると、
顧客サービスだけでは難しいのではないか。
日本でも同様のことが起こると思われる。
*************************


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編集後記
本当に、外国人観光客が増えましたね。
大阪とくにミナミでは、本当に多いと実感します。
特に韓国人。
ミナミのドラッグストアは、韓国人でいっぱいなのです。


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| 高尾亮太朗 | 旅行業界 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(1) | pookmark |
【684号】ワインの大量廃棄を余儀なくされたトレジャリー社が教えてくれる、最新アメリカワイン市場動向
 

ケース販売のワイン

by courtesy of Ryan Lackey


◎本日のニュース

1)見出し
Pour Results: $145 Million of Wine, Down the Drain

【出典】
http://goo.gl/aDZ04


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2)要約
ワイン最大手のトレジャリー・ワイン・エステート社は、
アメリカでのワイン販売不振のために、
1億4500万ドルもの償却を計上すると発表した。
この費用で、処分販売や廃棄が行われるという。

販売不振の要因は、低価格ワインへの高い依存度にある。
アメリカ市場では、より高いワインが売れ行きを伸ばす一方で、
低価格ワインの販売は低迷しているため、
トレジャリーの低価格ワインの多くが売れ残った。
さらに、低価格・低アルコールのワインは、
高級な白ワインや赤ワインほど長持ちしないために、
売れ残りワインの多くを廃棄せざるを得なくなった。

さらに、豪ドル高によって、トレジャリーの競争力が低下し、
販売不振の要因となった。競争力低下によって、
アルゼンチンやチリ・南アフリカのワインに市場を奪われた。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
One of the world's biggest vintners has
 a roaring hangover from poor U.S. sales,
leading it to destroy thousands of gallons of
 wine past its prime.

4)キーとなる英文の和訳

世界最大のワイン醸造業者の一つであるトレジャリーは、
アメリカの販売不振による不良在庫の急増に直面している。
それによって、賞味期限の過ぎた
何千ガロンものワインの廃棄を余儀なくされている。

5)気になる単語・表現
vintner名詞ワイン醸造業者
hangover名詞残存物
past前置詞〜を過ぎて
prime名詞最高の状態

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
世界のワイン最大手の一つである
トレジャリー・ワイン・エステート社(Treasury Wine Estates Ltd.)
について、中国でのワイン販売に関する記事で、
以前取り上げました。

【651号】豪ワインメーカー・トレジャリー、
中国で直営ワインバーを開く理由とは?
http://wsj.jugem.jp/?eid=744

そのトレジャリーが、アメリカでの販売不振が原因で、
大量のワイン廃棄を余儀なくされているようです。
販売不振の要因として、次の2つを上げることができます。

【トレジャリーがアメリカ市場で販売不振に陥った要因】
[1]

市場全体が伸び悩んだ低価格ワインへの依存度が高かったから
[2]豪ドル高により競争力が低下したから

1について、昨年度の価格帯別ワイン販売状況を見れば、
一目瞭然です。

【アメリカワイン市場における価格帯別販売状況】
3〜5.99ドル→1.5%増加
6〜8.99ドル→3.3%減少
9〜11.99ドル→13%増加
12〜14.99ドル→9%増加
15ドル以上→6%以上増加
※価格はボトル1本あたり
※集計期間は2012年5月26日〜
2013年5月25日の一年間

8.99ドル以下と9ドル以上で、
大きな違いあることがわかるかと思います。簡単に言えば、

8.99ドル以下のワイン→販売減少
9ドル以上のワイン→販売増加

となります。トレジャリーがアメリカ市場で力を入れていたのは、
低価格ワイン。よって、トレジャリー独自の要因ではなく、
低価格ワイン市場全体の減少の影響を受けたことになります。

ちなみに、アメリカのワイン消費量=ワイン市場は、
数量・金額とも増加しました。

【2012年のワイン消費量】
[数量]3億4510万ケース→2.2%上昇
[金額]323億ドル→3.6%上昇
※数量は1ケース=9リッター=750mlX12本
※金額は小売ベース

数量よりも金額の上昇率が高いことが、
ワイン単価の上昇=高いワインの売れ行き好調を示しています。

ただ、トレジャリーが受けたのは、
低価格ワイン市場の縮小だけに留まりません。
トレジャリーがアメリカ市場で力を入れたのは、
他のワインよりも賞味期限の短い低価格・低アルコールのワイン。
(ホワイト・ジンファンデルなど)この賞味期限の短さが、
販売不振の影響をさらに大きくします。
つまり、賞味期限内での処分を余儀なくされ、
処分売りまたは廃棄を余儀なくさせられるのです。

トレジャリーの販売不振の要因二つ目は、
豪ドル高です。最近でこそ、豪ドルが米ドルに対して
下落しているものの、今年の5月中旬まではパリティー価格
(1豪ドル=1米ドル)を上回っていました。豪ドル高により、
オーストラリアから輸出するトレジャリーのワインは、
競争力を失うことになります。つまり、アメリカの小売店店頭で、
価格面での魅力がなくなるということ。
実際、トレジャリーのホワイト・ジンファンデルのワインが、
同じく甘めのモスカートのワインに顧客を奪われているそうです。
また、産地では、価格パフォーマンスの高いアルゼンチンや
チリ・南アフリカに、低価格ワイン市場で
シェアを奪われることになります。

一方、
1に挙げたように低価格ワインの販売に力を入れている以上、
価格以外の魅力を訴えることもできません。
1と2のダブルパンチが、
低価格ワインに依存するトレジャリーに襲いかかったわけです。

このアメリカ市場での不振に対し、
トレジャリーは次のような施策を打つようです。

【トレジャリーのアメリカ市場テコ入れ策】
[1]オーストリアからの輸出削減
[2]中国市場の開拓促進

1については、テコ入れと言えないかもしれません。
アメリカ市場でのオーストラリアワイン人気の陰りが、
今後も続くと予測しているのでしょう。ただし、
価格帯における成長はまだ大きいと予測しているようなので、
他産地のより単価の高いワイン販売に力を入れるものと思われます


一方2について、前回のトレジャリーの記事と同じことですが、
ワインバーやレストラン・
エンターテイメント施設を開設することで、
贈答需要よりも自家消費を促すようです。

トレジャリーの大量ワイン廃棄だけを見ると、
アメリカのワイン市場も停滞しているように感じますが、
実際は異なります。数量・金額とも伸びているのです。
ただ、価格帯別のシェアを見ると、
さらに現実の販売状況を知ることができます。
私の推測になりますが、アメリカでのワイン購入現場では、
次のようなことが起こっているのではないでしょうか。

【価格帯別ワインシェアから考えたアメリカワイン購入現場】
[1]3〜5.99ドルのワイン販売量の増加
→非正規雇用の消費者の低価格志向の強まり
[2]6〜8.99ドルのワイン販売量の減少
→3〜5.99ドルのワインにシフト
[3]9ドル以上のワイン販売量の増加
→正規雇用の消費性向の高まり

要は、価格帯別ワインシェアを見る限り、
ワイン購入において二極化が起こっているのではないか、
と思うのです。

Treasury Wine Estates Ltd. http://www.tweglobal.com/
White zinfandel http://goo.gl/YMnWW
Moscato http://goo.gl/vLTnC
消費性向とは http://goo.gl/zzSDr

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)トレジャリーが、大量のワイン廃棄を余儀なくされたのは、
アメリカ市場で販売不振に陥ったから。その要因は、
低価格ワインへの高い依存度と豪ドル高にある。

2)アメリカのワイン市場では、
単価の高いワインの販売が増える一方で、
低価格ワインの販売は苦戦している。
低価格ワインの販売に力を入れるトレジャリーは、
この市場環境の逆風を受けたことになる。

3)また、豪ドル高は、トレジャリー商品の
価格競争力を低下させることになる。特に、
力を入れる低価格ワインにとって、
価格競争力の低下は致命傷となった。

4)トレジャリーの状況とは異なり、
アメリカのワイン市場は数量・金額とも伸長している。

5)ただし、価格帯別シェアを見る限り、
所得を増やす層はより高い単価のワインにシフトする一方で、
非正規雇用など可処分所得がさほど増えない層は、
低価格ワインの購入を増やしている。
つまりアメリカワイン市場では、
二極化が起こっていると思われる。
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http://goo.gl/njEqS


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編集後記
夏になると、めっきりワインを飲む機会が減ります。
それは、ビールの方がうまいから。
その分、私のビール、もとい第三のビール消費量はうなぎのぼり。
1日2本までと決めていますが。


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【682号】米スーパー最大手・クローガーのハイロー戦略を単純に真似してはならない。
 

クローガーの店舗

by courtesy of Ammon Beckstrom


◎本日のニュース

1)見出し
What Is More Valuable: Kroger Or Whole Foods?

【出典】
http://goo.gl/i22ow


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2)要約
米スーパー最大手のクローガーの株価が、
昨年から急上昇している。その結果、
時価総額がホールフーズとほぼ同じになった。

その要因は、クローガーのハイロー戦略にある。
ハイロー戦略とは、必需食料品の価格を下げる一方で、
高級食材の導入を進めるというもの。
前者は、量販店やディスカウンターとの
価格競争の激化に対応したもので、
顧客流出の回避がその目的とされている。
一方、後者は、ホールフーズのような
高級チェーンの顧客を集客するためである。

一方、クローガーは、時価総額でホールフーズに並んだものの
、PERではまだ大きな差が開いている。
これは、両社の将来の成長性の違いを物語っている。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
 The high-low strategy has turned Kroger into a hybrid of sorts:
 offering a high-end shopping experience but
with low prices on staples such as bread and milk.

4)キーとなる英文の和訳
ハイロー戦略は、クローガーをハイブリッド業態に転換させた。
つまり、高級な買い物体験を提供する一方で、
パンや牛乳のような日常必需食料品を低価格に設定している。

5)気になる単語・表現
hybrid名詞交配種、雑種;混成物
staple名詞必需食料品

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
米スーパー最大手のクローガー社が、
注目を浴びています。それは、
最近アメリカ南東部で約200店舗の高級スーパーを展開する
ハリスティーター社を買収すると、発表したから。
発表した翌日には、株価は2.5%上昇しましたが、
昨年から換算するとなんと65%も上昇しているのです。
その結果、クローガーの時価総額は、
高級スーパーのホールフーズ・

マーケット社に並ぶまでに上昇しました。

この株価大幅上昇の背景には、
クローガーが採ったハイロー戦略があります。
ハイロー戦略は、次のようにまとめることができます。

【クローガーが採用したハイロー戦略】
[ハイ]高級食材の積極的導入
[ロー]購入頻度の高い必需食料品の低価格販売

ハイについて、具体的には乾燥熟成肉や高級チーズなどの
販売を推進しているようです。この目的は、
ホールフーズなどの高級スーパーから富裕層や
オーガニック好きな顧客を奪うため。高級食材は、
概して粗利が高いため、高級食材の販売を強化することで、
利益率の向上を目指しています。

では、なぜ利益率を向上させる必要があるのか。
その要因は、ロー戦略に大きく関係します。
クローガーを始めスーパーマーケットは、
ウォルマートなどの量販店やダラージェネラル
(1ドルショップ)などのディスカウンターとの競争激化に、
直面しています。簡単に言えば、
価格競争の巻き込まれているということです。そこで、
顧客の流出を防ぐために、
パンや牛乳などの購入頻度の高い食材を
低価格販売するようになったのです。
これが、ハイロー戦略のローの部分になります。

ハイロー戦略を採ることによって、低価格品で集客し、
高級食材で利益が取ることができ、
その結果、客数・客単価とも向上させ、
既存店売上高を拡大することが可能となるのです。
だからこそ、株価が65%も上昇したのでしょう。

しかし、店舗数・PER(株価収益率)に目を向けると、
クローガーはまだ決して喜ぶことはできません。
クローガーとホールフーズの店舗数・PERをまとめると、
次のようになります。

【クローガー・ホールフーズの店舗数・PER】
[店舗数]クローガー約2500店、ホールフーズ約300店
→クローガーはホールフーズの約8.4倍
[PERは]クローガー約13倍、ホールフーズ約40倍
→クローガーはホールフーズの約1/3

店舗数が約8.4倍にも関わらず、時価総額が同じということは、
それだけ収益力が弱いことになります。その結果、
クローガーの将来の成長力は、ホールフーズよりも弱くなり、
PERの差となって表れています。
では、なぜハイロー戦略を採るクローガーが、
ホールフーズよりも、成長力が弱いと考えられるのか。
それは、
ハイブリッド型だからこその弱さにあるのではないでしょうか。

つまり、低価格販売と高級品販売の両方を採ることによって、
逆に低価格志向の強い消費者・品質重視の消費者とも支持を
受けにくくなる可能性があるのです。
ハリスティーター買収に関する記事に寄せられた読者コメントを見
ると、
買収後にハリスティーターの商品・
サービスに悪影響を及ぼすのではないか、
との意見が寄せられています。クローガーは、
ハリスティーターの商号やPBを継続するものの、
クローガーの経営方式を取り入れることにより、
従業員によるサービスや一部の取扱商品が削減される恐れがあるの
です。
この結果、ハリスティーターの顧客離れを起こし、
買収後の業績が悪化するかもしれません。

ホールフーズの店舗を見ると、単に高級食材を扱うだけでなく、
なぜ高級食材を扱うのかも、ちゃんと説明されています。
高級食材を扱う思想が、コミュニケーションされているのです。
この思想の有無、コミュニケーションの成否が、
PERの差になって生まれているのではないでしょうか。
よって、クローガーの株価が上昇しているからといって、
ハイロー戦略を単純に真似しても、
長期的にうまくいくとは限らないように思えてなりません。

Kroger Co. http://goo.gl/cnUqz
Whole Foods Market Inc. http://goo.gl/LoZjN
Harris Teeter Supermarkets Inc. http://goo.gl/MUeSq

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)クローガーの株価が昨年から急上昇しているのは、
そのハイロー戦略が評価されているからである。

2)ハイロー戦略とは、購入頻度の高い商品を低価格販売し、
一方で高級食材を販売するというもの。

3)これにより、量販店やディスカウンターとの
価格競争による顧客離れを回避できるとともに、
高級スーパーの顧客を奪うことが可能となる。

4)しかし、時価総額では並んだものの、
PERを見ると、クローガーはホールフーズにまだまだ及ばない。
5)収益性・将来性の違いが大きな要因であり、
ハイロー戦略が長期的にはうまくいかないと
捉えられている証拠かもしれない。
*************************



7)おすすめ商品・サービス
◎JAFカード解約を考えています
実は経費削減の為、長年利用してきた
JAFカードの解約を考えています。
そこで、JAFの代わりとして考えているのが、
ENEOSカード。
ロードサービスが十分かどうかは、わかりません。
もし、利用されたことのある方がおられましたら、
教えてください。
http://goo.gl/dHxj1

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編集後記
エレベーターから出る時は、できるだけ開くボタンを押して、
同乗者に先に降りてもらうようにしましょう。
以上。

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【681号】中央銀行が手こずる新たな不動産バブルとは?
 

住宅バブル?

by courtesy of Roger Wollstadt


◎本日のニュース

1)見出し
Central Bankers Hone Tools to Pop Bubbles

【出典】
http://goo.gl/6Ja62


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2)要約
世界の中央銀行は、

バブルに変わる前に過剰融資をやめさせる方法を探している。
これまでは、金利引き上げによって融資抑制に努めてきたが、
その方法を今は取りにくい。というのは、
物価上昇率が低く失業率が高いからである。

そこで中央銀行は、金融システム全体を守るための
マクロ・プルーデンス政策に沿って、
融資抑制につながる規制に力を注いでいる。
例えば、住宅ローンの頭金の増額や、
銀行の短期資金借入の制限などである。

ただし、この規制による抑制策は、
まだ実験段階でありうまくいくかどうかわからない。
失敗すれば、新たな住宅バブルを招く恐れがある。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
He and his counterparts around the world, seared
by the worst financial crisis in 75 years,
are searching for ways to halt borrowing binges
before they morph into bubbles, and to push lenders
 to shore up their defenses before the next crisis arrives.

4)キーとなる英文の和訳
バーナンキFRB議長と世界の中央銀行総裁は、
75年間で最悪の金融危機によって痛手を受けたので、
バブルになる前に過度の貸出を抑制し、
金融機関が新たな危機が起こる前に自らを守る方法を模索している

5)気になる単語・表現
counterpart名詞対応するもの
sear他動詞〜に激しい痛みを引き起こす
binge名詞過度の行為;飲み騒ぎ
morph into自動詞句〜に変身する
shore up他動詞句〜を支える

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
今回は経済面から。投資に役立つ情報と思い、
世界で広がりつつある不動産バブルについて、
取り上げました。
2008年にアメリカの不動産バブルが弾けたばかりであり、
なかなか考えづらいですが、この記事を読む限り、
世界で不動産バブルが起こっているようです。
その要因は、もちろん過剰融資。過剰融資が起こる背景には、
アメリカ・EUで進められる金融緩和があり、
日本の金融緩和も過剰融資の要因になりつつあるそうです。

過剰融資を抑制する方法として、
従来は金利抑制策=金利引き上げが取られてきました。
しかし、今金利引き上げがなかなか取りづらい環境にあります。
それは、次のような経済環境があるからです。

【過剰融資抑制のために金利を引き上げにくい環境】
[1]物価上昇率が低い
[2]失業率が高い

通常、過剰融資が問題になるのは、景気がいい時。
つまり、物価上昇率が高く、失業率が低い時です。
しかし、今はそのような環境にありません。
だから、金利引き上げ以外の過剰融資抑制策が必要になるのです。

そこで、世界の中央銀行が実施するのが、
マクロ・プルーデンスな経済政策にそった規制です。
マクロ・プルーデンスとは、
日経新聞でもなかなか出てこない用語ですが、
次のように定義付けすることができます。

マクロ・プルーデンスとは、金融システム全体のリスクの状況を
分析・評価し、それに基づいて制度設計・
政策対応を図ることを通じて、
金融システム全体の安定を確保するとの考え方
※日本銀行公式サイトより
http://goo.gl/JHaFL

簡単に言えば、個々の銀行を規制するのではなくて、
金融システム全体を守るために新たな制度や規制を行う
という考え方になります。マクロ・プルーデンスな政策
を取るようになった背景にはリーマン・ショックがあり、
リーマン・ショックによって、危機が起きてからでは遅い
ということがわかりました。そこで、
すべてを市場に任せるのではなく、
事前に金融システム全体を守る規制を発動するようになったのです


そこで、マクロ・プルーデンスな政策に沿った
具体的な規制をまとめると、次のようになります。

【マクロ・プルーデンスな政策に沿った過剰融資抑制策】
[1]ローン頭金の増額
(韓国、カナダ、イスラエル、インドネシア、スイス、香港)
[2]ローン利用者の負債比率を設定(韓国)
[3]ローン返済方法の制限(カナダ、スイス)
[4]ローン借換の制限(カナダ)
[5]銀行の短期資金借入の制限(イスラエル)
[6]新たな課税・増税(韓国、香港)

1について、ローンの頭金をローン総額の一定割合以上に
規制することで、過剰なローン設定を抑制することができます。
2は、ある程度資産を持っていないと、
ローンを組めないようにする規制です。
3は、ローン元本の返済期限を儲けるなど、
返済ができる範囲での融資に抑える効果が期待できます。
4は、容易な借換ができなくすることで、
不動産価格上昇を見越した投機を抑制できます。
5は、海外市場の低金利に依存した低金利のローンを抑制します。
6は、外国人や不動産を多く持つ資産家に対し、
新たな課税や増税を行うことで、過剰な投資を抑制します。

記事で取り上げられた各国の状況をまとめると、
次のようになります。

【過剰融資・不動産価格の高騰に直面する国】
[韓国]マクロ・プルーデンスな規制を発動する背景には、
90年代のアジア危機がある。外資からの短期借入の制限や、
住宅ローンの最低頭金・最大負債比率の設定、
2つ以上の住宅を持つ人の住宅売却税を最大60%以上に設定、
などを行う。この結果、江南(カンナム)
区の高級住宅街の価格が、
昨年5%下落した。

[カナダ]利上げするも、借入の急増・住宅価格の上昇
を抑制できなかった。そこで、100万カナダドル(
946000米ドル)以上の
住宅ローンの頭金を最低20%に設定、
政府保証ローンの返済期間を30年から25年に短縮、
借換できる住宅価値を85%から最大80%に縮小、
などの規制を実施。その結果、
住宅販売数は昨年春8%下落、
6大都市の住宅価格は2012年4月から2013年2月にかけて
下落。

[イスラエル]世界の緩和マネーの影響で、
通貨高よる輸出減で苦しむ。
よって、さらなる通貨高を招く金利引き上げができない一方で、
過剰融資をさらに増やしかねない金利引下げもできず。そこで、
利率の低い短期金利に連動する金利変動ローンの利用の制限、
住宅ローンの最低頭金を30%に設定、投資物件の頭金は50%
に設定、
などの規制を実施。しかし、需給の力にかなわず、
不動産価格の上昇は収まらず。
人口が新築住宅数以上に増えるイスラエルでは、
構造的に住宅価格は上昇している。

[インドネシア]バイクのローン頭金を最低25%に規制。
その結果、昨年のバイク販売数量は12%下落。今年も下落継続。

[スイス]経済規模に比べて住宅価格が割安なため、
住宅ローンが急増。そこで、頭金を最低10%に設定、
20年で元本の最低1/3を支払うなど、規制を実施。また、
銀行の対しては、不動産融資額の1%
の資本を別に確保するよう要請。

[香港]年率2桁台で上昇する不動産価格を抑えるために、
次のような規制を実施。不動産取得税を増税、
供給を増やすために土地開発を拡大、最低頭金率の引き上げ、
外国人購入者への新規課税、商業用不動産にも規制を適応など。
政府が過剰融資抑制策に動くと、数ヶ月間不動産価格は収まるが、
その後また上昇に転じる。その理由は、
低金利の米ドルと香港ドルがペッグしているから。
ただし、米長期金利の上昇による香港の金利上昇、
また中国経済の停滞により、住宅市場は冷却化しつつある。

問題なのは、このマクロ・プルーデンスな政策は、
その成果が未だはっきりせず、実験的な段階であることです。
また、いつ規制を打つかも、
その結果に大きな違いをもたらします。
つまり、早ければ、景気回復の芽を摘むことになり兼ねませんし、
逆に遅ければ、バブル崩壊のリスクがあります。

そして、サブプライム危機で痛い目に遭ったアメリカでも、
住宅バブルの芽が浮上しているようです。住宅価格の上昇の裏で、
2008年の危機を上回るリスクの高い貸出が復活しているとのこ
と。
QE3の縮小宣言を通じて長期金利が上昇傾向にあるので、
住宅価格の上昇が止まると、
ローンの焦げ付きが起こるかもしれません。
また、それを回避するために、
アメリカでも不動産投資抑制策が打たれる可能性があります。

いずれにしても、アメリカの金融緩和が出口に
差し掛かっているのは間違いなく、
いずれ世界を回った緩和マネーが逆流します。
その時、為替を通じて、
日本の金融市場にも影響を及ぼすことは必至でしょう。
日本の株式市場だけを見ると、バブル前夜のようにも思えますが、
世界は緩和バブルから正常化に向かいつつあるのです。

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)世界の中央銀行は、過剰融資によるバブル発生を
回避するために、マクロ・プルーデンスな政策を実施している。

2)その背景には、従来の金利引き上げが
過剰融資抑制に効かないことがある。
それは、物価上昇率が低く、失業率が高いために、
金利引き上げが景気に悪影響を及ぼす恐れがあるからである。

3)マクロ・プルーデンスな規制とは、
具体的には住宅ローンの頭金の増額や、
ローン利用者の負債比率の制限、新たな課税、
返済方法の制限、借換の制限、
金融機関の短期資金借入の制限などである。

4)ただ、マクロ・プルーデンスな規制は、
実験段階であり、実際に融資を抑制する
効果があるかどうか疑問である。

5)また、アメリカでは、住宅価格上昇の裏で、
2008年の金融危機を上回るリスクの高い住宅ローンが
復活しつつあり、これがバブルになる恐れがある。
*************************



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編集後記
土曜発行分は、投資に関する記事を取り上げようと思います。
今回は、投資というよりも金融・経済に関することで、
ちょっと難しかったですね。
ただ、それ以上に世界で不動産バブルが生まれつつあることには、
驚きです。
日本が周回遅れということは、日本でも不動産バブルが生じる
可能性があるとういこと。
2005年〜2006年のようなミニバブルが起こるのでは、
と予想しています。

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| 高尾亮太朗 | 資産運用・投資 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
【680号】客単価上昇を進めるアメリカ航空会社、その要因とは?
 

ユナイテッドの飛行機Matt Hintsa


◎本日のニュース

1)見出し
Airline Fees Keep Climbing

【出典】
http://goo.gl/6wtRl


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2)要約
チケット料金の下落に直面するアメリカの主要航空会社は、
新たな収益源として無料サービスの有料化に注目している。
例えば、荷物預かり料金や予約変更手数料などである。

ただ、無料サービスに新たに課金すれば、顧客離れが懸念される。
そこで、

有料サービスをパッケージした新たなチケットを設定したり、
年間利用権を発売したり、抵抗が小さくなるような価格設置を
模索している。

この結果、主要航空会社の総収入のうち、
チケット販売収入の割合が縮小する一方で、
有料サービスなど補助収入は過去最高を更新している。
チケット料金の上昇が見込みない中、
この傾向はさらに続くと予想されている。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
But airlines are also bundling some of
the fees differently and framing them as a service,
 mixing the good with the bad.

4)キーとなる英文の和訳
しかし、航空会社は一部の有料サービスをいろいろ組み合わせ、
それらをサービスとして設定しようとしている。
それは、短所を長所とミックスするというやり方である。

5)気になる単語・表現
bundle他動詞〜を束にする
frame他動詞〜を枠にはめる;〜を組み立てる

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
飛行機に乗る時、今でもウキウキします。それは、
いろんなサービスを無料で受けられるからです。
例えば、国際線に乗れば、ビールはもちろんシャンパンま
で無料で飲めるのです。しかし、その無料サービスの有料化が、
アメリカで進んでいるようです。

次の数字を見れば、アメリカの主要航空会社におけて、
有料サービスがいかに無視できない収益源なのかがわかります。

【アメリカ主要航空会社のチケット収入・補助収入の割合】
[チケット収入]2000年約84%→2012年約70%
[補助収入]2011年約57億ドル→2012年約61億ドル
(約3.8%、過去最高額)
※2012年の総収入は約1595億ドル

補助収入とは、荷物預け手数料や予約変更手数料など、
従来無料で提供していたサービスの有料化による収入です。
2000年のデータが掲載されていなので、
単純比較はできませんが、
補助サービスの収入額が過去最高を記録したことから考えると、
補助サービスの拡大・
チケット収入の縮小というトレンドがわかります。

では、なぜ航空会社は無料サービスの有料化に踏み切ったのか。
次の収益構造を見れば、納得出来ます。

【アメリカ航空会社の収益構造】
◯搭乗客一人あたりの利益→37セント
◯搭乗客一人あたりの補助収入→8.49ドル
※2012年データ

補助収入が無ければ、赤字なのです。この原因は、
チケット料金の下落です。物価調整後のチケット料金は、
2000年から2012年まで15%も下落。さらに、
一人あたりのチケット料金と補助収入の合計も、
10%下落しているのです。チケット料金の上昇が見込めない中、
客単価を増やすためには、補助収入を増やすしかありません。
だから、従来無料で提供していたサービスの有料化を
推し進めているのです。

ただ、ここで疑問が生じます。無料サービスを有料化すれば、
顧客離れを引き起こし、客数自体が減少するのではないか、
という疑問です。客数の変動は記事では記載されていませんが、
航空会社が無料サービスの有料化を進めているということは、
客数にはさほど影響していないようです。その原因をまとめると、
以下のようになります。

無料サービスの有料化に踏み切ってもさほど客数が減らない要因】
[1]顧客が納得する有料化の正当性を伝えているから
[2]航空会社の再編が進み競争が限定的だから

1について、有料化をすんなり受け入れる利用者は少ないものの、
原油の高騰が容易なら、預け荷物手数料に納得するようです。
つまり、有料化の理由やその正当性がわかりやすいから、
受け入れられるということになります。
このコミュニケーションこそが、
客単価上昇の大きな要因なのです。

2について、かと言って、無料化を継続する航空会社があれば、
その企業が競合から顧客を奪うことになります。そして、
そのような競争激化は、
プレーヤーの数が多ければ起こりやすくなります。
しかし、アメリカ航空業界は、
過去10年間に破綻や合併などの再編が進み、
プレーヤーが減少しました。その結果、競争は比較的緩和され、
無料サービスの有料化や値上げがしやすい環境になったのです。

日本の航空業界に当てはめると、主要キャリアについては1・
2とも可能です。
よって、日航や全日空で、
無料サービスの有料化が進むかもしれません。
またLCCでは、エアアジアの日本撤退により、
2の環境へ前進していると考えられます。
よって、日本のLCCでも、
さらなる有料サービスの設定が行われるかもしれません。

旅客機と空港のすべて (JTBの交通ムック)
http://goo.gl/eAhl9

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)アメリカ航空会社は、無料サービスの有料化を推し進め、
その補助収入は増大傾向にある。

2)その背景には、チケット料金の下落があり、
補助収入を含めても客単価の下落は続いている。
搭乗客一人あたりの収益は、
補助収入があってやっと黒字化できているのが現状である。

3)そこで、補助収入により客単価の向上を目指しているのだが、
客離れつまり客数減少に陥らないには原因がある。

4)一つは、利用者が納得できる有料化の正当性を
訴えているからである。このコミュニケーションによって、
利用者はしぶしぶながら受け入れている。

5)もう一つは、業界の再編による競争の緩和である。
過去10年で破綻や合併が進んだために、
価格競争が緩和され、値上げしやすい環境になった。
*************************



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編集後記
無料サービスの有料化と言えば、LCCの価格設定ですね。
まだLCCに乗ったことがないですが、
有料となると少し気が引けますね。
どちらかというと、荷物が少ない人は割引される方が、
受けいられやすいのではないでしょうか。
余分に支払う=損するのを避けたいのが、人間ですからね。

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| 高尾亮太朗 | 旅行業界 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
【679号】QE3縮小時こそ”安全”バブルにご注意を
 

safety

Jonathan Warner


◎本日のニュース

1)見出し
In Search of Safety

【出典】
http://goo.gl/SKfQM


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2)要約
FRBによるQE3縮小プログラム発表は、
市場を混乱に陥れた。そこで、
市場の混乱から資産を守る必要があるが、
従来の方法では逆に目減りさせかねない。
というのも、安全資産のバブルが起こっているからである。

安全資産とは、高配当株やボラティリティの低い投資先である。
FRBの国債買い入れ策により長期金利が低下し、
多くの人が安全資産に殺到した。その結果、
安全資産の価格が上昇。
株式市場のベンチマークとされるS&P500よりも、
割高になった。その結果、
FRBの発表後には、S&P500以上に下落してしまった。

そこで、資産を守るために重要になるのが、割安さ。
リスク資産は、割安な銘柄に投資する必要がある。
また、どうしても目減りさせたくない資産は、
長期金利の影響を受けにくい短期債や現金で持つべきだ。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
But since then, it is these same "safe" investments
 that are being punished the most.

4)キーとなる英文の和訳
しかしそれ以降、これらと同じ“安全”な投資先は、
最も痛手を受けている。

5)気になる単語・表現
punish他動詞〜を罰する

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
5/22に、バーナンキFRB議長により
QE3縮小プログラムが発表されました。それ以降、
アメリカ金融市場のみならず、世界の市場が混乱に陥りました。
この混乱が今後も継続するものとして、
どのように資産を防衛するべきかについて、
述べられています。

従来、市場の混乱から資産を守る方法として、
高配当銘柄やディフェンシブ銘柄への投資が採用されていました。
しかしこのやり方では、
今の市場環境の中で資産を守れないようです。
その根拠として、次のようなデータが示されています。

高配当銘柄やディフェンシブ銘柄への投資で資産を防御できないデータ】
[高配当銘柄]利回り3.4%の高配当株式ETF(DVY)
は6.2%下落
[ディフェンシブ銘柄]消費者向け日用品銘柄ETF(XLP)
は5.7%下落
※S&P500は4.9%下落
※期間は5/21〜6/20

従来の“安全”な投資先が、
いずれも市場平均のS&P500よりも大きな痛手を
被っていることがわかるかと思います。

このような安全神話が崩壊したのは、
“安全”バブルが生じているからです。
“安全”バブルとは、投資家が高配当株式や
ディフェンシブ資産に殺到していることを指します。
なぜ、このようなバブルが起こったかというと、
それは、FRBによるQE3、つまり国債買い入れにより
長期金利が低下したからです。従来は、
国債に資金を投じていた投資家が、より高い金利を求めて、
高配当株式やディフェンシブ資産に資産をシフトし、
これら“安全”な投資先の価格が高騰しました。この結果、
QE3の縮小に伴い、この巻き戻しが生じたため、
市場平均よりも大きな下落につながったのです。

従来型の“安全”な投資先が頼れないならば、
どうすればいいのか。筆者は、
次のような方法を提案しています。

【QE3縮小による混乱から資産を守る方法】
[1]目減りしては困る資金とリスクを取れる資金に分ける。
[2]目減りしては困る資金は、現金か短期債に投資。
[3]リスク資金は、割安な新興国ファンドに投資。

1について、特に資産分配比率(アセットアロケーション)
の変更を
提案していません。これまでの比率のままで、
その中身を変更する必要があるのです。

2について、ベア相場入りの可能性が高い中では、
従来型の“安全”な投資先が全く機能しません。
そこで、どうしても目減りさせたくないならば、
現金で持つか、
より金利上昇の影響を受けにくい短期債に投じるべき、
と述べています。短期の債券ならば、
たとえ金利上昇=価格下落が起こっても、
満期まで持っておくことができるからです。
ただし、現金・短期債とも、ほとんど収益を産まないことは、
覚悟しなければなりません。

3について、リスク資金は、
ベア相場でも比較的下落の小さな割安銘柄へ投じることを薦めてい
ます。
その割安銘柄とは、アメリカ市場の混乱により
下落を余儀なくされた新興国銘柄。例えば、
バンガードFTSE新興国ETF(BSV)。
FRBの影響により新興国の株価は下落したものの、
その経済にはさほど大きな影響を及ぼさないと考えるからです。
割安な投資先は、ベア相場の中でリスクヘッジの役割を
果たしてくれます。

QE3縮小の影響は、日本にも及ぶ可能性があります。
ただし、日本とアメリカの大きな違いは、
日本の金融緩和=QEはこれからということ。
縮小に向かうアメリカとは対照的です。よって、
日本では“安全”な投資先のバブルが今後起こる可能性があります
。例えば、REITや高配当銘柄。
デフレからインフレに転換するとなれば、
高利回りの投資先に投資家が殺到しても不思議ではありません。
この“安全”バブルによるキャピタル・ゲインを期待して、
投資するのもいいかもしれません。
もちろん、バブル崩壊に備える必要はありますが。

iShares Dow Jones Select Dividend Index(DVY)
http://goo.gl/GKOvn
Consumer Staples Select Sector SPDR(XLP )
 http://quotes.wsj.com/XLP
Vanguard FTSE Emerging Markets ETF(VFEM.LN)
http://quotes.wsj.com/UK/VFEM

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)QE3による長期金利低下で、
“安全”バブルが生じているので、
従来の“安全”投資先は安全ではない。

2)そこで、QE3縮小混乱時には、
アセットアロケーション別に投資先を変更することで、
市場の混乱から資産を守る必要がある。

3)目減りを避けたい資金は、
現金か短期債に投じるべきだろう。
短期債は、金利上昇の影響が小さいからである。

4)リスク資金は、割安な銘柄に投じるべきだろう。
例えば、PERの低下した新興国ETFなど。

5)いずれにしても、ベア相場で安全な銘柄はない。
割安銘柄が、混乱から守ってくれる。
*************************

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編集後記
今回は、初めて投資関連の記事を取り上げました。
アベノミクス効果により、
投資への関心が高まっていることは、ひしひし感じます。
資産運用に少しでも役立てば、幸いです。

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【678号】グローバルビールブランドがIT活用に躍起になる理由とは?
 

ハイネケンの広告

suanie


◎本日のニュース

1)見出し
Brewers Power Up Technology for 'Smart' Beers

【出典】
http://goo.gl/hbFbP


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2)要約
消費者がスピリッツやワインへの支出を増やす中、
欧米ビール市場は縮小を余儀なくされている。
そこで、力を注ぐのがインターネットや
ソーシャルメディアなどのIT活用である。

ITを積極的に活用するのは、
他ブランドと差別化するため。
IT活用により、ブランドイメージが変われば、
中身が一緒でも消費者の評価は良くなる。
また、もともとビールが持つ人間関係の潤滑油としての性質
に注目すれば、ビールとソーシャル技術との相性は良く、
大きな効果が期待できる。

主要市場である欧米でビール市場が縮小する中、
グローバルビールメーカーは利益率の向上を目指している。
そこで力を入れるのが、
ブランドのプレミアム化とIT活用である。
ただし、IT活用によるコスト増を価格転嫁できなければ、
逆に利益率を損なう恐れがある。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
With demand falling in the West's biggest beer-drinking markets,
 where mainstream sales have been stung
by a consumer shift to spirits and wine,
 brewers are changing up the game by plowing money
into research and development.

4)キーとなる英文の和訳
欧米の最大ビール市場では、需要が減少している。
それは、主要売上が、

消費者のスピリッツやワインへのシフトにより、
悪影響を受けているからである。
そこで、ビールメーカーは、商品開発への投資を増やすことで
現況を変えようとしている。

5)気になる単語・表現
sting他動詞〜を傷つける;〜をひりひりさせる、〜
に痛みを与える
plow A into B他動詞句AをBに投資する

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
グローバルビールメーカーが、
IT活用に力を注いでいるようです。
その背景には、欧米ビール市場の縮小があります。
記事では、以下のデータが取り上げられています。

【欧米ビール市場の縮小データ】
アメリカのビール市場:2.5%縮小
ドイツのビール市場:2.3%縮小

アメリカとドイツは、欧米の2大ビール市場。
最大の市場でパイが縮小していること
は、ビールメーカーの売上に大きく響くことになります。
数量が伸びない中で収益拡大を目指すならば、
単価・利益率の向上しか方法はありません。
そこで、単価・利益率向上のために注目したのが、
IT活用。その理屈は、次の通り。

【利益率向上とIT活用の関係】
IT活用→ブランドイメージが向上する
→値下げせずに売れるようになる→単価・利益率の向上

ブランドイメージが向上すれば、
極端な話中身が全く同じでも、評価は高まります。
そのため、
少々値段が高くても買ってもらえる確率は高まるのです。
その結果、単価・利益率は向上します。

記事で紹介されている各社のIT活用をまとめると、
次のようになります。

【IT活用に力を注ぐビールブランド】
◯ハイネケン(Heineken NV)社のハイネケン
→光る特別ボトル“イグナイト(Ignite)”
を音楽イベントに提供。
ボトルを飲むとストロボが光ったり、
他のボトルと乾杯すると光ったり、
音楽が鳴るとフラッシュが光る。
モーションセンサーの付いた回路基板と
プロセッサー・ワイヤレスレシーバーにより可能になる。

◯アンハイザー・ブッシュ・インベブ社
(Anheuser-Busch InBev)のバドワイザー(Budweiser)
→特殊グラス“バディーカップ(Buddy Cup)”を提供。
バドワイザーのスマホアプリでグラスのコードをスキャンすれば、
グラスとフェースブックIDがリンクする。
バンプセンサーにより、
バディーカップで乾杯すれば友達依頼ができる。

ビールメーカーがITに注目するのは、
つながった製品(connected products)が
ブランドやメーカーに大きなインパクトを与えると、
他の業界で証明されているからです。
例えば、ナイキプラス(Nike+)。ナイキプラスを使えば、
スポーツをすることで友人とつながることができます。
ソーシャル機能を付け加えることで、
ブランドへのロイヤリティが高まるので、
売上増が期待できます。

ただ、IT活用に力を入れるのは、
ビールメーカーだけではありません。
ビールから市場を奪うスピリッツなどの酒類メーカーも、
ITを積極的に活用しています。事例は、以下の通りです。

【ビール以外の酒類メーカーによるIT活用事例】
◯ペルノ・リカール社(Pernod Ricard SA)の
バランタイン(Ballantineウィスキー)
→ネットとつながったTシャツを開発。
オンライン上の活動内容をTシャツに映し出す。

◯ディアジオ社(Diageo PLC)
→スコッチと一緒に、
自分で作った動画メッセージを友人に贈れるサービス
を提供。スマホアプリでボトルのコードをスキャンすれば、
貰った人は動画を見られる。

しかしながら、ビールの持つ人間関係の潤滑油としての性質
に注目すれば、ビールとソーシャル技術との相性は、
ウィスキーやスピリッツなど他の酒類よりも高いと言えるでしょう

逆に言えば、これまでのマーケティングは、
消費者の期待を見誤っていたとも捉えることができます。
品質向上にばかり力を注いできましたが、
消費者が求めるのはソーシャル機能。このギャップが、
ビールへの失望を生み出し、より飲みやすいスピリッツや
ワインへのシフトを加速させたのかもしれません。

一方で、IT活用によるコスト増を懸念する声もあります。
コスト増を価格転嫁できなければ、
逆に利益率が悪化するからです。
実際、ハイネケンの“イグナイト”
ボトルはイベント専用ボトルであり、
普段のハイネケンでは体験できません。しかし、
この懸念について、ビールメーカーは楽観視しているようです。
それは、IT活用により機能が付加されば、
ブランドの価値も向上し、
消費者は高まった価値にお金を払うようになるから。
つまり、値下げせずとも売れることを、期待しているのです。

グローバルビールメーカーが行う利益向上策には、
ブランドのプレミアム化があります。例えば、
バドライトプラチナ(Bud Light Platinum)はバドライトのプレミアム版。
プラミアム化を進めることで、単価・利益率が高まります。
プレミアム化が、プレミアム版という新製品の導入とすれば、
IT活用は新製品導入を伴わないプレミアム化とも言えます。
IT活用に躍起になるのは、
当たるか当たらないかわからない新製品
に頼るのではなく、より成功確率の高いプレミアム化と
捉えることもできるでしょう。
結局、プレミアム化の成功確率を高めるために、
ITに注目しているのかもしれません。

Heineken Ignite bottle http://goo.gl/jItCl
Budweiser Buddy Cup(YouTube) http://goo.gl/H2RPL
Nike+ http://goo.gl/tIBXz
Ballantine T-shirt(YouTube) http://goo.gl/zD2mE
Diageo message bottle http://goo.gl/hOrjp
Bud Light Platinum http://goo.gl/jZxIa

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)欧米ビール市場が縮小する中、グローバルビールメーカーは、
収益拡大のために単価・利益率向上を目指している。
その一つの策が、IT活用である。

2)IT活用によりブランドイメージが向上すれば、
値下げせずとも売れるようになる。
この結果、単価・利益率が向上するからである。

3)また、ビールのソーシャル機能に注目すれば、
他の酒類よりもソーシャル技術と相性がよく、
IT活用が成功する確率が高まる。

4)その他単価・利益率向上のために、
ブランドのプレミアム化を進めている。

5)ただし、ブランドのプレミアム化には、
失敗確率の高い新製品の導入が必要とされる。
一方、IT活用は新製品を必要としないので、
より成功確率の高いプレミアム化と言えるだろう。
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7)おすすめ商品・サービス
◎JAFカード解約を考えています
実は経費削減の為、長年利用してきた
JAFカードの解約を考えています。
そこで、JAFの代わりとして考えているのが、
ENEOSカード。
ロードサービスが十分かどうかは、わかりません。
もし、利用されたことのある方がおられましたら、
教えてください。
http://goo.gl/dHxj1

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。
この5年間でわかったことがあります。
読む上で知っておくべき単語さえわかれば、
大まかな内容はわかるということ。
備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。
今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。
http://english.ryotarotakao.com/

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、
ワインの情報を探すのが大変ということ。
公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、
作っています。
http://wine.ryotarotakao.com/

編集後記
コンビニがプレミアムビールに力を注ぐのも、
納得出来ます。
景況感が回復すれば、
各業界でプレミアム商品が続々と登場するかもしれないですね。

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!

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ご連絡お願いします。

私もごく少ない部数の時に、
いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、
今回は私が恩返しします!
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| 高尾亮太朗 | 食品 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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高尾亮太朗

1975年兵庫県姫路市生まれ。白鳥小学校・淳心学院・駿台予備学校神戸校・早稲田大学政治経済学部に進む。大学進学時に政治家を志し、早大鵬志会に入会。・・・続き
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